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そもそも珍味とは?
珍味はその言葉のとおり珍しい食材や食べ物のことで、その多くは栄養を摂取するためというよりは、特定の地域の嗜好品として、また、長く受け継がれてきた伝統食品としての意味合いが強いといえます。
特有の香りや苦み、渋味などを持つ食材が多く、独特な味でクセが強いことから好みが分かれることも特徴です。
また、食文化の違いによる「異質な食べ物」を珍味と呼ぶこともあります。
誰もが知っている世界三大珍味
世界三大珍味は、みなさんご存じのとおり、キャビア・フォアグラ・トリュフです。
キャビア
キャビアは、一般的にはチョウザメの卵の塩漬けのことを指します。魚から取り出した卵に塩を加えて漬け込み、低温熟成させて作られます。ロシア・イランの間にある世界最大の塩湖「カスピ海」で生息するチョウザメで作られるキャビアは高級品として有名です。
フォアグラ
フォアグラはフランス料理に使われる食材の一つで、ガチョウやアヒルに餌を与えて肥大化させた肝臓のことです。濃厚な味わいが人気で、脂肪分が多く脂分が溶け出しやすいことから調理技術を要する高級食材です。
フォアグラの歴史は古く、古代ローマにおいてすでにガチョウの飼育をして、その肝臓を食べていたとの記録があるほどですが、現代では飼育方法に対して議論となることが多い食材ともいえます。
主な生産国および消費国はフランスで、伝統的にクリスマスや祝祭行事のご馳走として食べられています。
トリュフ
トリュフは主にヨーロッパ地域の林の地中に生えるキノコで、芳醇な香りが特徴です。
- 人工栽培が難しく限られた地域でしか採取できない
- 鮮度を保つことが難しい
という点から高級食材とされています。
トリュフには「黒トリュフ」と「白トリュフ」の2種類があり、黒トリュフはフランス、白トリュフはイタリアのピエモンテ地方で採取されるものが有名。特に白トリュフは産出量が少なく希少なことから黒トリュフよりも高価です。
意外と知られていない「日本三大珍味」
日本三大珍味は、うに・このわた・からすみのことで、江戸時代から「三大珍味」と言われ続けています。
うに
三大珍味におけるうには「生うに」ではなく、うにの生殖巣に塩を加えたてペースト状にした「塩うに」のことを指しており、なかでも「越前雲丹」が有名です。
越前雲丹は、福井県が産地の名産品として古くからの歴史を持ち、奈良時代に若狭国(わかさのくに)から天皇へ贈呈されたのが始まりだと言われています。
その当時から希少な高級珍味として親しまれていたものの、一般の人との取り引きが禁止されていたために一部の限られた人しか口にすることはできませんでした。
庶民の間で取り引きされるようになり、私たちが気軽に食べられるようになったのは、明治時代に入ってからのことです。
余分な水分が抜けてコクと甘味のアップした塩うには、口の中に入れた瞬間に濃厚なうま味が口いっぱいに広がります。一度食べたら忘れられない味をぜひ試してみてください。
このわた
このわたは、ナマコの腸を塩漬けにして熟成させたものです。
- 愛知県の伊勢湾
- 静岡県の駿河湾
が産地のものは、江戸時代に将軍家への献上品としても使われていたほどです。
ナマコは「こ(なまこ)のわた(はらわた)」と言われることから、ナマコの腸を「このわた」と呼ぶようになったとされています。
特にビタミンとミネラルが豊富に含まれており、
- 新陳代謝の促進
- 疲労回復
- 動脈硬化の予防
- 利尿作用
など、さまざまな効果に期待できます。
職人の手によって手作業で作られるこのわたは、海の香りを感じられる独特な風味と、少しコリコリした絶妙な食感がたまりません。
からすみ
からすみは、ボラの卵を塩蔵して乾燥させたものです。
名前の由来は、からすみの形が中国・唐の時代の「墨の形」に似ていることから来ています。江戸時代に中国から長崎に伝来したため、生産地としては長崎県が有名です。
アンチエイジング効果にも期待ができるからすみは、100gあたりのカロリーが423kcalと若干高めです。そのまま食べることもできますが、かなり塩気が強いため、ほかの食材と組み合わせて食べられることが多いです。
初めての人におすすめ!沖縄の珍味
海ぶどう
海ぶどうは、沖縄本島や宮古島などの限られた温かい海水に生息する海藻です。葉が粒状になっており、その形がぶどうの房に似ていることから名付けられています。キャビアに似た食感と鮮やかなグリーン色の見た目から「グリーンキャビア」とも呼ばれています。
ビタミン・カルシウム・鉄分などのミネラルや食物繊維などの栄養素を豊富に含む低カロリーな自然食品で、プチプチとした食感と磯の香りが広がりクセになる人も多く、観光土産として人気です。
海ぶどうの食べ方は?保存方法も合わせて大公開ミミガー
ミミガーは、豚の耳の皮を使用した沖縄料理です。沖縄では豚肉の消費量が多いため、豚の足や耳・内臓などさまざまな部位を食材として使用することで知られています。
「味付きミミガー」は、琉球料理をはじめとした沖縄の食材や土産物を幅広く取り扱うオキハムの商品です。良質なコラーゲンが含まれる豚の耳を薄くスライスして味付けされてあり、おつまみやサラダの材料としてそのまま食べられるため人気となっています。
イラブー汁
「イラブー」とはエラブウミヘビのことで、漁獲後は燻製保存されます。イラブー汁は、燻製にしたイラブーを戻して煮込み、出汁を取って作られた沖縄の伝統料理です。
琉球王国時代には宮廷でも出される高級料理であったため、庶民は口にすることができませんでしたが、滋養強壮があるとされ、今では一般的に食べられるようになりました。
豆腐よう
「豆腐よう」は沖縄の豆腐を発酵させたもので、琉球王国時代から高級品として重宝されてきました。豆腐を紅麹と泡盛に漬け込んで発酵・熟成させて作られる、琉球の伝統食文化を継承した珍味です。
「紅あさひ」が販売する豆腐ようは沖縄県優良県産品審査員特別賞を獲得した商品で、ウニのような風味とチーズに似た舌触りを持つ深い味わいが特徴です。
独特さが目を引く 信州四大珍味とは
山深い信州では古くから昆虫が貴重なタンパク源として食べられており、現代でも珍味として重宝されています。
蜂の子
蜂の子は人間の体内では合成できない必須アミノ酸を多く含み、ビタミンとミネラルも豊富で滋養強壮に優れていることから、貴重な栄養源として重宝されてきました。
「花九曜印」の蜂の子佃煮は、甘辛く濃厚な味わいで酒の肴としてもおいしく、信州の珍味として古くから人気の逸品です。
ざざむし
さざむしは、長野県の天竜川上流域の清流に生息するカワゲラやトビケラなどの水生昆虫の幼虫のことです。
長野県伊那地方では、古くから貴重なたんぱく源として、さざむしを砂糖・しょうゆ・水あめなどで甘辛く佃煮にして食べる習慣があり、信州長野では有名な高級珍味となっています。
蚕のさなぎ
南信州では古くから養蚕が盛んで、絹を採った後の蚕のさなぎを甘辛く佃煮にして食べる習慣がありました。蚕のさなぎ佃煮は、現代では珍味として信州名物の一つとなっています。
イナゴ
イナゴはバッタの仲間の昆虫で、古くから海産物が少ない山間部を中心に食用として食べられてきました。そのイナゴを醤油・砂糖・水あめなどで味付けした「東京佃煮本舗」のいなご甘露煮は、甘さを抑えた素朴な旨みと香ばしい味わいが特徴の珍味です。
酒の肴に!北海道の乾珍味
新鮮な海の幸に恵まれた北海道ならではの海産品の乾物を中心に、酒の肴によく合うものがそろっています。
鮭とば
「鮭とば」とは、秋鮭を半身にして皮付きのまま細く切り、海水で洗って海の風に当てながら干した鮭の燻製のことです。
「函館七施」の鮭とばは、ほどよく弾力のある歯ごたえと強い塩気、脂の乗った旨みが凝縮されており、酒の肴にピッタリの珍味として人気です。
たらとば
「たらとば」は、北海道産のすけそうだらを素材とした干物。すけそうだらの旨みを活かしながら風味豊かに仕上げた北海道の珍味です。
干しこまい
「干しこまい」はタラ科の魚を天日干しにしたもので、「こまい」は漢字で「氷下魚」と書きます。「北海道の厳しい冬の海の氷の下で採れる魚」ということから名付けられました。寒さ厳しい冬に氷を割って網や釣りでとる「こまい釣り」は、冬の北海道の風物詩にもなっています。
北海するめ
薩摩屋本店が販売する「北海するめ」は、海水温の低い時期に採れる身をたっぷり太らせたイカを材料としており、噛みごたえがあり鮮度の良いするめとして人気の珍味です。
琉球王国時代からの伝統を受け継ぐ沖縄の珍味、山深い地域独特の昆虫食文化から発展した信州の珍味、海の幸に恵まれた北海道の珍味、地域によりさまざまな特色をもつ日本各地の珍味をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか。