エネルギー日本の生活を支える火力発電のメリット・デメリット

日本の生活を支える火力発電のメリット・デメリット

地球の資源を燃やすことで電力を生み出す火力発電は、再生可能エネルギーが世界中に注目されるようになった現代でも、日本の生活を支える大切な基盤となっています。火力発電が日本で続けられる理由を、メリット・デメリットをとおして解説していきます。

火力発電に使用される燃料

火力発電に使用される燃料

火力発電に必要不可欠なのが、火力を生み出すために使用される燃料です。現在の日本では、主に以下の三つが燃料として使用されています。

石油火力

石油により発生した火力を利用して、発電する方法です。運搬や貯蔵方法といった面で優れていることから、日本でも多くの発電所で利用してきました。

しかし、地球に埋蔵されている化石燃料の中でも特に枯渇が心配されている石油は、ほかの燃料価格と比較すると大変割高です。日本で使用される石油のほとんどは海外からの輸入に頼っており、世界情勢にともない価格も変動するため安定といった面での不安はぬぐい切れません。

必要な量を必要な分だけ使用するという点において、石油は優れた柔軟性を持つだけに、今後の使用方法にも細やかな対応が必要となるでしょう。

石炭火力

石炭を燃やした火力を利用し、タービンを回して発電する方法です。石炭による火力発電は、酸化窒素化合物・酸化硫黄化合物といった温室効果ガスの排出が問題視されてきました。

現在日本で稼働している火力発電では排出ガスのクリーン化が進んでおり、なかには90%もの排出ガスを低減させることに成功した火力発電もあります。また、石炭を燃やしたあとに残る石炭灰はセメントの材料として再利用され、石炭火力から生まれた副産物も生活の中で役立てられています。

しかし、海外の火力発電所に目を向けると、環境汚染源とされるところもあり、石炭による火力発電は世界的に縮小してきているのが現状です。

LNG火力

LNGとは、天然ガスを冷却して液体化することにより凝縮したものです。石油・石炭と比較すると燃焼時の温室効果ガスの排出がきわめて低く、クリーンな化石燃料として注目されています。

埋蔵量も多く長期間の使用が見込めるものの、天然ガスの貯蔵・運搬には特殊なタンクや輸送用の船舶・タンクローリーが必要となるため、柔軟性や容易性といった面に関しては課題が残る燃料です。

日本の火力発電を支える燃料「石炭」の今後 日本の火力発電を支える燃料「石炭」の今後

 

火力発電のメリット・デメリット

火力発電のメリット・デメリット

日本の発電量の多くを担っている火力発電。そのメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

日本で火力発電が主流となったメリットとしては、以下のような項目が挙げられます。

発電所を設置しやすい

水力・原子力といった発電所と比較すると、火力発電所は設置する規模が小さくて済むことから、多くの電力会社が火力発電所を設置・運営しています。国家的なプロジェクトでない分、設置・運営までの流れがスムーズであることも利点の一つです。

燃料の取り扱いがしやすく安定している

燃料の種類にもよりますが、基本的に火力発電に必要な燃料は貯蔵・運搬がしやすく安定しています。これにより、一定した電気の供給が可能となっているのです。また、災害時においても被害を最小限で食い止め、リスクが少ないというメリットもあります。

エネルギー変換の効率が良く出力も調整しやすい

火力発電は、燃料が燃えた際の熱をエネルギーに変換するという分かりやすい仕組みになっています。熱が持つエネルギーをそのまま出力に変換するので効率が大変良く、使用する燃料を調整することで必要な分だけ発電することができます。

デメリット

設置しやすく安全に電気が供給できる火力発電ですが、一方で以下のような問題点も指摘されています。

化石燃料の価格が安定していない

火力発電で使用される石油・石炭・天然ガスといった化石燃料は、そのほとんどを海外からの輸入でまかなっている状態です。特に、石油は原油国との軋轢や世界情勢の悪化により価格の変動が激しく、その影響がそのまま日常生活に及ぶ可能性も少なくありません。

温室効果ガスによる地球温暖化への懸念

かなり改善されてきたとはいえ、火力発電所から排出される二酸化炭素や窒素酸化物は決して0ではありません。稼働している発電所の中には、効率が悪く温室効果ガスの排出量が高い所もあるため、このまま稼働を続けることに問題視する声も多くあります。

化石燃料を使用することによる将来的な不安

化石燃料は無限ではありません。すでに危機を指摘されている石油をはじめ、石炭・天然ガスも使い続ければいつかはなくなってしまいます。化石燃料の使用の継続は、将来的な不安へとつながっているのです。

国土が小さく平地が少ない日本では、火力発電の持つメリットは大変有効なものです。しかし、時代が進むにつれて見えてきたデメリットに対し、早急な対応が迫られています。

 

火力発電の現状と課題

火力発電の現状と課題

日本で主力となっている火力発電は、どのような現状と課題を抱えているのでしょうか。それぞれの状況について詳しく見ていきましょう。

火力発電の現状

2018年に経済産業省資源エネルギー庁が公開した「エネルギー白書」を見ると、高度成長期を皮切りに日本の発電量は右肩上がりとなり、2010年には11.142億kWhにまで達しました。この時点で火力発電の割合は全体の6割だったのですが、2011年に起こった東日本大震災によりその割合に変化が現れます。

それまで全体の発電量の約4割を担っていた原子力発電が減少、それに代わり太陽光発電などの新エネルギーが割合を増やしてきました。それでも全体の発電量としては、水力・新エネルギー・原子力発電を合わせても全体の2割に届かず、2016年の段階で火力発電が8割強で主体となっているのが現状です。

今後の課題

化石燃料という限りある資源を利用した火力発電は、今後以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 化石燃料の減少による価格の高騰
  • 化石燃料の確保の困難
  • 火力発電による地球温暖化への影響

このような問題を回避するために必要な課題として、急速にクローズアップされているのが「エネルギーミックス」という政策です。2015年7月の「長期エネルギー需給見通し」では、2030年を目標に以下のような割合での発電を目指しています。

  • 太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電:約22〜24%
  • LNG火力による発電:約27%
  • 石炭火力による発電:約26%
  • 石油による発電:約3%
  • 原子力による発電:約20〜22%

エネルギー政策の基本となっているのは、全体的な安全確保(Safety)を前提とした

  • エネルギーの安定供給(Energy security)
  • 経済性(Economy)
  • 環境保全(Environmental conservation)

をバランスよく行うことで、それぞれの頭文字から「3E+S」と呼ばれています。

発電のためのエネルギー自給率が低い日本にとって、「いかに効率よく経済的に発電するか」という点は大変重要な課題です。火力発電に再生可能エネルギーを組み合わせた発電方式や、時間帯や季節によって需要に合わせた細やかな発電を行うなど、未来へ向けた取り組みが始まっています。

 

戦後の日本を支えてきた火力発電は、今新たな分岐点を迎えようとしています。その転換期に立ち会う現代の日本も、火力発電をとおしてエネルギーとの付き合い方を改めて考える必要があるのかもしれません。