環境エコカーとはどんな車?環境の保全に効果はあるのか

エコカーとはどんな車?環境の保全に効果はあるのか

環境に配慮した地球に優しいドライビングを実現するため、エコカーと呼ばれる自動車が多くの人の支持を得ています。では、エコカーとはどのような車で、環境保全にどのように貢献をしているのでしょうか。その詳細を解説していきます。

エコカーとはどんな車か

エコカーとはどんな車か

主にガソリンを燃料とするガソリン車は、排気ガスによる大気汚染や騒音に加えて、地球温暖化を急速に進める原因にもなります。さらに、経済成長と人口増加によって世界各国で自動車販売台数が増加し、その問題は悪化。

そこで開発されたのが、地球環境に優しい自動車「エコカー」です。

エコカーとは、環境に配慮されたシステムを搭載した自動車のことを指し、地球温暖化や大気汚染の原因となる排気ガスを削減しつつ燃費削減に貢献することで環境保全に取り組んでいます。

エコカーと呼ばれる自動車にはさまざまな種類がありますが、大きく以下の二種類に分けることができます。

  • 無公害車…排気ガス・二酸化炭素といった温室効果ガスを一切排出しない自動車のこと。電気自動車や燃料電池自動車がこれにあたる
  • 低公害車…温室効果ガスの大幅削減が可能な自動車のこと。ハイブリッドカーやディーゼル車がこれにあたり、燃料は使用するものの温室効果ガスの排出はかなり抑えられている

環境保全に対する人びとの意識の高まりに加え、政府もエコカー減税といった政策を打ち出したことにより、エコカーは急速な普及を見せています。

 

次世代自動車のための燃料多様化への取り組み

次世代自動車のための燃料多様化への取り組み

「ガソリン車の次の世代」となるエコカーは、次世代自動車としてより環境に配慮したさまざまな燃料が使用されるため、燃料多様化に向けた取り組みが急がれます。

燃料多様化について

そもそも次世代自動車とは、「窒素酸化物や粒子状物質といった、大気汚染につながる排出ガスが少ない、または全くない」ことが必須条件です。

これを実現するためにはガソリンに代わる燃料が必要で、この代替燃料に対応した自動車の開発および燃料多様化に対応したインフラ整備が重要な取り組みとなります。

ガソリンに代わり注目されている燃料としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 電気
  • 天然ガス
  • LPガス
  • 水素
  • バイオ燃料

2015年の資源エネルギー庁による資料を見ると、既にタクシーやトラックといった運輸部門ではインフラ整備が整い始め、LPガス・天然ガスを燃料とした自動車が活躍しています。

これに加え、電気・水素を燃料とした次世代自動車の普及を念頭においたインフラ整備も進んでおり、燃料多様化は決して遠い未来の話ではなくなってきました。

環境に配慮することは勿論ですが、これまでのようにガソリン燃料だけに頼らない運輸方法の構築は、災害時のエネルギー源確保の面でも大きな意味合いを持ちます。燃料多様化は次世代自動車の普及のみならず、万が一の時の支えとしても実現化が急がれる取り組みなのです。

 

次世代自動車の種類

次世代自動車の種類

環境に配慮し地球に優しい次世代自動車ですが、実際にはどのような特徴があるのでしょうか。次世代自動車の種類と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

電気自動車

電気モーターを動力源にしている自動車です。車に搭載されている蓄電池に外部から電力を供給するものが一般的ですが、パンタグラフなどで走行中にも外部から電力供給を行うものもあります。

MEMO
トロリーバスなどがこれにあたる

メリット

  • 温室効果ガスの排出がない
  • エネルギー効率が良い
  • 燃費が良い
  • 一般家庭でも充電が可能
  • 万が一事故にあった時に爆発する危険性がない
  • 災害時に緊急用の電源として利用できる

デメリット

  • ガソリン車に比べると一回の充電で走行できる距離が少ない
  • 受電完了まで時間がかかる
  • 規格が一定しておらずガソリンスタンドのようなビジネスの普及が追いついていない(インフラ整備の不足)
  • 事故処理やメンテナンス時に感電事故の可能性がある

燃料電池自動車

燃料タンクに水素を蓄えて、水素と酸素を化学反応させることで発電し、電気モーターを動かして走行する自動車です。電気自動車に比べると充電時間・走行距離ともに優れているものの、普及するためにはいくつか克服しなければならない点もあります。

メリット

  • ガソリン車と同様の充填時間
  • 温室効果ガスを排出しない
  • エネルギー効率が良い

デメリット

  • 燃料となる水素が高い
  • インフラ整備に時間と費用がかかる
  • 水素脆化(すいそぜいか)による車体の劣化対策が必須
  • 高額で車体が重い

ハイブリッド車

ガソリンによるエンジンと電気によるモーター、二つの動力源を利用している自動車です。状況によって動力源を使い分けたり、エンジン・モーターを同時に使用したりすることで低燃費に貢献します。

メリット

  • 燃費が良い
  • 走行が静か
  • ガソリン切れでもモーターのみで走行が可能
  • 温室効果ガスの排出が低い

デメリット

  • 購入費用が高い
  • 走行が静かなため歩行者が気付きにくい
  • 車体が重い
  • 製造や廃棄にコストと手間がかかる

プラグインハイブリッド車

家庭用の電源からプラグを差し込んで電力供給できるのが、プラグインハイブリッド車と呼ばれるものです。電池を多く載せることでより電気自動車に近い状態にしつつ、ガソリン使用の余地も残しています。

メリット

  • 電気自動車と同様の走行が可能
  • 温室効果ガスの排出が少ない
  • 低燃費

デメリット

  • 購入費用が高い
  • 車体が重い
  • 電池を多く乗せなければならないので車内空間が狭くなる

低公害ディーゼル車

低公害ディーゼル車とは「コモンレールシステム」と呼ばれる新しい燃料噴射装置により、従来のディーゼル車に比べて騒音や排出ガスを格段に抑えているディーゼル車のことです。特にヨーロッパでの普及が進んでおり、日本でも次世代自動車として認定されています。

メリット

  • 燃料が軽油でガソリンよりも安い
  • ガソリンスタンドでの給油が可能

デメリット

  • 価格が高い
  • ディーゼルエンジンを使用するため車体が重い

 

次世代自動車に続け!「第三のエコカー」

次世代自動車に続け!「第三のエコカー」

次世代自動車の次を見据えた「第三のエコカー」は、より生活に密着したカーライフの実現をお手伝いします。

第三のエコカーとは

第三のエコカーとは、「ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載していながら、ハイブリッド車と同等の燃費の良い軽自動車・小型車」のことを指します。最大の特徴は「車体が小さいこと」ですが、このほかにも第三のエコカーには以下のような特徴があります。

  • 低燃費性能のエンジン
  • 車体が軽い
  • アイドリングストップ機能搭載
  • 空気抵抗を考慮したフォルム
  • 価格帯が安い

従来のエンジン機能を進化させ、普通車と同様の燃費を持つ軽自動車や小型車は、価格帯の安さから「お財布のエコ」という点で特に人気が高まっています。

第三のエコカーのメリット・デメリット

第三のエコカーとなる軽自動車や小型車には、以下のようなメリットがあります。

  • 日常生活で使いやすい
  • 購入しやすい価格帯である
  • エコカー減税の対象となっている

特に注目されるのは、2015年から導入されたエコカー減税。これにより、普通乗用車に比べて購入しやすい軽自動車がさらに安く手に入れられるのです。しかし、一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • 軽自動車税が増税されている
  • ハイブリッド車と比べてパワーが足りない

第三のエコカーは購入金額の面から見ると大変魅力的ですが、自分のライフスタイルやランニングコストなどもよく考えたうえで選ぶことが大切です。

今さら聞けない「エコカー減税」のやり方とメリットについて 今さら聞けない「エコカー減税」のやり方とメリットについて

 

環境保全を考えて開発されているエコカーは、日々進化を続けています。多種多様なエコカーの中からより納得のいく車を選ぶために、消費者側も知識を深める必要性を感じます。