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バラの分類
バラの種類は「ワイルドローズ」「オールドローズ」「モダンローズ」の3つに分類されます。
ワイルドローズ
ワイルドローズとは、人工交配・改良がされていない原種のバラで「野生種」と呼ばれる品種です。
北半球の温帯に属する地域で約200種類が自生していると言われる野生種のバラは、一季咲きのため春にしか花を咲かせません。
- 花弁は5枚
- 樹形は半つる
という構造をしたものが多く、垂れ下がって地面を覆ったり這ったりしながら伸びます。
また、葉柄の付け根に托葉(たくよう)があり、環境や病気に強く、手入れをほとんどしなくてもたくさんの花を咲かせる、という特徴を持っています。
ワイルドローズの代表格で、現代のバラの祖先種とも言われる、
- ノイバラ
- ハマナス
- コウシンバラ
これらが品種改良され、オールドローズとモダンローズが生まれました。
オールドローズ
オールドローズは古くからある歴史的な品種群のことで、モダンローズの元になった品種です。
具体的には、1867年に最初のモダンローズとして発表された「ラ・フランス」が登場する以前から栽培されていた種類のことを指し、「古典的品種」「原種系」のバラとも呼ばれています。
改良の元になった品種では、
- カリカ系
- ダマスク系
- アルバ系
- ケンティフォーリア系
が代表的です。
オールドローズのほとんどはワイルドローズと同様に春だけの一季咲きで、
- カップ咲き:花弁が内側に向かって丸くカーブしているため、カップのような見た目となる咲き方
- ロゼット咲き:花の中心部に多くの花びらが密集し、そこから放射状に広がる咲き方
のように、優雅で美しい花の形をするものが多く見られます。また、豊かな香りも特徴で、その強い香りは古くから香水・バラ水として活用されてきました。花の色は、赤・ピンク・紫・白が中心です。
モダンローズ
上述したように、1867年にフランスのギヨーによって人工交配により作り出されたラ・フランスがモダンローズの原型です。
古代から続くバラの歴史を考えると、モダンローズの歴史は150年ほどであるため、比較的新しい品種と言えるでしょう。
ワイルドローズとオールドローズは一季咲きでしたが、モダンローズでは四季咲きを特徴としています。また、花びらが剣のようになっており中央の芯が高くてとがった形をしています。
モダンローズには、それまでなかったような花色が出現し色彩豊かなバラが数多く生まれました。生花店で一般的に販売されているバラのほとんどはモダンローズで、代表的な系統には、
- ハイブリッドティー系
- フロリバンダ系
などがあります。
また、自宅でバラを育てる人も増えており、
- 大きな庭がなくても鉢植えでバラを楽しめる、高さ30㎝ほどの「ミニチュア」
- つるを伸ばしてフェンスや壁一面に美しい花を咲かせる「つるバラ」
などが今人気を集めています。

人気のバラの種類
ワイルドローズのおすすめ
ハマナス
ハマナスは、東アジアの代表的な原種バラと言われている品種です。日本での主な分布地は北海道から本州東北地方辺りで、海岸の砂地に自生しています。
樹高は30㎝ほどで、花壇で栽培すると高さ1.5mにまで成長します。花は一重で9cmほどの濃いローズ色で、葉は葉脈がくっきり、枝にはたくさんのトゲが密生しています。
ノイバラ
野バラとも呼ばれる、日本を代表する最も一般的な野生のバラで、北海道から九州まで全国の野原や川原で見ることができる品種です。
半つる性の落葉低木で、よく枝分かれした茎は
- 直立タイプ:あまり横に広がることなくまっすぐ上に伸びていくタイプ
- 半直立タイプ:直立に比べるとやや横に広がるものの、上に向かって伸びていくタイプ
のどちらかで成長します。5月~6月にかけて白い花を咲かせ、秋になると赤い実がなります。
秋を代表する「実もの」として、フラワーアレンジでも人気です。
オールドローズのおすすめ
カーディナル・ド・リシュリュー
つるバラの代表で、オールドローズの中でもよく知られている品種。香りはほのかなダマスク系です。
花の色が特徴的で、咲き始めは赤みの強い紫色をしているが、だんだん青みがかった紫色へと移ろいでいきます。鮮やかなでしっかりとした紫の色調はカーディナル・ド・リシュリューならではと言えるでしょう。
花付きが良く、ポンポン咲きの花をこぼれるようにたくさん付けて咲きます。また、枝は細くて曲げやすくトゲもほとんどないため、アレンジメントなどの花材にも取り入れやすい、さまざまな用途にもってこいの品種です。
メイデンスブラッシュ
花名は「乙女のはじらい」を意味します。ロゼット咲きで整った花型を持ち、花色の優しいピンク色と青みを帯びた葉のコントラストは目を見張る美しさです。
甘く強い香りで古くから知られている品種のメイデンスブラッシュは、ルドゥテの絵画にも描かれています。
半日陰での栽培にも耐えられるほどの耐寒性・耐病性を持つ強健種です。
マダム プランティエ
つぼみの時には淡い紅色ですが、開花するとごく淡いクリームピンクの周りをやわらかな白で包み込んだ優美な色調が生まれる、フルーティーで豊かな香りを特徴とする品種です。
枝ぶりはしなやかなで、弓状に枝垂れさせると枝がよく伸び、花付きも良くなります。
モダンローズのおすすめ
マリアカラス
香りの名花とも言われる「クライスラー・インペリアル」の交配種であり、強いダマスク系の魅惑的な香りを放ちます。
耐暑性・耐寒性があり、強健で花付きも良く育てやすいことから人気品種の一つです。
大輪で色は濃いローズピンク、半剣弁高芯咲きで10㎝ほどの少し丸みがある花形が特徴です。
パパメイアン
ビロードのように艶やかな黒が特徴的なパパメイアンは、黒バラの代表的な品種として長く親しまれてきた品種です。
大輪咲きで芳醇なダマスクの香りを放ち、肉厚な花弁はしっとりとした質感で気品を漂わせます。
ガーデン パーティ
クリームイエローにボカシのような淡いピンク色の厚い花びらと半光沢の葉を持つ、華やかな雰囲気にあふれた品種で美しいバラです。
大輪で、甘くて豊かなティー系の香りを楽しむことができます。
地域ブランド認定!守山のバラ
もりやまのバラ
滋賀県の南西部、琵琶湖の東岸に位置する守山市は、全国的にも有名なバラの産地です。バラ生産量は滋賀県内の7割を占め、もりやまのバラは、経済産業省の「地域ブランド」にも認定されています。
約3000平方メートルの広さを誇る「もりやまバラ・ハーブ園」には、
- イングリッシュローズ
- クライミングローズ
- フロリーバンダローズ
など全部で82品種、合計1300本ものバラが植えられています。
おすすめのシーズンは、
- 春バラが5月中旬~6月中旬
- 秋バラが10月中旬~11月中旬
園内にはバラの良い香りが漂います。
バラのほかにもハーブと観葉植物も植栽されており、年間をとおして楽しむことができます。
バラの花びらでジャム作り「ばらじゃむ」
守山市の特産品であるバラの花びらがたっぷり使われた「ばらじゃむ」は、「バラでまちおこしを進めよう」と守山商工会議所が企画し、バラの花びらを素材に商品化したものです。
数種類のバラをブレンドして作られたばらじゃむは、甘酸っぱい味と爽やかな香りが特徴で、紅茶に入れるときれいに花びらが開き、見た目にも楽しむことができます。
華やかで気品あふれる姿と芳醇な香りを放つバラは、野生種のワイルドローズから、オールドローズ・モダンローズとさまざまな品種に改良されて生み出され、現在ではその種類は世界2万種になるとも言われるほどです。
今後も、さまざまな美しいバラが人々を魅了し続けていくことでしょう。