食品・食材アカモクの食べ方は?効能も一挙に公開!

捨てられていた海藻「アカモク」がスーパーフードになった理由

全国の沿岸に幅広く生育しているアカモク。もともと食用にされていた地域を除いてやっかいもの扱いされることもしばしば…。しかし近年、その効能が注目されています。そこで今回は、アカモクの食べ方をメインに紹介していきます。

アカモクとは

アカモクとは

アカモクはホンダワラ科の海藻です。緑色ですが、老成すると赤褐色になります。7m程度にまで成長し、漁船のスクリューに絡まってやっかいもの扱いされることもしばしば。北海道から鹿児島の沿岸にはどこにでも繁茂する、冬から春にかけて伸びる一年生の海藻です。

漁の邪魔者扱いされる地域も

タンニンが多く組織が硬いために成熟したものは食用に適しませんが、地域によっては若い部分が古くから食べられていました。しかし、好んで食用にされてきた地域がある一方で、漁の邪魔になると毛嫌いされてきた地域も少なくありません

ただ、食べてみるとネバネバでシャキシャキの新しい食感と磯の香りが感じられ、食べ始めると止まらなくなるようなクセを持っています。ぬめりにはフコイダンという抗酸化作用と抗菌作用を持つ成分が豊富に含まれており、食べ方次第では、味だけでなく健康にも良い食品として注目されています。

地域ごとの色々な呼び方

アカモクは岩手県や秋田県・山形県・新潟県・京都府など日本海側の漁村を中心に古くから食べられていました。

各地で呼び方が異なり、

  • 秋田県ではギバサ
  • 山形県ではギンバソウ
  • 新潟県ではナガモ
  • 島根県ではハナタレ

と呼ばれています。

また、漁の邪魔になるからと嫌われてきた地域では、ジャマモクやバツモクと呼ばれ、ゴミとして廃棄されてきた側面もあります。

 

アカモクを食べるとこんな効能が

アカモクの栄養素と効能

健康に良く機能性の高い食品として注目され、人気急上昇中のアカモク。後述するように多くの食べ方があるだけでなく、その人気に恥じない豊富な効能を誇ります。

ネバネバの正体「フコイダン」が大活躍

特に注目されている成分は、ネバネバの正体である水溶性の食物繊維であるフコイダンとアルギン酸。水溶性の食物繊維は便秘の解消に効果的です。

なかでもフコイダンは、

  • 白血球の免疫機能活性化
  • 抗がん作用
  • ピロリ菌の抗菌
  • 抗アレルギー作用
  • 中性脂肪とコレステロールの低減
  • 口臭の予防

などのさまざまな効能を持つ優れた成分。フコイダンが豊富と言われているモズクよりさらに多く含まれています。

また、骨作りに重要なカルシウムとマグネシウム、骨からカルシウムが流出するのを防ぐビタミンKが多く含まれているため、骨粗しょう症の予防にもなります。

ダイエットにも効能アリ

豊富な栄養素を誇るアカモクは、ダイエット効果が高いとされていることも注目されている要因の一つです。

それは、前述の水溶性食物繊維であるフコイダンによる中性脂肪とコレステロールの低減効果と便秘解消作用に加えて、脂肪燃焼を促進する効果があるフコキサンチンという成分が豊富に含まれているからです。

フコキサンチンは海外でも注目されている成分で、海藻類のなかでもアカモクは最もその含有量が多いとされています。

注意
アカモクに限らず海藻類にはヨウ素が多く含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分として重要な役割を持つ成分です。しかし、その過剰摂取は逆に健康被害を引き起こすことにつながるので、食べ過ぎには気を付けてください

 

アカモクを食べる前に押さえるポイント

アカモクの食べ方
アカモクをおいしく食べるためには、

  • 下処理の方法
  • 保存方法

を抑えるのがポイントです。

下処理はていねいに

生のアカモクには、多量摂取することで健康被害が出るミネラルの一つであるヒ素が含まれています。ヒ素を減少させるにはしっかりと下処理を行う必要があります。

  • 手順1
    水洗い
    漁獲されてすぐのアカモクには、小さなゴミ・泥が付着していることがよくあります。2回~3回程度ゆすぎ、汚れを落としましょう
  • 手順2
    葉の部分のみを取り出す
    アカモクの茎の部分は非常に固く口当たりもよくありません。先端から根の方向に向かって取るようにすると、葉の部分のみをきれいに集めることができます
  • 手順3
    再度水洗い
    葉のみになったところで、先ほど取り除けなかった細かなゴミを再度水洗いすることで完全に洗い流します
  • 手順4
    湯がき
    アカモクの色が茶色から緑色に変化するまで数十秒ほど湯がきます
  • 手順5
    冷水で冷やす
    湯がき終わったアカモクを冷水にさらします。この作業が終わると、アカモク特有の粘り気が出てきます
  • 手順6
    水切り
    しっかりと水切りを行います。

日持ちは短め。食べきらない場合には冷凍を

下処理が完了したアカモクは日持ちがあまりせず、冷蔵で保存しても2日~3日ほどが限界です。すぐに全部を食べきれない場合には冷凍保存しておくと良いでしょう。

 

アカモクの食べ方

アカモクの食べ方

アカモクには、もずくのようにそのまま酢の物としていただく食べ方だけではなく、意外と多くの食べ方があります。その奥深さをのぞいてみましょう!

アカモクと相性の良い食べ物

アカモクにお好みでしょうゆやポン酢をかけて食べてもネバネバ食感が病み付きになりますが、納豆やとろろのようなネバネバした食べ物と組み合わせても相性がよく、おいしくいただくことができます。

好みの具材と合わせてどんぶりに

アカモクは、ご飯の上にかけて食べればまさに絶品です。上記のように納豆やとろろと混ぜ合わせた後にご飯の上に乗せるだけです。シソ納豆であれば、タレをかけるだけでシソの風味もプラスされるのでオススメです。

実は、アカモクは「海の納豆」とも呼ばれています。「ダブル納豆」でパワーを注入ですね!

磯の香りを満喫したい場合には、生しらすや塩ゆでシラスと軽く混ぜ、ポン酢や酢醤油を一回しすると絶品に早変わり。

切り刻むと粘り気がアップ
アカモクは、ゆでた後に包丁で簡単に細かく切り刻んでおくと、より粘り気が増します。アカモクらしさをより強く味わいたい方はぜひこの方法で食べてみては

さっぱり小鉢に

どんぶりほどたくさん食べる勇気がない……という方は、まず前菜の一品として小鉢ではいかがでしょうか。

例えばオクラを乗せてポン酢をかけたり、もっと簡単に済ませたければ、ゆでたアカモクにかつおぶしをふりかけて、こちらも同じくポン酢をかけるだけで一品のできあがり。

この食べ方でも十分にアカモクの魅力に引き込まれるかも……!

みそ汁のトッピングに

みそ汁にアカモクを入れると、なめこ汁とはまた少し違ったとろとろ食感のみそ汁に大変身。こちらもおすすめですので、気になった人はぜひ試してみてください。

みそ汁に入れるタイミング
調理過程ではなく、食べる直前に入れるのがベストです。

炒め物やソースにも変身

実は、アカモクは加熱しても粘り気がなくなりません。そのため、例えばお肉や野菜、豆腐や油揚げなどと一緒に醤油や味噌ベースで炒めることで、栄養のバランスをさらに整えることができます。それだけでなく、ネバネバが他の食材を包み込むことでうまみが逃げにくくなる効果も。生の風味が苦手な場合にはぜひ試してみては。

同様に、ソースを作って魚のソテーにかけるのもオシャレですね。和洋どんなメニューにも合わせることができるのも、アカモクの強みの一つでうす。

さらにレベルアップした食べ方としてはてんぷらもあります。衣にアカモクをまぜて揚げるだけででき、サクサク・モチモチの食感が楽しめます。

 

アカモクで地方創生へ

アカモクで地方創生へ

全国アカモクサミット

アカモクの活用による地域活性化を目指し、岩手県アカモク生産協同組合が主催で2016年秋に第3回全国アカモクサミットが開催されました。主催の岩手アカモク生産協同組合は、1998年に岩手県三陸沿岸部の牡蠣漁師が中心となって設立したアカモク専門の協同組合です。

サミットでは、アカモクの健康効果や加工技術などが発表されました。アカモクはうまく活かせば重要な地域資源の一つとなる可能性を秘めています。サミットは、その可能性を最大限引き出すために、知名度の向上と普及活動を行うことを目的としています。

アカモクの多角的利用

アカモクはメディアへの露出が増えてすでに各方面から注目されているものの、さらに大きな地域資源となる可能性を秘めています。そこで、アカモクを地域ブランド化し、地域経済を活性化する多角的利用が求められているのです。

現在アカモク流通の主流となっているのは、アカモクを湯がいたり冷凍したりしてそのまま商品化する一次加工品。このアカモクを調味料などに二次加工できれば、特色ある付加価値を持った地域ブランドにすることが可能です。

例えば、神奈川県逗子市の株式会社TACでは、2015年から地元商工会や漁師と連携し、逗子産のアカモクを利用したしょうゆ・塩・酢を開発。商品化までたどり着いています。

また、前述のフコイダンやアルギン酸、フコキサンチンなどの有用物質を抽出してサプリメントや化粧品・医療品の原材料とできれば、さらに付加価値を高めることが可能です。

そのうえ、加工の際に発生する残渣も有用成分の抽出や畑への肥料として利用できるなど、有効活用が可能です。さらに、京都では根こぶ病という病気の抑制につながるのではないかという試験も行われています。

このように、アカモクはまだまだ活かしきれていない大きな可能性を秘めた地域資源なのです。

伊勢鳥羽志摩特産横丁 あかもく

三重県の伊勢志摩地方ではジャマモクと呼ばれることが多く嫌われてきたアカモク。そんな伊勢志摩では、近年のアカモクブームを受けてアカモク漁が行われるようになっています。

伊勢・鳥羽・志摩の特産品を扱う通販サイト「伊勢鳥羽志摩特産横丁」でもアカモクを販売。

ここで販売されているアカモクの特徴は、乱獲によって絶滅させないよう根元を避けて収穫し、手作業で異物を取り除き、洗浄した後に瞬間冷凍をしていること。洗浄や異物の除去などの下処理が済んでいるため、解凍すればすぐに食べられます。

萌えキャラ「渚の妖精ぎばさちゃん」

「渚の妖精ぎばさちゃん」はアカモクの販売促進と知名度の向上を目的に誕生したアニメキャラクター。湯通しすると赤から緑に変わるアカモクにちなんで、普段は赤い髪をしているぎばさちゃんも、テンションが上がるとその髪の毛が緑色に変色します。

出身地は宮城県塩釜市浦戸諸島。塩釜市からフェリーに乗ってすぐのところに位置する浦戸諸島には、桂島、野々島、寒風沢島、朴島の4つの有人島があります。ここは、2011年3月11日の東日本大震災によって発生した津波によって甚大な被害が出た場所。そんな地域を盛り上げようとキャラクターを作り、アカモクの特産化を目指しています。

合言葉は「ねばぎば」。アカモクの「ネバネバ」と「ギバサ」、「ネバーギブアップ」という震災復興への想いを掛けています。好きな食べ物はもちろんアカモク。2016年に行われた萌えキャラグランプリでは賞を受賞するなど活躍の幅を広げています。

 

これまで目を向けられることの少なかったアカモクは、その突出した機能性で地域活性化の鍵とする地域まで現れるようになりました。まだまだ可能性を秘めたアカモクに今後も注目です。