この記事の目次
オーガニックとは
オーガニックは、日本語に訳すと「有機の」という意味があります。有機物とは、炭素を含む物質のことを指し、生物が作り出すことのできる炭素の化合物という意味で使われています。
農業で言う「有機」については、肥料として使われる「堆肥」を指しています。家畜の糞を使ったもののイメージが強い堆肥ですが、もともとは微生物の力で完全に分解された有機物のことを指しており、原料はさまざま。
- コンポストを使って作られる「生ゴミ堆肥」
- 米ぬかともみがらを合わせて作られる「もみがら堆肥」
などもあります。
以前までは、これら有機物を肥料に栽培されていた農産物にオーガニックという言葉は使われていたが、今では農薬と化学肥料を一切使わずに栽培された農産物に対しても使われるようになりました。
オーガニックの目的
自然界において、
- 有機物を微生物が分解する
- それを植物が吸収して成長する
- 人間を含む動物たちがそれを食べて生活する
というような食物連鎖が行われています。
つまり、人間が安心安全に生活するためには微生物と植物の環境についても配慮しなければなりません。そのためには、農薬や化学肥料に頼らず、できるだけ遺伝子組み換えは避けて、自然本来の健全な食物連鎖を守っていく必要があります。
これがオーガニックを行う目的です。
オーガニック野菜はおいしいのか
消費者庁による調査で、オーガニックの食品を購入するための動機として多数寄せられたのは「単純においしいから」という声でした。野菜が嫌いな子どもに対してオーガニック野菜を給食で出したところ、喜んで食べていたという例も報告されています。
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有機栽培・無農薬野菜との違い
オーガニックと有機栽培・無農薬野菜ではいったい何が違うのかを見ていきます。
オーガニックと有機栽培の違い
上述したようにオーガニックの日本語訳は有機であるため、オーガニックと有機栽培に関しては同じ意味合いです。
また、日本において栽培方法から使える肥料と食品添加物・製造方法まで、数々の公的基準を定めた「有機JAS規格」に指定されているのは
- 有機農産物
- 有機加工食品
- 有機畜産物
- 有機飼料
の4種類のみです。
水産物・洋服・コスメティックに関しては、成分表示の責任者の判断で有機・オーガニックの表示が行われています。
特に近年では、音楽や住宅に対しても「自然なライフスタイル」というような意味を込めてオーガニックという言葉が使われるようになってきています。そのため、有機栽培という本来の意味合いは薄れてきているのかもしれません。
オーガニック野菜と無農薬野菜の違い
有機農産物を作る際に化学肥料と農薬を使わないとの定義があるため、「オーガニック野菜=無農薬野菜」という誤った認識を持たれやすいですが、オーガニックの栽培方法自体に農薬の使用を禁止する決まりはありません。
そのため、オーガニック野菜と無農薬野菜に共通点はあるものの、全くの別物です。
ただし、現在日本では「無農薬栽培」という表記自体が禁止されています。
一時期、安定して一定量の野菜が栽培できたことから化学農薬と化学肥料を大量に用いた栽培が行われ、環境・体への悪影響が危ぶまれていました。その結果、環境にも体にも優しい無農薬栽培ですとうたった野菜が多く出回るようになります。
しかし実際には、近隣の田端で使用された農薬などが原因で残留農薬が検出されたり、農薬を使用しているのに虚偽の表示をしていたりといったケースが後を絶たず、最終的に
- 無農薬
- 減農薬
という二つの表記を禁止せざるを得なかったのです。
オーガニック・有機農産物の表示
オーガニック野菜・有機農産物と名乗るには、農林水産省によって設けられた基準を満たさなければなりません。
オーガニックと名乗るために必要な定義
オーガニックを名乗るために設定されている基準は、大きく分けて3つあります。
- 化学肥料もしくは農薬は使用しない
- 遺伝子組み換えの技術を使用しない
- 種まき・植え付けを行う前に、2年以上有機肥料で土作りが行われた田畑である
以上を全て満たした農産物に対してのみ有機JASマークの付与が認められ、オーガニックを名乗れるようになります。
オーガニックには、「環境への負担をできる限り減らしていこう」という意味合いも込められてます。しかし、私たちがオーガニックについて深く理解せず、「なんか体に良さそうだし」というようなふわふわしたイメージだけで購入をするのであれば、オーガニックは単なる付加価値の単語に成り下がります。
未来の子どもへ残すべき財産として「地球環境」を保障するためにも、人間と自然との調和を目指し、オーガニックへと取り組んでいきたいところです。