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生け捕りのハブが丸ごと入った「ハブ入りハブ酒」
南都酒造所が販売しているハブ入りハブ酒は、800mlのビンの中をのぞいてみると牙を生やしてとぐろを巻いた一匹のハブがたたずんでいるのが特徴です。
そもそもハブ酒とは
ハブは、主に沖縄に生息している毒蛇で、水だけでも100日以上生きられるという驚異的な生命力を持っています。そんなハブを丸ごと泡盛に詰め込んで作られるのがハブ酒です。
また、ハブ酒の作られ方は以下のとおりです。
- 手順1下処理ハブを捕まえて一定の期間断食させ、ハブの体内からふん・尿を含む老廃物を全て排出させる
- 手順2熟成サトウキビを用いて作られた59度のアルコールに10年以上漬けることでうまみを抽出
- 手順3仕上げアルコールからハブを取り出し、クコの実・ナツメ・桂皮など約13種類もの薬草を浸してできた泡盛に入れる
ただし、ハブ酒は高級品であるため、沖縄県民の中でも飲んだことのある人は多くはありません。
ハブ入りハブ酒完成までの過程
もともと沖縄県内で流通していたハブ酒は、ハブ特有の強烈な匂いが残っていたため
- 二度と口にしたくない
- 薬だと思って飲まないと無理
と言われることがほとんどでした。
そこで、南都酒造所はハブの解体方法に改良を加えます。血抜き・内臓の切除はもちろんのこと、「臭腺」という器官の取り除きにも徹底。
その後、上述した方法と同様にハブ酒を作ることで匂いのほとんど気にならない、また飲みたくなるようなハブ酒が完成したのです。
気になる味は?
強烈な匂いをなくすように作られたハブ入りハブ酒は、飲んでみると匂いも全く気にならず、まろやかな口当たり。ほのかな甘味も感じられる、誰でも飲みやすいものになっています。実際、リピーターも多く、健康のために飲んでいる人から日常的に飲むお酒として買う人まで購入理由はさまざま。
ちなみに、飲み終わった後に残されたハブは、ハブエキスが全てハブ酒に出ているためあまりおいしくありません。記念に残しておくのも良いですが、素直に処分してしまうのが得策でしょう。
ハブ酒にはどんな効能があるのか
とても生命力の高いハブを使って作られるハブ酒ですが、飲むことでどのような効果が得られるのか以下より見ていきます。
そもそも毒は回らないのか
ハブにかまれたら、全身に毒が回り最悪の場合死んでしまうというイメージがありますが、ハブ酒に毒は含まれていないのでしょうか。
実際、ハブ酒を作る工程の中で毒を処理するという過程は含まれていません。また、実はいまだにハブ酒を飲んでも毒が全身に回らない理由がはっきりと分かってはいないのです。
考えられる説としては、
- アルコールの力で毒が分解されている
- ハブからアルコールに毒が溶け出していない
などさまざまですが、どちらにしても毒を心配する必要はなさそうです。
ハブ酒に含まれる栄養素
ハブ酒には、
- 19種類のアミノ酸
- 4種類のミネラル
- タウリン
- アルギニン
- リノール酸
など、体に良い成分が豊富に含まれています。また、体内で作ることのできない必須アミノ酸も摂取することができます。
ハブ酒の効能
さまざまな栄養素が含まれているハブ酒には期待できる効能も多く、
- 疲労回復
- 筋肉の増強
- 血行促進
- 滋養強壮
- 動脈硬化の改善
- 肩こりや筋肉痛の改善
などさまざま。また、冷え性の改善にも効果があるため、悩みを抱えた女性にもおすすめのお酒です。
ただし、だからといって大量に飲んでも効果に変わりはないため適度な摂取を心がけましょう。ハブ酒自体のアルコール度数が高いため、飲み過ぎると逆に健康を損なう恐れがあります。
ハブ酒のおいしい飲み方
熟成期間が長ければ長いほどおいしくなると言われるハブ酒。そのため、市販されているハブ酒のほとんどは10年以上の年月かけて熟成されているものがほとんどです。
そんなハブ酒をよりおいしく飲むための方法を紹介します。
よりハブ酒をおいしく飲むために
炭酸割り
ウイスキーを炭酸割りにしてハイボールを作る要領で、ハブ酒を炭酸割りにしたハブボールがおいしいと人気を集めています。ワンポイントでシークワーサーを搾って入れるのもおすすめです。
カクテル
有名なカクテルだと、コーラで割ってレモンも少し搾った「ガンガラー」がありますが、シークワーサージュースで割ったりマンゴージュースで割ったりなど割り方は人それぞれ。自分の好みにあった割り方を見つけてみましょう。
ハブ酒を長く楽しむために
もともとが泡盛で作られているため、少なくなってきたら泡盛をつぎ足すことでハブ酒を長く楽しむことができます。つぎ足し用の泡盛も販売されているため長く飲みたい人は事前に買っておくと良いでしょう。
つぎ足しのポイント
泡盛がない場合には、焼酎やウイスキーをつぎ足しても大丈夫です。ただし、その場合はアルコール度数が30度以上のお酒を使用しないと風味が損なわれてしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、泡盛以外のお酒をつぎ足す場合は一ヶ月ほど日を空けて、お酒がなじむのを待ってから飲むようにしましょう。

少し値段は高いですが、ハブ独特の嫌な匂いもなく、健康面にも非常に効果的なハブ酒。飲まず嫌いをしていた人は、ぜひこの機会に飲んでみてはいかがでしょうか。