地域おこし協力隊地域おこし協力隊とは何か?その後はどうなる?

地域おこし協力隊とは何か?その後はどうなる?

ここ数年、多くのメディアで「地域おこし協力隊」という単語をよく聞くようになりました。地域百貨でも実際に協力隊として採用されている方のインタビュー記事を掲載していますので、その制度や実情について紹介したいと思います。

地域おこし協力隊とは

地域おこし協力隊の制度は総務省が定めたものになります。「地域力の維持・強化を図る」ために平成21年に定められ、この年に89人の隊員数でスタートしました。

その後、内閣主導の「まち・ひと・しごと創生法」に基づく総合戦略でのプッシュの甲斐もあり、平成28年度は全国886の自治体で合計3,978人の隊員が活躍しています。

平成27年1月に発表された「まち・ひと・しごと創生総合戦略における総務省の主な施策(参考資料) 」では、2020年に協力隊の数を4,000人に拡充させることを目標としていますので、これはおそらく大幅な前倒しでの達成となるでしょう。

まち・ひと・しごと創生総合戦略における総務省の主な施策(参考資料)

大まかな流れとしては、地方自治体が募集をする形でスタートします。農林水産業をはじめとして地域の活性化に貢献する人材を募り、これに希望者が応募をするというものです。

一部の地域ではこれとは逆のケースも存在しています。地域おこし協力隊を募集していなかった地域に対し、その地域で活動を行いたい人が行政に働きかけることでポストを用意してもらうものです。ただ、ごくまれですので、活動に興味のある方は実際に募集を行っている自治体に連絡をするのが良いでしょう。

給料について

地方自治体の委嘱を受ける形になりますので、肩書きとしては公務員になります。給与体系は採用を行う自治体によって額が異なるのですが、支給される上限は決まっています。

  • 給与:200万円以下
  • 活動費:200万円以下

という形になり、この2つを合わせると最大で合計400万円となります。月額で定めているところが多いですが、なかには日額で表記しているものもあります。

ただ、活動費については申請の手間が多くかかることから、多く使用している方は少ないという印象です。

福利厚生については明示している自治体がほとんどで、住居についても無償提供をしている地域もあります。

副業は可能

協力隊に応募される方のなかには、前職の知識や経験を活かすことで平行して会社を立ち上げたり、あるいは、良い意味で地域おこし協力隊の立場を利用して営利事業を行おうと考えたりする方もいらっしゃいます。そうした活動を禁止している自治体もあります(1日中役所の中でデスクワークを行う等)が、副業を積極的に推進している自治体もあります。募集要項のなかには「副業可」と明記してあるケースもありますが、そうでない場合には直接問い合わせてみることをおすすめします。

僕の中で勝手に地域おこし協力隊のパイオニアだと思っている眞鍋邦大さん(通称:「ポン真鍋」さん)は、協力隊として活動されながら株式会社459を設立(現在は存続しているか不明)、現在は株式会社四国食べる通信を運営されています。

主な事例

地域での活動はすぐに結果が出ないことも多く、また、何をもって成功事例と定めるかは大変難しいものがあります。ですので今回は、総務省が行っている「ビジネスアワード事業」の採択事例から2つピックアップします。

山形県長井市:佐藤亜紀さん

地域おこし協力隊事例_長井市「BabyBox」
(写真:ベビーボックス/NPO法人aLku /HOME)

長井市の特産品を使い、育児用品が詰まった「BabyBox」を市内の妊婦さんに贈るというものです。また、他の自治体や民間企業に対して横展開も行います。

先の資料によると、自治体での担当部署が5つに分断されたために多くの折衝が必要で、製造はもともと自治が行う予定だったのですが、交渉がまとまらず、結果的には佐藤さんが主導で事業を行うことになったとのこと。民間5社をまとめあげるのも大変な労力が必要ですが、役場の5部署となると相当に骨が折れるものだったと推測できます。

HP:「aLku オンラインSHOP

長崎県島原市:光野竜司さん

地域おこし協力隊事例_長崎県島原市
(写真:【島原半島まるごと♪お試しBOX】 – トトノウ Online Shop)

地域百貨でもインタビュー記事にさせていただいている光野さんです。島原市の野菜を詰め合わせてオンライン販売を行っています。特筆すべきは運営形態です。

地域おこし協力隊でありながら株式会社トトノウという会社を設立して代表になり、その役員に地域の農家を選任することで、その農家の方も積極的に経営に関わるという仕組みを構築しています。

HP:「株式会社トトノウHP

失敗例も多くある

現状ではこの失敗例が多くを占めると言っても過言ではありません。

隊員が何かを企画しても、それが実際に許可されるかどうかは自治体の手に委ねられているため、必ずしも自分のやりたいことができるとは限りません。また、一部の地域では、一般の事務処理や住民対応など既存の役場の人員で賄えない業務の「ヘルプ」という形で利用されているケースもあります。この場合に限っては、「ただ自治体が国のお金を利用して職員を1人増やしているだけ」という解釈をすることもできます。

そもそも名目上は地域活性ではありますが、地方自治体にとって、地域おこし協力隊の制度の活用は移住者を獲得することが目標のうちの一つでもあります。

地域おこし協力隊の募集要項に

「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を移動させた者であること」

という記載があります。つまり、大都市圏から地方に移住を確定させることが要件なのです。

この決断をすること自体が非常に重いことであるのは脇に置いておくとして、この要件はその地域にとって必ずしも必要な条件ではないでしょう(その一方で、地域にとって域外から1人の住民が増えるというのは、それなりのインパクトを持つことも事実です)。

その後はどうなる?

地域おこし協力隊の活動期間はおおむね1年〜3年と定められています。この活動期間を終えた後に協力隊の方々はどのように暮らしているのかというと、多くの方はその地域に住み続けています。その地域で企業に勤めたり、あるいは就農したりという形です。

また、なかには新たに起業をされる方もいて、そういった隊員のために総務省は追加の支援パッケージを用意しています(任期終了の前後1年の間に起業する方に対し、必要経費を100万円まで支援)。

 

地域おこし協力隊として地域のために活動をしたいと思われるのであれば、任期が終わった後も引き続きその地域に住み続けることを前提に、事前のリサーチや行政とのすり合わせを念入りに行うべきです。そうしないと、協力隊・行政・地域の方々全てが不幸になる可能性もあります。

制度が始まって8年が経ちますが、まだまだこの制度は模索が続くでしょう。