暮らしこれから献血を受ける人が知っておきたい条件とメリット

これから献血を受ける人が知っておきたい条件とメリット

街頭でよく見かける献血のプラカード。存在は知っていても、献血を実際に行ったことのある人はあまり多くないでしょう。そこで今回は、献血を行うための条件から得られるメリットまで、詳しく紹介していきます。

献血を受けるための条件

献血を受けるための条件

全血献血と成分献血

献血を受けるための条件を知る前に、まずは献血の種類によって採血の量が変わるという点をしっかりと理解しておく必要があります。

全血献血とは

血液中に含まれる全ての成分を採取する方法で、

  • 200ml献血
  • 400ml献血

の2種類あります。

成分献血とは

成分採血装置を利用して特定の成分のみを採血し、赤血球などの体内生成に時間がかかる成分は再び体内に戻す方法で、

  • 血小板を採血する「血小板成分献血」
  • 血漿(けっしょう)を採血する「血漿成分献血」

があります。

採血者の体への負担も小さく、輸血に必要な量を少ない人数で確保できるため、日本成分献血が推進されています。

身長・体重と年齢の基準

献血は誰もが受けられるものではなく、自身の体重・年齢・性別によって採血が可能であるかどうかが判断されます。また、受ける献血の種類によっても基準は変わるため、以下の表で見ていきましょう。なお、身長は基準材料には含まれません。

 全血献血の基準
200ml献血400ml献血
採血の量200ml400ml
年齢16歳~69歳男17歳~69歳
女18歳~69歳
体重男45kg以上
女40kg以上
50kg以上
 成分献血の基準
血小板成分献血血漿成分献血
採血量600ml以下600ml以下
年齢男18歳~69歳
女18歳~54歳
18歳~69歳
体重男45kg以上
女40kg以上
男45kg以上
女40kg以上

※65歳~69歳の人が献血を受ける場合、60歳~64歳の間で献血を行った経験がある人のみが対象

基本的に、人間に流れる血液の量は体重の約13分の1であると言われています。そして、献血で体に悪影響をもたらさないための目安として、血液の量の8分の1以下というものがあります。以下に例を挙げます。

体重が60kgの場合

60kg×1/13=4.6kg=4600g
4600g×1/8=575g

体重60kgの人は575ml以下、つまり400mlまでの献血が可能です。

体重が70kgの場合

70kg×1/13=5.4kg=5400g
5400g×1/8=675g

体重70kgの人は675ml以下、つまり600mlまでの献血が可能です。

血圧と血液の比重の確認

血圧の確認

血圧測定を行い、最高血圧の数値が90mmHgより低い人は献血を受けられません。また、高血圧の人も同様です。

血液の比重の確認

血液の検査により、血色素量を調べます。この数値が低い人は貧血の可能性があるため、献血を受けられません。

予防接種を直近で受けていないか

インフルエンザやA型肝炎・日本脳炎などのワクチンを24時間以内に接種した人は献血を受けられません。そのほかにも、

  • B型肝炎のワクチンを接種した人は2週間以内
  • BCGのワクチンを接種した人は4週間以内

などワクチンによって条件があり、直近で予防接種を受けた人は、問題がないか事前に確認する必要があります。

薬の服用はしていないか

当日に服用した薬の種類によっては献血を断られることがあります。目薬・点鼻薬であっても不可の場合があるため、献血の前には正確に伝えましょう。また、自身の体調が良くない場合にも、献血によってさらに体調が悪化する恐れがあることから断られる可能性があります。

 

献血の流れ

献血の流れ

受付

身分証明書による本人の確認と献血に関する同意書に了承を行った後、献血に申し込むことができます。なお、初回以降は一部が省略される場合もあります。

事前チェック

  • 健康状態は良好であるか
  • 薬の服用はないか
  • 事前に予防接種は受けていないか

など、安全に献血を行うため、事前に何点かチェックされます。

測定・検査

上記のとおり、血圧の測定・血液の比重チェックが行われます。事前に申告された血液型と相違がないかもここで調べられます。

採血

チェック・検査に問題がなければ採血が始まります。採血には

  • 全血採血:10分~15分
  • 成分採血:40分~90分

程度の時間を要します。

また、採血においては一人ひとりに新しい道具が使われているため、ウイルス感染の心配はありません。

献血後に注意すべきこと

献血が終わった後は、すぐには帰らずに休憩場所で最低でも10分は休憩をしましょう(車を運転する人は30分以上)。水分補給も大切です。ほかにも注意すべき点は多くあります。

トイレ

立ちくらみの恐れがあるため、採血直後は座位で行いましょう。

階段

落下の危険性もあるため、極力使用を控えましょう。

入浴

血圧が極端に上昇する恐れがあるため、入浴する場合は2時間以上の間隔を空ける必要があります。

飲酒

血液の量が減った状態で飲酒を行うと酔いが回りやすくなるため、最悪の場合、急性アルコール中毒を招く恐れもあります。

スポーツ

献血は体内の水分も減らします。直後のスポーツは脱水症状を引き起こす可能性もあるため厳禁です。

 

献血のメリットとデメリット

献血のメリットとデメリット

献血を行うことで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。

メリット

お菓子とジュースが無料でもらえる

献血の休憩所にはお菓子とジュースがたくさん置いてあり、無料で食べたり飲んだりできるのはうれしい点です。

また、何回か献血を繰り返してポイントをためると記念品がもらえる場合があります。コップ・皿などの日用品をもらえることも多いため、一人暮らしには重宝されます。

誰かの役に立てる

献血を行うことは、見知らぬ誰かの役に立つことへつながります。ボランティアはきついイメージを持たれがちですが、献血も立派なボランティアです。

ボランティアに興味はあるものの「やる勇気がない・何をすれば良いか分からない」という人は、まず献血から始めてみてはいかがでしょう。

さまざまな形で行われているボランティア活動 小さなことから始めてみませんか? さまざまな形で行われているボランティア活動 小さなことから始めてみませんか?

血液型が確認できる

自分の血液型を知らずに生活している人も少なからずいるでしょう。献血の際に希望をすれば、自分の血液型データを細部まで確認できます。血液型が必要になる場面はそこまで多くないですが、有事の際に正確な情報を知っていることは大切です。

デメリット

健康被害

献血を行うことで、めまい・意識障害・吐き気の症状が見られる場合があります。しかし、起こる可能性は1%未満と低いので、上記の「献血後に注意すべきこと」をしっかりと確認し、健康管理に努めていれば問題はありません。

当日の行動が制限される

献血後は運動・入浴・飲酒が制限されるため、当日の予定が残されている場合にはその後の計画に支障が出ます。なお、安静が必要となるのは当日だけのため、翌日は通常通りに行動できます。

 

献血は、多くの人を救うためのツールであり、気軽に行えるボランティアでもあります。また、条件はあるものの、それほど敷居の高いものでもありません。この機会にぜひ一度献血を試してみてはいかがでしょう。