この記事の目次
三島ブランド「みしまコロッケ」
みしまコロッケとは
「三島特産の三島馬鈴薯(みしまばれいしょ)を多くの人に知ってもらいたい」。これがみしまコロッケでまちおこしが始まるきっかけでした。三島馬鈴薯で作ったみしまコロッケは、サクッとした衣と、じゃがいものしっとりとしてクリーミーな甘さが特徴です。
みしまコロッケを盛り上げるために市民、商店、生産者とその関係団体など、三島市全体が一つとなって2008年に「みしまコロッケの会」を立ち上げました。それからは、みしまコロッケ販売店の認定、イメージソングの作曲、グッズの発売、イベントへの参加など、全国へ向けてPR活動を積極的に行っています。
みしまコロッケで唯一守らなければならないことは、「三島馬鈴薯を使用する」この一つだけです。その条件を満たせば、コロッケに入れる具や形などは各認定販売店の自由となっています。
みしまコロッケ認定店になるには次の3つの条件を満たす必要があります。
- 固定の店舗を構えている
- 三島馬鈴薯の仕入先を確認できる
- 今後、数年に渡りみしまコロッケの販売を続けられる
認定店の仲間入りをした店舗には、目印としてみしまコロッケののぼりが立てられています。みしまコロッケの会作成の認定販売店マップ「みしまコロッケ帳」を片手に、店舗ごとの工夫を凝らしたコロッケを食べ比べてみるのも楽しいでしょう。
みしまコロッケを通販で
伊豆・村の駅 みしまコロッケ
農産物の直売や地元の名産を使った新しい食を楽しめる伊豆・村の駅では、みしまコロッケを通販で購入することができます。冷凍便で送られてくるコロッケを凍ったまま油で揚げれば、現地のできたてのようなアツアツの状態で食べられます。
冷凍なので賞味期限も約6ヶ月と長く、夕食のメニューに困ったときにも便利です。
雅心苑(がしんえん) みしまコロッケ饅頭
見た目はコロッケそのものですが、食べてみると実は甘いお菓子という雅心苑の「みしまコロッケ饅頭」。三島馬鈴薯を芋餡に使いパン粉をまぶして焼いてあります。サクッとした衣やしっとりとした中身もうまく再現されていて、黙って出されたらコロッケと間違えてしまいそうです。
三島ブランドとは?
みしまコロッケも認定された「三島ブランド」は、三島市の産業振興と発展に寄与することを目的とし、三島商工会議所によって認定されます。認定範囲は多岐に渡り、三島らしさにあふれた魅力ある地域特産品や伝統芸能、景観なども含まれます。
たくさんの逸品・名所が三島ブランドとして認定されており、すべてを紹介することはできませんが、以下では、数あるなかから魅力的な三島ブランドの一部を紹介します。
箱根西麗三島野菜(はこねせいろくみしまやさい)の三島ブランド
箱根西麗三島野菜とは
箱根山麓西側斜面の畑では、古くから根菜類の栽培が行われてきました。農地整備が進んでからはさらに多くの種類が栽培されるようになっていきます。標高50メートル以上の畑で栽培された野菜は「箱根西麓三島野菜」と呼ばれ、野菜本来のおいしさが味わえると高い評価を得ています。
箱根西麓三島野菜がおいしい理由は、立地条件を始めとした生育環境にあります。
- 南西向きの畑は日当たりが良い
- 傾斜地のため水はけが良い
- 関東ローム層の赤土はミネラル分を多く含む
- ひんやりと涼しい気候が野菜を甘くする
このような野菜作りに適した環境のもとで栽培されています。
三島ブロッコリー
鮮度を重視しているので他の地域にはあまり出回りませんが、地元ならではの新鮮なおいしさが味わえます。出荷時期が10月から翌2月までの厳寒期ブロッコリーと3月から6月までの春ブロッコリーがあり、長い期間楽しめます。花はもちろん茎もおいしく食べることができます。
三島七草
正月に食べられる七草がゆ用に栽培されています。箱根西麓の畑で作られる三島七草はおいしいと評判で、関東をはじめ中部や近畿など広い範囲に出荷されています。静岡県内で販売されている七草は、産地のほとんどが箱根西麓であるということからも三島七草の人気の高さが伺えます。
三島馬鈴薯
みしまコロッケにも使われる三島馬鈴薯は、きめ細かい肌とコクのある味のジャガイモで、メークインのしっとり感と男爵のホクホク感が同時に楽しめます。煮崩れしにくいのでシチューや煮物などの料理に向いています。販売期間は7月上旬から8月中旬の約1ヶ月と短く、市場に出回ると日本一の高値で取引されます。
三島人参
標高の高い畑で作られた三島人参は、人参嫌いの人でも食べられるほど甘くて臭みがありません。涼しい気候が人参の甘みを増し、カロチンも豊富に含まれています。環境に配慮して、農薬や化学肥料をできるだけ使用しないで栽培する「エコにんじん」としても知られています。
三島セルリー
素材の有機物をじっくり熟成させた熟堆肥を使用し、1年以上の月日をかけたこだわりの土づくりから生み出される三島セルリーは、肉厚で柔らかい食感とまろやかな味わいが特徴です。大きく育つことも特徴で、ものによっては1メートル近くなるものがあります。
三島大根
三島市坂地区で栽培され、「坂モノ」として有名な伝統野菜の一つです。箱根西麓の畑は火山灰土壌のため柔らかく水はけが良いので、深く根を張る大根を栽培するのに適しています。冬の寒さに耐えて甘みの増した三島大根は漬物にも加工され、傾斜に天日干しされる「大根のはざ掛け」は冬の風物詩として親しまれています。
三島甘藷(みしまかんしょ)
甘藷はサツマイモのことを指します。「藷」は芋類を表す漢字で、甘い芋の名にふさわしく、三島甘藷の糖度は13から14度とメロンやモモに匹敵するほど。紅あずま、紅高系(べにこうけい)、紅はるかの3種類が生産され、それぞれ「ホクホク」「しっとり」「ねっとり」といった特徴が楽しめます。
三島甘藷を使ったみしまコロッケの姉妹品「甘藷みしまコロッケ」も人気です。
三島白菜
冬の鍋に欠かせない食材の白菜も三島ブランドに名を連ねています。三島市三ツ谷地区で栽培される白菜は「三ツ谷白菜」と呼ばれ、頭の部分を丁寧に一つずつわらで縛られて厳しい寒さの冬を越すことで甘みと旨みを増します。芯の部分は特に甘みが強く、サラダにして食べるのもおすすめです。
三島ブランドの伝統品「三島茶碗」
三島茶碗とは
茶人たちの残した茶会記のなかで「みしま」「こよみ」などと記されるなど茶人に愛された「三島茶碗」ですが、長らく三島で作られることはありませんでした。しかし、名前の発祥となった三島での復活を目指して試作が繰り返された結果、約600年ぶりに復活を遂げます。
2009年から市販が開始されて三島ブランドとして認定されるなど、抹茶茶碗のほかに湯飲み茶碗、ぐい呑み、そばちょこなど日常的に使用できるものが作られています。
三島茶碗の特徴
白土を装飾に利用しているのが三島茶碗の特徴で、器に彫り込んだ文様に白土を埋め込む象嵌(ぞうがん)、線刻(せんこく)、刷毛目(はけめ)など多くの技法が使われます。また、作られた時代や技法、文様の違いによって「花三島」「渦三島」「彫三島」「刷毛三島」「絵三島」などと呼ばれるものに分類されています。
三島茶碗の歴史
李氏朝鮮時代の朝鮮半島で作られていた高麗茶碗が日本へ渡り三島茶碗となりました。日本は茶の湯が完成した安土桃山時代ということもあり、素朴な温かみのある茶碗が茶人の目に留まり、抹茶茶碗として愛用されるようになります。
名前に「三島」が使われた由来には諸説ありますが、三島市にある三嶋大社が発行していた「三島暦」の仮名文字に、茶碗の文様が似ていたからと言われています。
三島市は地域のイメージを連想させる地域ブランドを積極的に推進しています。特産品をきっかけにして知らなかった地域のことに興味を持つ人が増えれば、やがて地域全体の活性化につながっていくことでしょう。