お酒甘酒にアルコールって入ってるの?正月に飲む理由もこれで解決

正月の定番「甘酒」にアルコールは含まれているのか

お正月に甘酒を飲むたびに浮かぶ疑問「これって、アルコール入ってるの??」。シンプルな原材料で豊富な栄養を補える甘酒は、美容の面でも嬉しい効果が得られます。古墳時代からの歴史を持ち、江戸時代からは庶民の間で広く親しまれている飲み物ですが、お正月に飲む理由も合わせて解説します。

甘酒にアルコールは入ってる?

甘酒にアルコールは入ってる?

酒粕が原料の場合は1%未満を含む

甘酒には、原材料が米麹のもの、酒粕のものとで二種類が存在ます。

原材料が米麹

米麹は蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、これを米と一緒に加熱・発酵させることで甘酒が作られます。アルコール分は含まれないので、子どもやお酒に弱い人でも楽しむことができます。砂糖は使われず米由来の甘味だけのため、低カロリーで優しい味わい。美容や健康のために飲まれているのがこちらの甘酒です。

「飲む点滴」と呼ばれるほどの効能
米麹から作られる甘酒にはビタミンBやアミノ酸が多く含まれているため、美肌効果を始めとした多くのメリットがあり、その効能の豊かさから「飲む点滴」とも呼ばれます。

また、途中で酵母を入れること甘味がアルコールに分解され日本酒ができ上がります。酵母を入れるか入れないかによって、甘酒と日本酒が作り分けられているのです。

原材料が酒粕

酒粕に水・砂糖などを加えて作る甘酒にはアルコールが入っています。日本酒を作る過程でできる酒粕は約8%のアルコールを含んでいるため、一般に販売されているものには1%未満のアルコールが入っています。

注意
日本の法律では清涼飲料水扱いになりますが、子どもの摂取や車の運転には注意が必要。酒粕に甘味はなく砂糖を加えて作られるため栄養価が高く、風味も豊かであるものの米麹に比べて高カロリーです。

見た目が似ている白酒(しろざけ)は7〜8%程度

甘酒とよく似ており、ひな祭りで飲まれることが多い白酒(しろざけ)は、アルコールを7〜8%程度含んでいて、リキュールに該当します。甘酒と間違われることの多いこの飲み物は中国で親しまれており、蒸したもち米や米麹にみりんなどを混ぜて熟成させて、完成したもろみを石うすですりつぶして作られます。

白酒(バイジュウ)
同じ表記をする白酒(バイジュウ)は、白酒(しろざけ)とはまったく異なる飲み物です。スピリッツに分類される白酒(バイジュウ)は、トウモロコシや高粱(コウリャン)を原料として作られる蒸留酒で、無色透明。約30~60度のアルコールを含み、こちらも中国でオーソドックスなお酒で、紹興酒よりもポピュラーとされています。

 

甘酒のアルコール分を飛ばすには

原材料が酒粕の甘酒には微量のアルコール分が含まれているため、これから運転する人や子どもが飲む場合にはアルコールを飛ばす必要があります。大切な家族や友人を守るためにも、しっかりと覚えておきましょう。

沸騰させて飛ばす

アルコールは70度で気化するため、甘酒を沸騰させて数分間煮立たせることでほとんどのアルコール分は飛んでいきます。

しかし、それでも完全とはいかずに微量のアルコールは残ってしまいます。

日本酒を入れて飛ばす

アルコールを完全に飛ばすには、日本酒を使う方法が有効です。甘酒の中に日本酒を入れてよく混ぜ、一緒に火にかけて煮立たせます。その後、沸騰した甘酒にマッチやライターで火をつけてアルコールを飛ばし、火が燃え尽きるまで待てば完成です。くれぐれも火の取り扱いには注意しましょう。

アルコールの分解能力は人それぞれで、同じ量のアルコールを摂取したとしても酔う人と酔わない人に分かれます。酒気帯び運転になるかは吸気1Lにつきアルコール分が0.15mg以上検出されるかどうかで判断されます。

たとえアルコール分が1%未満だったとしても、体質の弱い人は酒気帯び運転になってしまう可能性があるので、状況に応じて運転を控えることも大切です。

注意
実際に、酒粕由来の甘酒(アルコール1%未満)やノンアルコールビールを大量に飲んだ結果、酒気帯び運転とされたケースもあります。

手作りの甘酒はできるだけ控える

アルコールに弱い、あるいは運転をすぐに控えている場合は、アルコールを飛ばすか飛ばさないかにかかわらず、酒粕を原料とした手作りの甘酒は可能な限り控えた方が無難です。

甘酒は、加熱過程で酒粕の8〜10%ほどのアルコールが1%未満に減っていくのですが、手作りの場合には正確なアルコール度数が判断しにくいためです。

 

アルコールなしの甘酒

アルコールなしの甘酒

アルコールに弱い方やすぐに運転を控えている方は、アルコールを含んだ甘酒を多く飲むのはできるだけ控えた方がよいのですが、もっと安心なのは、アルコールが入っていないものを飲むことです。

この見出しでは、アルコールが入っていない甘酒の中から数商品をピックアップしていきます。

玉華堂 甘酒極(きわみ)ぷりん

原材料・製造工程・容器の全てにこだわって作られる玉華堂の「甘酒極ぷりん」。甘酒は玉華堂と同じ静岡県にある、創業1864年という老舗の酒蔵「花の舞酒造」の新酒製造過程で取れた酒粕が使われています。

そのままでも十分おいしい酒粕が厳選された素材と一つになり、とろりと口当たりの滑らかな新しい食感のプリンを生み出しました。通年販売されているプレーンのほかに、季節限定で「抹茶」「苺」「和栗」のフレーバーが楽しめます。

ジースリーフォーラル 美活甘酒

福岡県豊前市の化粧品製造販売会社「ジースリーフォーラル」が販売する甘酒「美活甘酒」。豊前市の特産品である棚田ゆずと棚田米を使った、今までにない甘酸っぱい甘酒です。

米麹と植物性乳酸菌で腸内環境を整え、ゆず果汁のクエン酸とペクチンで美肌が期待できるなど、美容に嬉しい成分が豊富に含まれています。麹の香りや甘さが苦手な方でも飲みやすい、すっきりとした甘酒です。

こうじや里村 お米と米麹でつくったあまざけ

「お米と米麹でつくったあまざけ」は、米麹専門のメーカーが作った甘酒です。国産米と米麹を使いゆっくりと長時間熟成糖化させることで、原材料が本来持っている甘味や旨味が感じられる体に優しい甘酒になりました。米と米麹だけを使って手間暇かけて丁寧に作られた甘酒はアルコール分ゼロ。

子どもからお年寄り、妊娠中の女性も安心して飲むことができる、米の粒のないすっきりと飲みやすい甘酒です。

木屋本店 食べる甘酒 木屋美人

木屋本店の歴史は1830年ごろまで遡ります。初代から続く伝統の製法で手間を惜しまず麹が作られ続けており、「食べる甘酒 木屋美人」の原材料は米麹のみ。砂糖は不使用にもかかわらず、麹の自然な甘さが感じられます。

発酵させた米麹が詰められたビンは、一見するとジャムのよう。トーストに塗ったりヨーグルトに混ぜたりとジャムと同じような食べ方でも楽しめますが、肉の下処理に使えば麹菌の力で肉をやわらかくし、お湯に溶かせば簡単に甘酒になるなど幅広く楽しむことができます。

 

お正月やひな祭りに甘酒を飲む理由

新年やひな祭りに甘酒を飲む理由

新年

新しい年を迎え初詣に出かけると、寺社で甘酒が振る舞われていることがあります。新年に飲むお酒といえば、まず「お屠蘇(おとそ)」が浮かびますが、これは元日の朝に飲むことでその年の邪気を祓い、無病息災を願う縁起物としての風習があるからです。

甘酒と新年の関わりは、もともと米を作っている農家が前年の米の収穫を感謝し、年が明けた一年の豊作を願い、収穫した米で作られた甘酒を新年に奉納するのが習わしだったことに由来します。このような歴史があり、新年の寺社では甘酒が振る舞われるようになったのです。

神社の甘酒はアルコール入り?
お正月に神社でいただける甘酒は一般的に米麹を原料とする場合が多く、その場合にはアルコールは含まれませんが、地域によっては酒粕が使われていることがあるため、もし気になる場合にはその場で聞くなど確認するとよいでしょう。

ひな祭り

「桃の節句」とも呼ばれるひな祭りは、日本では女の子の健やかな成長を願って行うお祭りです。ひな祭りには甘酒を飲むことも多いのですが、もとは甘酒とよく似ている白酒というお酒が飲まれていました。

古くは、中国の「桃花酒」というお酒を飲んでいたという説があります。桃には邪気を祓う力があると言われ、この中国の風習が日本にも伝わりましたが、桃香酒は一般的ではなかったことから白酒に代替されていきます。

白酒は、もち米・みりん・焼酎・麹を原材料とする白くて濃い甘味のあるお酒です。上記の見出しで説明した通り、アルコール分は8%程度あるので、子どもは飲むことができません。しかし、アルコールの入っていない米麹で作られた甘酒であれば、子どもでも安心してひな祭りのお祝いができるのです。

なぜ「甘酒」は夏の季語なの?

甘酒には暑さによるストレスの回復を早める効果があり、それを体験的に知っていた人びとに夏を乗り切る栄養価の高い飲み物として好まれていました。天秤棒を担いで甘酒を売り歩く行商人の姿は、夏の訪れとともに江戸の風物詩となっています。

このようなことから夏の季語として俳句に詠まれる甘酒ですが、夏の飲み物になる前は冬に売られていた時期もあり、今と同じように体が温まるという理由から多く飲まれていました。

また、甘酒は一晩で簡単にできることから「一夜酒(ひとよざけ)」との呼び名があるほどで、季節に関係なく通年飲まれるようになっていったのです。

 

アルコールの入らない米麹の甘酒とアルコール入りの酒粕の甘酒、どちらも栄養価に優れ、美容や健康にも良い効果が期待できます。新年や寒い季節だけの飲み物としてではなく、昔の人のように一年を通して飲んでみてはいかがでしょう。