エネルギー今後の日本を支える再生可能エネルギー普及へのさまざまな課題

今後の日本を支える再生可能エネルギー普及へのさまざまな課題

パリ協定の合意以降、脱原発・二酸化炭素削減につながる再生可能エネルギーへの期待がますます高まってきています。そもそも再生可能エネルギーとは、そして、普及に向けた課題について解説します。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、火力発電・原子力発電に代わる、環境に優しい発電方法として注目を集めているエネルギーのことです。

資源が枯渇する心配がなく半永久的に利用が可能で、かつ、発電時に二酸化炭素を全く排出しないため、地球温暖化への対策にもなります。

なぜ今注目されているのか

注目を集めている背景には、現在の日本のエネルギー事情が関係しています。

日本はエネルギーの8割以上を化石燃料に依存している状態ですが、そのほとんどが海外から輸入されており、2015年時点でのエネルギー自給率はわずか7.4%となっていました。

さらに、新興国の相次ぐ経済発展により世界各国でエネルギー需要は増大。それにともなって化石燃料の市場価格が乱高下しており、エネルギー市場の情勢は不安定な状態が続いています。

上記の背景に加え、化石燃料の使用にともない発生する温室効果ガスの増加が国際問題となっていることから、再生可能エネルギーの必要性は年々高まってきているのです。

 

普及率と今後の課題

普及率と今後の課題

再生可能エネルギーの普及率やコスト、環境の面から考えた今後の課題について、海外と比較しながら紹介します。

再生可能エネルギーの普及率

2016年5月にポルトガルの再生エネルギー依存度が一時的に100%達成したというニュースが報じられました。風力、太陽光、そして水力発電のみで107時間(約4日半の間)電力需要をまかなうことができたのです。

ポルトガルでは1988年から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が導入されています。これは、国内で発電された再生可能エネルギーによる電気を電気業者が国の定める固定価格で買い取り、家庭へ供給するというシステムです。これにより普及が進み、全体の48%を再生可能エネルギーによる発電が占めるまでになっています(うち22%が風力発電)。

対して日本は、水力発電を合わせても14%ほど(2015年時点)。日本において再生可能エネルギーが占める割合はまだまだ低いと言えるでしょう。

また、アメリカでは2010年以降に発電コストが7割近く低下し、太陽光発電に対する支持が高まっています。2016年の導入件数は過去最高の前年比191%増で、1年あたりの太陽光発電導入量は14.7GWと世界第2位。日本は8.6GWで第3位でした。

さらに、再生可能エネルギー先進国として知られているドイツは1.5GWの第6位でしたが、累積導入量では41.2GWの世界第3位。第2位である日本の42.8GWと大差はありませんでした。人口比を考慮すると、ドイツの方が太陽光発電の普及率がはるかに上回っているとも言えます。

今後の課題

では、なぜ日本においてこれほどまでに再生可能エネルギーの普及が進まないのでしょうか。考えられる原因は以下のとおりです。

コスト

再生可能エネルギーは火力発電・原子力発電など既存の発電所に比べて「エネルギー密度」が低いため、設備面積は大きいものの肝心の発電量は少ない、という問題を抱えています。火力発電所と太陽光発電所を比較した場合、単位面積あたりの発電量は2000倍以上の差が出ることも。

そこで、再生可能エネルギーの普及と価格の低減のために2012年から固定買取価格制度が導入されていますが、この制度の下では逆に消費者の負担が大きくなってしまう結果を招きます。

再生可能エネルギーは天候をはじめとする自然条件に左右されて供給が不安定となるため、ここでもまたコストの問題が浮上します。

安定しない発電量

太陽光発電と風力発電のように天候など自然条件に左右されて供給が不安定となることも多いため、不足した電力をどう補えるかが今後の課題になります。

発電された電気は大量に蓄えるのが困難であることから、使用する電気と供給する電気を常に同一量にしなければなりません。

そのため、

  • 出力が常に一定である原子力発電
  • 簡単に発電量の調節が可能な火力発電
  • 好きなタイミングで発電を行える水力発電

を組み合わせ、電力供給のバランスを取っていく必要があるのです。

環境面での問題

再生可能エネルギーの発電には広い土地や適した地形が必要になるため、施設が建設できる場所が限られています。

再生可能エネルギーのさらなる普及のためには、上記の課題を克服しなければなりません。

 

導入促進のためのさまざまな取り組み

導入促進のためのさまざまな取り組み

再生可能エネルギーの導入を促進するためにさまざまな取り組みが行われていますが、そのうちの3つを紹介します。

太陽光発電システム次世代高性能技術の開発

日本において太陽光発電の地位を確立するための技術開発を目的として、「NEDO」によって行われている事業です。

この事業では、

  • 結晶シリコン太陽電池
  • 薄膜シリコン太陽電池
  • 色素増感太陽電池
  • CIS・化合物系太陽電池
  • 有機薄膜太陽電池

の5種類の研究に加えて「共通基盤技術の研究」の合わせて6つのテーマについて開発が行われています。

NEDO
エネルギー問題・環境問題に取り組んでいる独立行政法人

結晶シリコン太陽電池

太陽光エネルギーを電気へと変換する際の効率が非常に高いとされ、太陽電池の中で最も多く使用されているものの、コストの高さが懸念されています。

薄膜シリコン太陽電池

厚さ1μm未満のシリコンを何層にも重ねて作られた電池で、結晶シリコンに比べて1/100の量で済むためコストが大幅に抑えられるものの、電気への変換効率が悪くなります

色素増感太陽電池

主に酸化チタンを用いて作られる電池で、色素を吸着させることによって光を吸収して発電します。しかし、

  • 電極に白金やルテニウムなどの高価な金属を使うためコストが大量にかかる
  • 熱や紫外線に弱く素材の劣化によって発電の効率が落ちてしまう

などのデメリットがあります。

CIS・化合物系太陽電池

「Cu(銅)」「In(インジウム)」「Se(セレン)」の頭文字を取って名付けられました。

  • 製造工程がシンプル
  • シリコン型に比べてコストがかからない
  • 暑さに強い

という利点はあるものの、変換効率が悪いというデメリットもあります。

有機薄膜太陽電池

有機薄膜半導体を用いて作られ、軽量で大量生産に向くことから期待されている電池。エネルギーの変換効率が悪く耐久性も低いため、今のところ普及率は低い水準となっています。

洋上風力開発等技術研究開発

洋上風力開発等技術研究開発は、平野部における風力発電の適地が減少しているため、洋上への風力発電の導入を目的としたNEDOの事業です。

洋上での風力発電にはコストや信頼性などの課題があります。そこで、海上風の特性や気象・海象条件の把握、それらに適合した風力発電システムに関する開発等が行われています。

チャレンジ25地域づくり事業

「2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年の数値から約25%削減する」という目標を達成するために環境省が行った事業です。

環境負荷の小さい地域づくりのため、地域単位で確立されている温室効果ガスを削減するための効果的かつ先進的な対策に着目し、それらの事業性・採算性・波及性等の検証を行い全国に広めることを目的としています。

  • 都市で未利用の熱を活用
  • 低炭素型交通システムの構築
  • 大規模駅周辺の低炭素化
  • バイオマスエネルギーの活用

という4つの事業メニューのいずれかに当てはまる事業を公募し、選ばれた事業に支援が行われます。

 

安定的な電力の供給・発電コストの削減など、さまざまな課題を抱えている再生可能エネルギーですが、環境問題が取り沙汰される現代においてはさらなる活躍が見込める発電方法となり得るでしょう。豊かな自然を持つ日本だからこそ、今後の取り組みに注目が集まります。