食品・食材落花生の上手な栽培方法とおすすめの茹で方

落花生の上手な栽培方法とおすすめの茹で方

落花生はマメ科ラッカセイ属の一年草で、南米のアンデスが原産です。国内の流通量は、全体の9割が外国産で残りの1割が国産品。日本での主な産地は千葉・茨城・神奈川で、国内産の落花生のうち約7割が千葉県で生産されています。この記事では栽培方法を中心にチェックしていきます。

落花生とピーナッツ

落花生とピーナッツ

「ピーナッツ」と呼ばれることもありますが、基本的に落花生とピーナッツは同じものです。

  • 殻付きのものや和菓子に使われているものを落花生
  • 殻をむいて実だけの状態になったものをピーナッツ

と呼ぶことが多いものの、地域や話す人によって変わる場合もあります。

落花生は長期保存ができるので一年中食べられますが、そのなかでも旬の時期に収穫された新豆は香りが素晴らしいとされています。

落花生の旬
品種や加工工程によって時期が変わり、8月から11月と幅があります。

ゆで落花生

8月から9月は「ゆで落花生」の旬です。収穫された落花生は一般的に1週間ほど「地干し」と呼ばれる乾燥工程を経てから出荷されますが、ゆで落花生は育ちきる前に収穫され、乾燥せずにすぐ調理に回されます。このために早掘りされるのです。そしてこの時期に大きな落花生である「おおまさり」という品種のゆで落花生が作られます。

地干し
掘り起こした落花生を裏返して畑の上で約一週間乾燥させる方法

焙煎落花生

中手豊(なかてゆたか)・千葉半立(ちばはんだち)

10月中旬には「中手豊」、11月初旬になると「千葉半立」という品種の焙煎落花生が旬を迎えます。特に、乾燥に手間のかかる千葉半立は最高級品とされています。

 

落花生の栽培方法

落花生の栽培方法

栽培する場所

落花生は25度から28度が生育に適した温度であり、高温で日当たりの良い環境を好みます。

また、土の中に実がなるため、多湿な粘土質の土だとうまく育ちません。日当たりがよく水はけの良い火山灰土や、砂質土が適しています。発芽するには地温が12度以上、生育には地温が15度以上必要です。

種まきの時期と方法

落花生の種まきは、東日本は5月中旬から下旬ごろまでで、西日本は4月中旬から下旬ごろまで。家庭菜園の場合は5月下旬ごろがおすすめです。気温が25度を越える天気の良い日に蒔きましょう。

そしてこの時、落花生には豆を太らせるための石灰分が必要になります。種まきの1週間前くらいに、1㎡あたり60g~100gの消石灰または苦土石灰・化成肥料100gを撒いてよく耕しておきましょう。

種はさやを割って中の実を取り出し、

  • 畝間(うねま)」を約70cm
  • 株間(かぶま)」を約30cm
  • 深さを3cm

くらいにして1粒~2粒ずつ蒔きます。落花生は土の中に潜る際、横に広がるため、間隔を空けて蒔きましょう。そうすると4日から1週間ほどで発芽します。

注意
落花生の種は湿気に弱いです。水に浸けたり播種後にたっぷり水をあげすぎると種が腐ることもあるので注意が必要です。カラスや鳩などの鳥に種を食べられてしまうことも多いので、ネットで防鳥対策をすると安心です。また、連作には向かないのため、同じ場所で作る場合は2年~3年の間隔を空けましょう。
畝間
畝(畑に種を植えるために土を盛り上げた部分)の間隔のこと
株間
種や株を植える時の間隔のこと

苗の植え付け時期と方法

苗植えは5月~6月が最適です。鉢やプランターに植える時は、種同士の間隔を15cm~25cm、地植えの時は30cm~50cm空けます。苗は本葉が多いと根付きが良くないので、本葉が2枚から3枚のものを選びましょう。

栽培方法

水やり

種を蒔いたらすぐに水やりをします。その後、苗が根付いて来たら1回の量を少なめにして、花が咲いた後は土の表面が乾いてきタイミングであげるようにしょう。雨が多い時は特に何もしなくて大丈夫です。

MEMO
落花生は乾燥に強い植物ですが、極端に乾燥すると実が育たないので、夏場に雨が少ない時はタイミングを見て水やりをします。

追肥(ついひ)

側枝が伸び始めて葉が茂ってきたら「追肥」をします。株の側方に肥料を撒いて、竹ベラなどで土に混ぜ込みます。

追肥の目安
1mあたり、窒素成分の少ない化成肥料20gほど
注意
窒素分が効きすぎると、葉っぱや蔓ばかり生えて花が咲かなかったり、花が咲いても結実しない「蔓ぼけ(つるぼけ)」になってしまう可能性がある。

土寄せ

花が咲き始めたら、子房が土に潜りやすいように土寄せを行います。これは、根元に土を寄せかけることで根をしっかり張らせるためです。

品種によって土寄せの範囲が異なり、分枝した枝が直立して成長する「立性(たちせい・小粒種)」の場合は、株元の周辺に土を寄せます。分枝した枝が地面を這うように成長する「這性」(はいせい・大粒種)の場合は、枝の周辺の広い範囲に土を寄せます。

土寄せのタイミング
「子房柄(しぼうへい)」が地中に潜り始めてから土寄せを行うと、子房柄や実を傷つけて成長しなくなることがあります。土寄せは花が咲き始めたら早めにするのがコツ。

栽培時に注意すべきこと

害虫

落花生は害虫被害の少ない野菜ですが、実が付くころには

  • アブラムシ
  • ハダニ
  • ヨウトウムシ
  • オンブバッタ
  • オオハバコガ
  • ネコブセンチュウ
  • ハンスモンヨトウ

が発生しやすくなります。日ごろからよく苗を観察し、早期発見・早期駆除を心掛けましょう。

病気

落花生の病気には、灰色かび病・黒渋病・褐斑病などがあります。カビが原因の病気が多く、

  • 葉が褐色になる
  • 葉が萎れる
  • 葉に白いカビや黄色い斑点が出る
  • 根が腐る
  • 葉が枯れたり穴が開く

などの症状が出ます。

長雨の時期は多湿環境になりカビが生えやすくなるので、水やりを控えて病気を防ぎます。病気になった株を見つけたら、放置しないですぐに持ち出して処分しましょう。

さらに、病気を防ぐには気温が高くなってから植えて多湿にならないようにすることも大切です。排水性の良い土で育てることは、病気の抑制につながります。

落花生の収穫方法

落花生は、種まきから約5ヵ月後に収穫時期を迎えます。10月初旬~中旬ごろ、葉っぱ全体が黄ばみ下葉が枯れ落ち始めたら収穫の適期です。一度試しに掘り出してみて、さやに網目が入っていれば株ごと引き抜いて収穫します。

注意
素手で引き抜くと土の中にさやが残ってしまうので、スコップなどを使って周りから大きく掘って株ごと引き抜く

生の落花生は傷みやすくカビも出やすいので、収穫後は地干しをします。家庭菜園の場合も、さやをむいてあみ袋に入れ、風通しの良い軒下などで乾燥させると良いでしょう。

千葉の栽培農家では地干しの後、円筒状に積み上げて1ヵ月~2ヵ月ほど風に当ててゆっくりと自然乾燥させます。この円筒状に積み上げたものを「ぼっち」と言います。カラカラと音がするまでしっかり乾燥させます。

「おおまさり」など茹でて食べるための品種は、収穫後すぐに茹でます。茹でた後は冷凍保存が可能です。

 

落花生のおいしい茹で方

落花生のおいしい茹で方

生の落花生は、さやごと茹でます。大き目の鍋に水を張り、水に対して3%ほどの塩を加えて沸騰させます。茹でている間はアクが出てくるので、水は多めにしましょう。

沸騰したら、ゴミ・泥を取ってよく洗った落花生をさやごと入れ、40分から50分ほど茹でます。30分を過ぎたら時々一つ取り出してみて、固さの加減を確かめましょう。茹で上がったらザルにあげ、そのまま冷まします。

そして、圧力鍋に洗った落花生とひたひたになる程度の水を入れ、水に対して3%ほどの塩を加えます。火にかけて、圧力がかかったら8分~9分加圧します。その後、自然放置で圧を抜いて冷まします。

残った場合には冷凍保存も可能です。電子レンジで1分~2分解凍すると、またおいしく食べることができます。

 

栄養価の高い落花生は、日ごろのおやつとしても取り入れやすく、ポイントさえ分かってしまえば自宅での栽培も比較的簡単にできます。掘りたての落花生をそのままゆでて食べてみれば、ひと味違った味わい深さに魅了されること間違いなし。ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょう。