この記事の目次
七味唐辛子の成分
主な薬味
七味唐辛子は、7種類の薬味を合わせて作られた日本独自の調味料です。そばやうどんをはじめ、煮物や豚汁など和食によく合う七味唐辛子は、江戸時代の1625年(寛永2年)に誕生しました。
漢方薬を食事とともに摂取できないかと、江戸薬研堀の薬種商人であった中島徳右衛門(からしや徳右衛門)が考案。江戸時代のファーストフードであったそばによく合うことから人気を博し、全国各地に広まっていきました。
江戸周辺での呼び名は七色唐辛子や七種唐辛子。七味唐辛子は上方風の呼び方になります。
七味唐辛子の最も古い調合と言われているものは、
- 赤唐辛子(生)
- 赤唐辛子(煎ったもの)
- 粉山椒
- 黒胡麻
- 麻の実
- ケシの実
- 陳皮
の7種ですが、唐辛子・粉山椒・黒胡麻・麻の実以外の薬味は、全国各地の店舗によって調合が異なり、生姜や紫蘇・青のりが入っているものもあります。
また、薬味にゆずを調合した「ゆず七味」なども販売されており、ゆずの風味を楽しめると、多くの人気を集めています。
さらに、香りが奥深い生のタイプの七味唐辛子もあります。こちらは、ごはんに乗せたり、豆腐に乗せたりしても美味しくいただけます。
液体にも溶けやすいので、鍋の味つけやドレッシングなどにも使いやすいのがポイント。粉末の七味では刺激が物足りないと感じる人は、ぜひ一度味わってみてください。
七味唐辛子の大事な成分、唐辛子の歴史
七味唐辛子でもっとも重要な成分はもちろん唐辛子ですね。そのルーツをたどると……アメリカ大陸からヨーロッパへ、その後、アジア(中国やタイ)などに広がりました。そして16世紀中ごろには日本に持ち込まれたことで、その後の七味唐辛子の誕生へとつながります。
七味唐辛子の成分と効果
薬味である七味唐辛子には、さまざまな効果があると言われています。
- 唐辛子:血行や血流をよくし、発汗をうながす
- 粉山椒:新陳代謝を高める・胃腸機能の向上
- 黒胡麻:肝臓や腎臓の機能向上
- 麻の実:抗酸化作用・整腸作用
- 陳皮:温州みかんの皮を乾燥させたもの。健胃消化作用・咳止め効果
- 生姜:鎮痛・鎮咳・解熱作用。体が温まる
- 紫蘇:殺菌・防腐作用・免疫力増加作用・咳止め効果・健胃作用
- 青のり:抗酸化作用・腸内環境を整える作用
七味唐辛子のカロリー
商品によって薬味の種類が異なるため一概には言えませんが、100gあたり400kcl前後となります。うどんやそばの薬味として使用する場合、だいたい1g程度なので、一回の使用量は4kcl前後となります。
具体的な栄養成分は?
七味唐辛子には、上記の通りさまざまな材料が入っていますが、一般的なものであれば
ビタミンB2・B12・C・Eなどのビタミン群や、タンパク質、カリウム、鉄分、さらには葉酸やセサミン、パントテン酸などの成分が含まれています。
賞味期限はある?保存方法は?
賞味期限は商品によってまちまちです。早いもので4ヶ月、長いもので1年半ほどのものも見られますが、風味を楽しむためにも早めの消費がおすすめです。
開封したら冷蔵庫に保管するようにしましょう。冷蔵庫で保管することで湿気や退色を防ぎやすくなり、唐辛子を好む虫から守ることもできます。
また、生タイプの七味唐辛子は一週間ほどで品質が落ちてしまうため、早めにいただくようにしましょう。
特に、唐辛子は熱や湿気に弱く、風味が落ちてしまうので、コンロの近くで保管するのはできるだけ避けましょう。
家庭で七味唐辛子を使用する場合、一度に使用する量が少ないため、賞味期限が切れたり、風味がとびやすくなります。封を開けたらすぐに冷蔵庫に入れましょう。
おすすめの七味唐辛子
やげん堀 七味唐辛子
「やげん堀」は1625年(寛永2年)、現在の東日本橋一丁目にあたる薬研堀で誕生しました。
初代のからしや徳右衛門が漢方薬をヒントにして作り出した七味唐辛子は人気を博し、1943年(昭和18年)に浅草に転居した後も、江戸の味として多くの人から支持を得ています。
七味唐辛子の元祖と言われるやげん堀の七味には、唐辛子・焼唐辛子・ケシの実・麻の実・粉山椒・黒胡麻・陳皮が使われています。
「七味唐辛子・中辛」は、うどんやそばをはじめ、味噌汁・ご飯と、さまざまな料理に使える人気商品。紹介されたという人や、お土産で頂いた人のリピート率も高く、一度味わうとやみつきになるおいしさです。
八幡屋礒五郎 七味唐辛子
長野の七味といえば名前が挙がる「八幡屋礒五郎」。善光寺の門前で1736年(元文元年)に七味唐辛子の販売を始めたお店です。
七味に使われているのは唐辛子・山椒・生姜・麻種・胡麻・陳皮・紫蘇。麻の産地が近く自生している山椒があり、乾物であった陳皮は上片(かみかた)から仕入れていたものの、そのほかの材料は農家から仕入れることができたことから、八幡屋礒五郎独自の味が生まれました。
赤い缶に金色のフタ、創業以来の秘伝の調合で作られた七味唐辛子の特徴は辛味・風味も抜群だと固定ファンも多い商品です。
大きさの異なる3種類の缶入りのほか、ビン入り・袋入りの3種類・ひとふり袋などラインナップも豊富なので、風味を落とさず味わえる七味唐辛子を選ぶことができます。
七味家本舗 七味唐がらし
京都・清水寺門前にある七味家総本舗の七味唐辛子です。江戸・明暦年間(1655~1659年)に茶店として創業しましたが、白湯に唐辛子粉をふりかけた「からし湯」が評判となり、時代とともに七味唐辛子を商うようになりました。
香り高いと評判の七味唐辛子には、唐辛子・山椒・黒胡麻・白胡麻・紫蘇・青のり・麻の実を使用。
山椒へのこだわりが強く、「山椒のできが悪く、良質なものが手に入らない時は一年間商売を休む」という心構えを持っています。
小袋・大袋のほか、プラスチック容器付きなどラインナップも豊富で、お土産としても人気がある商品。国内のみならず、海外へのお土産にされる人もいらっしゃいます。
七味唐辛子には大麻の種が含まれている?
依存性は大丈夫なのか
どの七味唐辛子にも含まれている大きな粒の麻の実は、大麻取締法で禁止されている大麻の種。そのようなものが入っていて大丈夫なのか、と不安になるかもしれませんが、七味唐辛子に入っているのは食用に適したもので、麻薬成分が少ない品種が使われています。よって、依存性もありません。
麻の実には体を作る良質なたんぱく質がたっぷり含まれており、
- ビタミンE
- ビタミンK
- ビタミンB1
- ビタミンB6
- 鉄分
- マグネシウム
- 必須脂肪酸
も豊富。栄養価の高いスーパーフードとしても注目を集めています。
発芽させようと思ってはいけない
七味唐辛子に入っている麻の実は、加熱処理が施されているので、土に植えても発芽することは基本的にはありません。
しかし過去に、好奇心から七味唐辛子の麻の実を植えたところ発芽し、大麻取締法違反で逮捕されたという事例があります。
発芽させるだけでも逮捕となるため、なんらかの事情で処分する際にも、土の上にまかないように気を付けましょう。
そのほか大麻が使用されている製品
麻の実は七味唐辛子のほか、料理のスパイスとしても使用されています。和え物に利用されることが多いですが、ソースの具材として用いられることも。
また、鳥の餌としても販売されています。この場合は栄養補助食品として、主食の中に混ぜて鳥に与えます。
栄養価の高さで話題沸騰中のスーパーフードに迫る!
7つの薬味を配合して作られた日本の調味料である七味唐辛子は、江戸時代に誕生して以来、日本の味として愛され続けている調味料。独特な味と風味を持つ七味唐辛子は、いまや海外向けに販売されているものもあり、多くの外国人ファンを獲得しています。
さまざまな店が、こだわりの薬味で独自の七味唐辛子を販売しているので、いろいろな風味を味わってみてはいかがでしょう。