食品・食材幻の果実とも呼ばれる「ヤマモモ」の特徴とおいしい食べ方

幻の果実とも呼ばれる「ヤマモモ」の特徴とおいしい食べ方

小さくて赤いツブツブした実をつけるヤマモモは、公園や街路樹にも使われる常緑樹。身近にありますが、食用に栽培されることは少なく、流通時期も限られています。ヤマモモの特徴から味や食べ方・ヤマモモを使った商品まで紹介します。

徳島県の木としても知られる「ヤマモモ」

徳島県の木としても知られる「ヤマモモ」

ヤマモモとは

小さな赤い実をつけるヤマモモは、中国大陸と日本を原産とした常緑樹です。日本では関東以南の低地に自生しており、さまざまな品種が栽培されています。暑さに強く丈夫で、公園・街路樹に植樹されることも多い植物。

雌雄異株のため、どちらか一方では結実しないものの、

  • 花粉が遠くまで飛ぶ
  • 街路樹に多くの雄株が植えられている

という理由から、結実する確率が高いと言われています。

品種は20種類ほどあり、代表的な品種は「瑞光」「森口」「亀蔵」「広東」。その歴史は古く、中国はもちろん、日本でも古くから楊梅(ヤンメイ)の名で書物に記されているほどです。

桃のような実をつけるということから、和名はヤマモモですが、白桃・黄桃はバラ科。桃の名が付いていても別の植物です。

市場に流通しているヤマモモの名産地は徳島県と高知県。また、和歌山県・岡山県・兵庫県でも、わずかですが栽培されています。

ヤマモモは何科?
ヤマモモ科ヤマモモ属です

ヤマモモの特徴

自生しているものは20m近くまで大きく成長するものの、果樹は管理のしやすい3m前後に剪定されます。

細長いヘラ状の葉を持ち、3月から4月にかけて開花。

  • 雄木は褐色
  • 雌木は赤色

の花を咲かせます。梅雨時期になると、表面がブツブツで大きさ1.5cm前後のきれいなルビー色をした実をつけます。

体内の余分な塩分を排出する働きを持つカリウムと赤血球の形成や胎児の生育を助ける葉酸を多く含み、男性にも女性にも優しいヤマモモですが、収穫時期は大変短く、梅雨時の6月中旬から7月上旬まで。さらに、晴天の日でないと収穫できません。

傷みも早いため、おいしくいただけるのはごく短い期間のみとなっています。

ヤマモモおすすめの食べ方

ヤマモモは、そのまま食べる・シロップ漬け・ヤマモモ酒でもおいしく食べられますが、一番のおすすめはヤマモモのジャム。ほどよい酸味を感じられるおいしいヤマモモジャムの作り方を紹介します。

  • 手順1
    ボウルに水を張り、ヤマモモをよく洗う
  • 手順2
    鍋で焦がさないように煮る(冷凍させたヤマモモを使う場合は、解凍した際に出るドリップも使う)
  • 手順3
    ザルで裏ごしして、果肉と種を分ける(ほどよく目が大きいザルがおすすめ)
  • 手順4
    種を取った実を鍋で撹拌(かくはん)する(焦げないように注意する)
  • 手順5
    砂糖を加え、よく混ぜながら煮る(しゃもじに付いた果肉がもったりするくらいまで)
  • 手順6
    ジャムの表面にラップやアルミホイルをのせ、灰汁を取る
  • 手順7
    完成したら煮沸したビンに詰める

作りたてのヤマモモジャムをパンに塗って食べれば、夢中になること間違いなしです。

 

おすすめのヤマモモ商品

おすすめのヤマモモ商品

新倉さんちの手づくりジャム 山桃ジャム

神奈川県横須賀市のジャム屋さん、「新倉さんちの手づくりジャム」の商品です。

・国産
・自然栽培
有機栽培
・減農薬栽培

にこだわり育てられた厳選素材を使い、素材の良さを生かすために余計なものを省いた無添加ジャムは全て手作り。丁寧にじっくり時間をかけて作られているジャムです。

山桃ジャムにも自然栽培のヤマモモが使われているので、野性味もたっぷり。素材を引き立てる北海道産のビートグラニュー糖が、さっぱりした口当たりに仕上げています。

注意
旬のヤマモモを使うため、売り切れ次第終了。「ぜひ味わってみたい」という方は、夏季の製造時期・発売時期のチェックをお忘れなく

徳島県物産館 やまもも姫

徳島県の名産、ヤマモモを使って作られたリキュールです。旬が短く、収穫時期も限定されるヤマモモを一つひとつ丁寧に摘み取り、しぼりたての果汁と本格芋焼酎をミックス。優しい香りと風味は、その名のとおりヤマモモをたっぷり感じられるフルーティな味わいのお酒です。

アルコール度数は8度、しっかり冷やしてロックで飲むのがおすすめ。ヤマモモのように赤い色をしたお酒は、ボトルラベルも愛らしく、パッケージにもお姫様がデザインされています。自宅用はもちろん、ちょっとしたプレゼントにも最適です。

カフェアランチャ ベリーベリースムージー

ヤマモモの栽培は徳島県がよく知られていますが、和歌山県でも行われています。

和歌山県産のヤマモモを味わえるのが、和歌山県和歌山市の「カフェ・アランチャ」。フルーツメニューにこだわっているお店で、飲み物やお菓子は県内農家から仕入れた減農薬・無農薬のフルーツのみを使用しています。

フルーツたっぷりのメニューは、お店だけでなく通信販売でも味わうことが可能。ヤマモモを使った「ベリーベリースムージー」は、ヤマモモのほか、ラズベリー・イチゴ・オレンジ・ミカンの花のハチミツがブレンドされています。

氷と一緒にミキサーにかけるだけで、人気の味を自宅で味わえる商品です。

世界のはちみつ専門店アメリア 花はちみつ

兵庫県神戸市に2店舗を構えるハチミツ専門店「アメリア」。その多くが自家採取の天然ハチミツで、ニュージーランド・スペインなど、海外各国で作られたハチミツも豊富に取りそろえられています。

「花のはちみつ」は、兵庫県・西宮市で採取された国産の天然ハチミツ。ヤマモモやサクラなど数種のミツがミックスされ、ほのかにサクラの香りがする無添加のハチミツは、250g入り。賞味期限は約2年となっています。

 

徳島で開発されたイチゴの新品種「サマーアミーゴ」

徳島で開発されたいちごの新品種「サマーアミーゴ」

サマーアミーゴとは

ヤマモモの栽培地である徳島県では、夏や秋に収穫できるイチゴ「サマーアミーゴ」の産地としても知られています。

夏、冷涼な徳島県では、標高700m~1,000mの標高で夏秋どりに適した「サマーフェアリー」という品種のイチゴが栽培されていましたが、気候変動の影響や大粒イチゴを求める市場要望・コストをふまえて新しい品種サマーアミーゴの育成をはじめます。

サマーアミーゴ
徳島県内の標高が高い地域にしか普及が許されていない品種で正真正銘、徳島で育てられたイチゴ

サマーアミーゴの特徴

「サマーアミーゴ」は、

  • 徳系2号(「みよし」・「久留米48号」)
  • サマーベリー

の実生選抜株を小房親にし、徳島県育成品種の「サマーフェアリー」を花粉親として交配したものです。

2005年に交配を開始し、2008年12月に品種登録出願されたサマーアミーゴは、2年半ほどののち正式に登録されました。

サマーフェアリーに比べると総収穫量が多く、糖度はやや低めですが、酸味も同程度の食べやすいイチゴです。つやつやと光沢に優れたサマーアミーゴは、

  • 硬めで輸送性が良い
  • 日持ちが良い
  • サマーフェアリーよりうどんこ病に強い

という点がメリットとして挙げられます。

県外への利用権許諾は行っていないため栽培されているのは徳島県のみで、普及対象地域は、徳島県内の標高が高い地域のみです。株間の距離を定めるなど、丁寧に丹精こめて育てられています。

チロルチョコ サマーアミーゴ

大人から子どもまで大人気のチロルチョコシリーズでは、夏に収穫できるサマーアミーゴと、甘いチョコレートをコラボした「チロルチョコ サマーアミーゴ」が販売されています。

マラカスを持ったイチゴのイラストと太陽がデザインされたパッケージを開けると、甘酢っぱいイチゴの香りが。

ピンク色のチョコレートには、ドライストロベリーやクッキークランチのほか、スーパーフードと言われるチアシードが入っており、プチプチとしたイチゴのような食感も楽しめます。酸味を感じられるイチゴ味のチョコレートは、今までにない味わいです。

 

小さくて赤い実のなるヤマモモ、いかがでしょうか。自生しているヤマモモは、意外と身近にある樹木。収穫時期が短いため、旬の時期を見極めておいしく味わってみてください。