エネルギーソーラー発電を超える発電量「メガソーラー」とは

ソーラー発電を超える発電量「メガソーラー」とは

エコロジーの観点から多くの支持を受けて一般家庭にも普及しているソーラー発電。そのなかでも莫大な発電量を誇るメガソーラーを知っていますか?新しいビジネスとしても注目されているメガソーラーについて、詳しく解説していきます。

メガソーラーとは

メガソーラーとは

ソーラーとメガソーラーの違い

人里離れた山中の広い土地や休耕田だった広範囲の場所に、黒く光る巨大なパネルがずらりと並んでいる光景を見たことはありませんか?これは太陽光発電のパネルで、ソーラーパネルが発電した発電量が一定量を超えると「メガソーラー」と認定されます。

ソーラーとメガソーラーの基本構造は変わりません。使われているパネルも同じ太陽光パネルなのですが、メガソーラーと呼ばれるためには1MW(メガワット)以上の出力があることが条件となります(1MWは1000kWに相当する)。一般家庭のソーラーシステムの平均出力が約5〜10kW未満と言われているため、出力を単純に比べるだけでもその規模の違いが分かります。

メガソーラーの要件である1MWの出力を出すためには2ヘクタール以上の土地が必要となります。これは、サッカー場約2個分に相当する広さです。

メガソーラーにかかる費用

メガソーラーを設置する場合、以下が必要となります。

  • 2ヘクタールを超える敷地や場所(建物の屋根も含む)
  • 設置するソーラーシステム
  • 50kW以上の高圧連係にかかる手続

メガソーラーは建築物にはあたらないため、工場やビルの屋上に設置することも可能です。太陽光がよく当たるように設置することが重要なので、休耕田や遊休地を利用する場合には斜面の傾きや草木の伐採などを行う費用が別途必要となります。

産業用のソーラーシステムは家庭用に比べて単価が安く、1kWにつき約20万円〜30万円(2017年4月時点)が相場となっています。「再生可能エネルギー」の買取制度の対象になっていることに加えて税制・金融面での優遇があることから今後はさらに単価が下がり、ビジネスとして拡大するという見方もあります。

50kW以上の出力になると、電力会社との高圧連係の契約が必要になります。高圧受電設備費用に100万円〜150万円、電力会社と高圧発電所の設置協議に21万円、保守や点検を行う電気主任技術者の費用が年間で50万円〜70万円、これらが必要になります。

維持費については導入するシステムや規模によって異なるため一概に算出することはできませんが、長期にわたってパフォーマンスを落とすことなく稼働させるために必要な経費とのため、導入の際に複数の業者や専門家のアドバイスを受けることが重要となります。

 

メガソーラー設置のメリットや問題点

メガソーラー設置のメリット・デメリット

メガソーラーのメリット

太陽光という「無限資材」を有効活用してクリーンエネルギーを生み出すメガソーラーは、地球温暖化対策やエネルギーを自給するという点で大きな期待を寄せられています。

2011年3月に巨大地震を経験した日本は、安心・安全の面からメガソーラーの設置に協力的で、税制・金融面での優遇措置や日本政策金融公庫の特別金利による融資(環境・エネルギー対策資金)を受けられるなど、支援も盛んです。

これまで使い勝手が悪く放置されていた土地やスペースを有効利用することで電気を生み出し、それを売って新たな収益を得られるソーラーシステムに興味を示す企業も多く、ビジネスとしての発展の可能性も秘めています。

メガソーラーの問題点

メガソーラーは太陽光によって発電するシステムなので、夜間や雨天・曇天の際には発電することができません。パネルに積もった雪や枯葉、雑草や木陰も発電の妨げになり、状況によっては安定した発電量を達成できない場合もあります。

産業用のソーラーパネルは収益を出すことを目的としていますので、一般家庭に比べると発電量の不安定さはありません。しかし、それでも一定の発電量を保ち続けることは不可能なので、年間の見込みと多少の差異は出てくることになります。

メガソーラーは定期的なメンテナンス以外に手をかける必要がないため、産業としては雇用を期待することができない、という声もあります。安心・安全の面では原子力発電や火力発電からの置き換えが期待されていますが、その一方で多くの失業者が出てしまう可能性もあるのです。

また、広範囲にわたる土地が必要となるので、それを確保するために山林を切り開いて設置する事業者も出てきており、森林保全・緑化運動の面から問題視する声もあります。ともに地球温暖化防止を期待して国が支援をしているのですが、メガソーラーの代わりに森林を失うという矛盾した行為に対して何かしらの対策が必要となるかもしれません。

 

実際のメガソーラーの導入例

実際のメガソーラーの導入例

KIXメガソーラー

2014年2月、関西国際空港の空港島内にアジア最大級と言われるメガソーラーが設置され、稼働を開始しました。これがKIXメガソーラーです。滑走路脇のおよそ1.2kmにわたる遊休地や倉庫の屋根を利用した場所に航空機の運行に支障のない特性を持つソーラーパネルが設置され、大きな話題となりました。

年間約1200万kWhの発電分は全て関西電力に売却。その大きな収益にも注目が集まり、世界規模でクリーンエネルギーに対する一つの指針を打ち出す結果となったのです。

導入した新関西国際空港株式会社は、さらに2015年9月にも新たなメガソーラーの稼働を開始。電力を売るだけではなく空港島内での活用にも力を入れており、風力発電・水素エネルギーも視野に入れた「クリーンエネルギーでの創エネ」に取り組んでいます。

米倉山太陽光発電所

米倉山太陽光発電所は、山梨県と東京電力株式会社が共同で建設した太陽光発電所です。基礎を打ち込まずに地面に直置きされたソーラーパネル、発電力の向上を考えた角度、雑草が生えることを防ぐための地盤など、一般的なソーラーパネルの設置の際には行われない工夫がされていることが特徴です。

年間の発電量は約1200万kWh、一般家庭の約3400軒分の年間使用量をまかなうことができる巨大施設です。

日本でも有数の日射量を誇る山梨県は、その特性を活かして再生可能エネルギーである太陽光発電の導入に積極的に取り組み、地球温暖化対策を計画的に推進しています(山梨県地球温暖化対策実行計画)。その中核となっているのが米倉山太陽光発電所なのです。

2012年1月には太陽光発電所のPR施設として「ゆめソーラー館やまなし」も開館。太陽光発電の仕組み、二酸化炭素排出量削減効果、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーや次世代エネルギーについての展示を行い、環境学習や情報発信の拠点として大きな役割を果たしています。

 

メガソーラーの持つ可能性は、そのまま未来への期待度に比例しています。理想的なクリーンエネルギーと理想的な暮らしの両立、メガソーラーに託された夢への挑戦は続いています。