この記事の目次
博多の郷土料理「おきゅうと」
おきゅうと(おきうと)とは
おきゅうとは、古くから福岡県の博多地区を中心に食べられている海藻の加工品です。
江戸時代より食べられていた記録が残っており、大戦前には明け方「おきゅうと」を売る行商人の姿が見られるなど地域に根ざした食べ物で、いまや福岡市内のみならず、九州の各地で食べられてます。
原料はエゴノリとイギス。これらを煮溶かし、固めていただきます。
「お救人」「沖独活」と漢字で表現されることもあるおきゅうとですが、名前の由来は、
- お救人…享保の飢饉の際に誕生し、多くの人を救ったため
- 沖独活…エゴノリの成長は独活(ウド)のように早いため、沖の独活という意味を込めて
だと言われています。
おきゅうとの作られ方
おきゅうとがどのように作られているのかを見ていきましょう。
- 手順1エゴノリ、イギスをよく洗い、ごみや小さな石を取り除く
- 手順2天日乾燥させる(数回行う)
- 手順3エゴノリとイギスを混ぜ、鍋でひと煮立ちさせたあと、酢を入れ煮溶かす
- 手順4裏ごしし、小判型に成型して固めたら完成
博多で販売されているおきゅうとは、小判型のものをくるりと丸めたような形で、古くから木箱に並べられて売られていました。購入の際は「あめ色・ひきがある」ものを選ぶようにし、「黒っぽいあめ色」は避けた方が良いとされています。
また、福岡のスーパーでは必ずあると言われていますが、おきゅうと草を買い自宅で作ることも可能です。
おきゅうとの気になる味
海藻を固めたおきゅうとは、味がほとんどありません。ところてんに似ているとも言われますが、ところてんよりもっちりした食感。独特の食感とツルリとしたのどごしが特徴です。
食べる際は5mm程度の太さに切り、調味料や薬味をかけていただきます。定番はかつおぶし・すりおろししょうが・しょう油・すりごま。酢味噌やサラダと合わせてもおいしくいただけます。よく冷やすとおいしさがアップします。
商品紹介
伊都野菜 博多おきゅうと
福岡県の玄界灘で採取したおきゅうと草を使い、糸島で作られたおきゅうとです。製造したその日に出荷されるので新鮮。既にカットされているため、さっと味付けすればすぐに食べられます。購入した博多出身者が「地元の味!」と太鼓判を押す商品です。
石川県の郷土料理「べろべろ」
べろべろとは
石川県金沢市の郷土料理「べろべろ」は、溶き卵としょうが入りのだし汁を合わせ、寒天で固めたもの。砂糖が入っているので甘みがあり、竿のようかんを切り分けたような形状をしているため、初めて食べる人は料理なのか菓子なのか悩むようです。
見た目がべっ甲のようだ、ということからその名が付いたべろべろですが、
- 柚餅子に似ているため「えびす」「えべす」
- サッと作ることができることから「はやえべす」
などの名前で呼ばれることもあります。
古くから祭りや祝いごとに欠かせないハレの日の料理で、おせち料理に登場するほか、おもてなしに供されることも。
時代が進んだことでスーパーで購入することもできるようになり、地元の小学校では給食のおかずとして出てくることもあります。
べろべろの作り方
べろべろの一般的な材料は
- 寒天
- 卵
- しょう油
- 砂糖
- しょうが
- だし
となります。
作り方は、
- 手順1だし汁を鍋にかける
- 手順2水にもどした寒天をちぎって入れ、寒天を煮溶かす
- 手順3寒天が溶けたところで調味料を加え、一度沸騰させる
- 手順4沸騰しただし汁に溶き卵を流し入れ、卵がふんわり浮いてきたら軽くかきまぜ火を止める
- 手順5容器に入れて、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める
- 手順6固まったところで容器から出し、切り分ければ完成
商品紹介
加賀落雁さぽん 洗顔石鹸 べろべろ金箔
金沢の看板商品「加賀落雁さぼん」は、前田家の家臣・水野家の伝承を受け継いでいる石鹸で、石川県内の優秀な製品に与えられる「石川ブランド」の認定を受けています。
いろいろな種類がありますが、「べろべろ金箔」は金箔と金沢の郷土料理「べろべろ」がコラボレーションした石鹸です。
金箔をハレの日にいただくべろべろの卵に見立てた華やかで豪華な石鹸で、植物由来の
- タマリンド
- ヒアルロン酸Na
- 水溶性コラーゲン
- 水溶性プロテオグリカン
が配合されています。
絶妙な弾力感があり、優しい洗い上がりも特徴です。一つひとつ化粧箱に入っているので、贈り物・お土産にも最適です。
奈良県の郷土料理「しきしき」
しきしきとは
しきしきは、奈良県の新庄や葛城の當麻でよく食べられているおやつで、小麦粉に砂糖と卵を合わせたものをフライパンに薄くのばし、クレープのように折りたたんだものです。
古くは休耕田を利用して栽培された小麦粉を使って作られ、卵が貴重品だったころは水が使われていました。自宅で作られることも多く、祭りの屋台や居酒屋でも食べることができます。
しきしきの作り方
クレープみたいと形容されるしきしきの材料はクレープと同じ。基本は薄力粉・砂糖・卵を使います。水を少々加えたりするほか、アレンジされることも多く、生地に野菜を練り込んだり包む際にジャムを塗ったりすることもあります。
山口県の郷土料理「ゆうれい寿司」
ゆうれい寿司とは
山口県南西部、厚狭郡楠町吉部地区(現在の宇部市)の伝統料理で、誕生した時期ははっきりとは分かっていませんが江戸時代中期だと言われています。多くの寿司は魚と米を合わせて握られていますが、ゆうれい寿司は具のない真っ白い押し寿司。見た目が真っ白なことが名前の由来です。
少々海から遠い吉部地区は、鮮魚を手に入れることが難しい場所でしたが、古くから米どころ。おいしい米に酢を加えた白寿司を、正月やお盆・祭りなどハレの日のごちそうとしていました。季節によっては、柳やしそ・さんしょうの葉が乗せられることもあります。
ゆうれい寿司の特徴
オーソドックスなゆうれい寿司は酢飯のみですが、時代とともに、さまざまな具が入れられたものが誕生しています。
基本は、昆布を入れて固めに炊いたご飯にあわせ酢を混ぜ、芭蕉の葉を重ね敷いた型で抜いて作られますが、現代風のゆうれい寿司は、ニンジン・シイタケ・ゴボウ・油あげといった具材を混ぜたかやくごはんと白い酢飯を重ねたもの。
作り方は、
- 手順1ニンジン・シイタケ・ゴボウや油あげを煮て、かやくごはんを作る
- 手順2型に入れる際、かやくごはん・真っ白い酢飯の順番に入れてしっかり押さえ、層を作る
- 手順3かやくごはんと酢飯の層を三段ほど作り、表面の酢飯を芭蕉の葉で覆う
- 手順4重しを乗せてしばらく形を整えれば完成
です。一番上は真っ白ですが、切り分けると美しい層が姿を現す見た目にもこだわった押し寿司です。
よその人が聞くと不思議な名前の料理ですが、地元の人にとっては古くから土地に馴染み、愛され続けている料理。
名前の由来は歴史や文化にもつながり、それらに思いをはせながら食べると料理の味にも深みが増します。特徴ある名前を持つ郷土料理は各地にありますので、気になったものは調べてみてはいかがでしょう。