今回は、ピーナッツに含まれる栄養素と効能、摂取にともなう注意点などを掘り下げて解説します。
この記事の目次
ピーナッツに含まれる栄養素
ピーナッツは、南米が原産であるマメ科の植物「落花生」の実の部分を指し、日本には江戸時代に持ち込まれたと言われています。
国内では千葉県が一大産地となっており全国の生産量の約77%を千葉県産で占めているものの、生産時期が限られていて収穫量も少ないことから流通している安価なピーナッツの多くは輸入品が占めています。
ピーナッツは、高カロリーな食材のため少量で多くのエネルギーを得ることが可能で、栄養素も豊富に含まれています。なかでも以下は、ピーナッツの持つ特筆すべき栄養素です。
タンパク質
ピーナッツは、良質なタンパク質を多く含む食材です。
タンパク質は、筋肉や骨・血液など体を作る材料となる重要な栄養素で、不足すると体力が落ちたり思考力と免疫力が低下したりするなどの影響が出ますが、ピーナッツを食べることで体作りを補い、免疫力低下を防止することができます。
また、タンパク質は、さまざまなアミノ酸の組み合わせによって構成されていますが、ピーナッツに多く含まれるのは、
- 脂肪燃焼効果が高いバリン・ロイシン・イソロイシン
- 代謝を促すアスパラギン酸
- 肌のハリやエネルギーの源となるグリシン
- 脳内ホルモンの元となるトリプトファン
だと言われています。
脂質
ピーナッツには、オレイン酸とリノール酸など不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。これらの脂質は「必須脂肪酸」と呼ばれ、人間の体内で生成できないことから食べ物での摂取が必要とされている脂肪酸です。
ビタミン
ビタミンは、健康な体を維持するために大切な役割を果たす栄養素で、必須脂肪酸と同様に体内で作られず外部から摂取する必要があります。
ビタミンにはさまざまな種類がありますが、ピーナッツには糖質と脂質を効率よく分解するビタミンB群の一種「ナイアシン」を多く含みます。ほかにも強い抗酸化作用がある「ビタミンE」の含有量も高いことが確認されています。
ミネラル
ミネラルは、体の働きを維持・調整して抵抗力を高める栄養素です。タンパク質・炭水化物・脂質の「3大栄養素」に加え、ビタミン・ミネラルをあわせて「5大栄養素」と言い、人間にとって非常に大切です。
ミネラルにもさまざまな種類がありますが、ピーナッツには「カリウム」「マグネシウム」「鉄」がバランスよく含まれています。
ピーナッツの効能
上述のとおり、ピーナッツにはさまざまな栄養素が豊富に含まれています。ピーナッツを摂取することで得られる効能は以下のとおりです。
アンチエイジング
ポリフェノールの一種「レスベラトロール」がピーナッツには多く含まれています。
このレスベラトロールには、血液をサラサラにして生活習慣病予防を防ぐほか、強い抗酸化作用が認められており、
- 皮膚を若々しく保つ
- 老化を防ぎ長寿の遺伝子を活性化させる
効果があるとして近年注目されている成分です。
そのほか、レスベラトロールと同様に抗酸化作用を持つビタミンEの含有量がピーナッツには多いことから、体内でサビとなる活性酸素を抑え、酸化を防ぐなどアンチエイジング効果が期待できます。
生活習慣病予防
ピーナッツは高カロリーで脂質が多いため、食べると太るイメージがありますが、前述のとおり含まれる脂質は植物性で太りにくい性質を持っています。
適正量を摂取することで、肥満の原因となる中性脂肪と悪玉コレストロールを抑制する作用があることから、肥満防止・動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果があると言えるでしょう。レスベラトロールも悪玉コレストロールを減らす効果に期待できます。
肥満予防
血糖値が急激に上がる食品を摂取すると体内の余った糖質が脂肪に変換されて肥満へとつながる恐れがありますが、ピーナッツに多く含まれる食物繊維には血糖値の上昇をゆっくりにしてくれる効果があるため、肥満防止にも効果的です。
二日酔い防止
ピーナッツには、肝臓の働きを助ける「メチオニン」の含有量が多く、お酒のおつまみとしてピーナッツを一緒に食べることで肝臓の負担軽減に役立ちます。
血行促進・貧血予防
ピーナッツに含まれるビタミンEには、血流を促す働きがあるため、血行不良を改善し、同時に冷えの改善にもつながります。そのほか、血液の原料や成分として重要な鉄分・亜鉛などのミネラルも多く、貧血予防にも役立つでしょう。
落花生の殻にも驚きの効果が
落花生は、殻をむいて中身のピーナッツのみを食べるため、殻は大量のゴミとして残ります。このため、ピーナッツの生産業者では廃棄部分である落花生の殻を再資源化・再利用する取り組みを進めています。
その一例として、落花生の殻を土の中に混ぜて堆肥として利用したり、動物のエサにしたりといったことが行われています。
近年では、落花生の殻にはシックハウス症候群の原因物質と言われる「ホルムアルデヒド」を吸収し、空気を浄化・消臭する効果があるという研究結果が判明し、新たな利用方法として注目されています。
また、落花生の殻は吸水率が高いことから土壌の水分保持としても使用価値が高く、微生物の増殖に良い環境を作ることができるとされており、土壌改良にも利用が進められています。
落花生の殻が枕に
落花生の国内生産量トップを誇る千葉県では、ゴミとして処分される殻を再利用した「らっかせいまくら」作りの取り組みが行われ人気となりました。
落花生の殻には、汗や水分を吸収する吸水性や臭いを抑える消臭効果、また適度な弾力性があり、これらの特徴は枕の素材に適していることから、製品化が進められたのです。
廃棄物を再利用し優れた機能を持つらっかせいまくらは、国内産の安心な素材の製品として、2014年5月に国の地域産業資源活用事業の認定を受けました。
ピーナッツには注意点も
食べ過ぎに注意
ピーナッツは、良質なタンパク質・ビタミンなど豊富な栄養素を多く含み、また、脂質についても中性脂肪や悪玉コレストロールを抑制する不飽和脂肪酸の性質を持つため、肥満防止・ダイエット効果に期待できますが、一方で高カロリーな食材の一面もあります。
小さくて食べやすいことから、ついつい食べ過ぎになりがちですが、100グラムあたり585kcalにもなるため過剰摂取には十分に注意が必要です。
また、ピーナッツの脂質を過剰に摂取することで皮脂成分が増え、胃腸に負担がかかって消化が悪くなり、ニキビや肌荒れの原因となる恐れもあります。
そのほか、おつまみやスナック菓子として販売されている味付きのものや調味料が加えられたものは塩分と余分な脂質が多いため、塩分過多による体のむくみなどさまざまな影響をもたらす可能性があるのです。
できるだけ素焼きのものを選び、1日20gまでを目安として摂取するようにしましょう。
アレルギーに注意
ピーナッツはアレルギーへの注意も必要です。
食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、症例数が多く注意が必要なものについて、食品表示基準によって特定原材料7品目の表示が義務付けられていますが、落花生もその一つです。
乳幼児に食べさせる場合には特に注意して見守る必要があります。
ピーナッツは、良質なタンパク質やダイエット効果が高い脂質など豊富な栄養を含むため、一粒で効率的にエネルギー補給ができるなどさまざまな効能を持つ食品です。
アレルギーや食べ過ぎには気を付けながら、適量の摂取によりピーナッツが健康的な生活の手助けとなることが期待されます。