食品・食材ブルーベリー栽培発祥の地で作られる小平ブルーベリーとは

ブルーベリー栽培発祥の地で作られる小平ブルーベリーとは

日本中のさまざまな場所で栽培され、高い栄養価や多くの効能があるとされているブルーベリー。今でこそ日本でもお馴染みの果実ですが、日本で初めて農産物として栽培された地は東京都小平市でした。ここで栽培される小平ブルーベリーの誕生から魅力までを紹介します。

ブルーベリーに含まれる栄養素

ブルーベリーに含まれる栄養素

ブルーベリーの概要

ブルーベリーはツツジ科スノキ属の小果樹で、その果実が濃い青紫色に熟すことから「ブルーベリー」と呼ばれています。もともとは北米原産で、欧米の人々は野生のブルーベリー果実を摘んで食用にしていました。20世紀の始めごろからアメリカやカナダ原産のものに対して品種改良が始められ、世界中の温帯圏で広く栽培される果樹となりました。

栄養素とその効果

「目に優しい」という効能が知られるブルーベリーですが、そのほかにもさまざまな効能がある万能の果実でもあります。ここでは「一般社団法人日本ブルーベリー協会」で紹介されているブルベリーの驚くべき機能性についていくつか取り上げます。

豊富な食物繊維

食物繊維は、腸のなかの余分なものを包み込み、そのまま外へ排出する機能を持っています。便秘の改善に必要な栄養素とされています。果物のなかでもブルーベリーには特に多く含まれ、豊富な食物繊維を持つバナナの約2.5倍。小さな粒のなかに体に嬉しい栄養分がぎっしりと凝縮されているのです。

目の不調の改善

ブルーベリーの代表的な効能です。主成分であるアントシアニンには、見たものを脳に伝える「ロドプシン」というタンパク質の活動を促す作用があります。また、パソコンやスマートフォンの画面によって発せられる有害なブルーライトから目を守ってくれる効能のほか、眼精疲労の緩和など目に優しいさまざまな効果があります。

花粉症の改善

くしゃみや鼻水といった花粉症の症状は、「ヒスタミン」という体内物質が体を守るために炎症反応を刺激することによって引き起こされます。ブルーベリーの主成分であるアントシアニンは、このヒスタミンの分泌を抑制させる働きを持っています。

花粉症の症状が出たマウスにブルーベリーを投与する実験では、摂取前と後で60%以上のヒスタミンの改善が見られたという結果もあります。

生活習慣病の予防

高血圧症や糖尿病などの生活習慣病、その一番の要因と考えられているのが内臓脂肪です。内臓に脂肪を蓄積しないことが一番の予防であり、その方法としては規則正しい食生活や運動を行うことが有用とされていますが、ブルーベリーもその予防に非常に効果的です。

主成分のアントシアニンには内臓脂肪の蓄積を防ぐという実験結果もあり、ブルーベリーは生活習慣病の予防に適した食物であることが分かります。また、同じくアントシアニンには血液の流れを整える作用が確認されています。この作用によって冷え性や肩こりが和らぐほか、動脈硬化の予防にも効果があると考えられているのです。

認知症や老化の予防などのさまざまな効果も持ち、まさに万能の果実と言えるでしょう。

 

プランターでのブルーベリーの育て方

プランターでのブルーベリーの育て方

万能の効能を持つブルーベリーですが、プランターでも育てることができます。

品種選びに注意する

ブルーベリーの多くは、ラビットアイ系(やや暖地向き)とハイブッシュ系(やや寒地向き)の主に2系統があり、「同じ系統」の「違う品種」のものを2本以上植え付けないと受粉しにくいという特徴があります。

しかしながら、毎年新しい品種が登場しているブルーベリーのなかには一本でも受粉する品種が登場しているので、それぞれの系統や特徴を調べて苗木を購入しましょう。

植え付け方法

品種やその土地の気候などにもよりますが、1月~2月の寒い時期はブルーベリーの植え付けには向いていません。関東以南は10月~11月ごろ、関東以北は3月ごろが適期とされています。

注意
酸性の土壌を好むため、植え付けの際には土選びにも気を配りましょう。肥料はカリ・リン酸・窒素を含む一般的なもので大丈夫です。

こまめな水やり

ブルーベリーが最も嫌うのは乾燥です。こまめに観察して水やりを怠らないようにしましょう。プランターでの栽培の際は、表面の土が乾いた状態でたっぷりと水やりをしましょう。夏場は毎日、涼しい季節でも数日に一回は必ず行います。

整枝・剪定方法

夏・冬それぞれに一回ずつ剪定を行います。8月~9月は混み合っている枝を切除して風通しを良くすることが必要です。ブルーベリーの休眠期である1月~2月は、枯れ枝、古い主枝をはじめ全体を整えましょう。

収穫時期と保存方法

品種にもよりますが、5月~8月が一般的な収穫時期です。果実全体が青紫に色づいた4~7日後が収穫の目安とされています。収穫したブルーベリーはポリ袋やタッパーなどに入れて乾燥を防ぎながら冷蔵庫で保存するのがベストです。

風味は落ちるものの1週間以上保存したい場合は、水洗いした後に水気を取り、フリーザーバッグやタッパーに入れ、冷凍庫で保存することもできます。

 

小平ブルーベリーについて

ブルーベリー栽培発祥の地「小平」

東京都小平市にブルーベリーの樹木が植えられたのは1968年のことでした。「日本におけるブルーベリーの父」と呼ばれる東京農工大学の教授岩垣が、日本の気候に適したブルーベリーの研究を行っていたことが始まりです。

その教授の教え子の実家が小平市で営む農家であったという縁から、日本で初のブルーベリー栽培が小平市で始まりました。

小平ブルーベリーとは

実のところ、「小平ブルーベリー」という品種があるわけではありません。日本で初めて栽培が行われ、試行錯誤がありながらも小平市から広がっていったという物語にこそ、小平ブルーベリーの価値があります。

2008年、小平市では小平ブルーベリー協議会が設立され、市全体でブルーベリーのPRを図っています。小平市では数十種類のブルーベリーが栽培されているほか、加工品の開発や収穫体験・加工体験なども行われています。

小平市の花小金井駅南口には「ブルーベリー栽培発祥の地こだいら」の標柱が建てられ、そのかたわらにはブルーベリーの苗が植えられています。また、「ブルーベリー」と「小平」の「平」の字を掛け合わせた「ぶるべー」というゆるキャラがいるなど、さまざまな方法でブルーベリーがPRがされています。

年に一度の小平ブルーベリー祭り

小平市では、年に一度「小平ブルーベリー祭り」が開催されています。このイベントでは、新鮮な小平ブルーベリーをふんだんに使用したお菓子やワインなどが販売されています。このイベントを目指して毎年新しいブルーベリーを使用した製品が開発されているため、新たな味わいに出会うこともできるブルーベリーづくしのイベントです。

また、お酒好きの方には嬉しい「小平ブルーベリーワイン祭り」というイベントもあります。ワインといえばぶどうが一般的かもしれませんが、ブルーベリーでも作ることが可能です。気になる味わいですが、酸味がしっかりとしていてキレが良く、飲み口が良いという特徴があります。濃厚でハーブのような香りも楽しむことができます。

 

さまざまな効用があるブルーベリーですが、もちろん効用だけでなくその味も私たちを楽しませてくれる優秀な果実です。そして、ブルーベリーの魅力を日本で最初に発信した場所が小平だったのです。小平市を訪れる際には、ぜひブルーベリーに触れ合ってみてはいかがでしょうか?