この記事の目次
九州旅客鉄道 特急「ゆふいんの森」
ゆふいんの森とは
「ゆふいんの森」は、博多から由布院までを結ぶ観光列車です。本来は博多から鳥栖・久留米・日田・湯布院・大分・別府というルートで運行していたのですが、2017年7月の九州北部豪雨の影響で光岡駅~日田駅間の橋梁(きょうりょう)が流失し運休。そのため、博多から小倉・別府・大分を経由して湯布院を目指す迂回ルートが1日往復2本ずつ臨時で運行されています(2018年4月時点)。
一目でそれと分かる深緑色にゴールドのラインが入った車両、大きな窓に温もりのあるウッド調の室内など、クラシカルかつモダンな雰囲気を持つゆふいんの森には、展望席やビッフェ・清潔で機能的なサニタリースペースも設置されています。
落ち着いた優雅な車両で旅ができるゆふいんの森がデビューしたのは1989年。運行が開始されて以来、高い人気を誇っている観光列車です。
ゆふいんの森の楽しみ方
落ち着いた車内、ゆったりとしたシートから眺める九州の景色。それだけでも列車の旅を満喫できるゆふいんの森ですが、そのほかにも楽しめるポイントが多くあります。
大きな窓に向かって腰掛けて絶景を楽しむことのできるサロンスペースは、自由に利用が可能。一部の編成では、由布院到着前に客室乗務員による観光案内が行われています。
ビッフェでは軽食を買うことができますが、車内販売で取り扱われている商品も豊富。ミシュランで1つ星を獲得した北九州の「寿司 竹本」が監修する車内オリジナル弁当「折鶴」をはじめ、
- 由布院の食材を楽しめる「ゆふいんの森弁当」
- 由布院のお食事処「市ノ坐」の「市ノ坐アイス」
- 由布院の老舗旅館「玉の湯」内の「ティールーム ニコル」が監修する「ゆずみつスカッシュ」
- 日田市で作られている梅を使った「スパークリング梅酒」
など、沿線のおいしいものがそろっています。
また、乗車記念やお土産にぴったりの、ゆふいんの森の車両を再現した立体型キーホルダーや、ロゴの入ったオリジナルキャンディーも販売されています。
編成によりますが、小倉経由では博多から由布院まで4時間前後。長旅にはなりますが、景色だけではなく細部まで配慮された車内を見ても楽しめます。
ゆふいんの森に乗るなら寄りたい「湯の坪街道」
湯の坪街道は、JR由布院駅から金鱗湖までの散策路。金鱗湖まで続く徒歩約30分の道のりは、江戸の雰囲気を味わえる場所として由布院の観光名所となっています。
駅を出てすぐ始まる街道には、由布院や大分の特産品・名物を扱う店が勢揃い。おいしい料理に舌鼓を打ち、お土産選びにも困りません。NHK主催の「第1回コロッケコンクール」で金賞を受賞した「金賞コロッケ」を味わうこともできます。
通りの一本向こうには大分川も流れており、こちらも由布院の自然を楽しめる散策スポットになっています。
湯布院温泉を満喫するならココ!
朝霧のみえる宿 ゆふいん花由
「由布院の豊かな自然と名湯を堪能したい」という方におすすめの宿です。
ゆったりとした広さのあるロビーラウンジからは由布岳と由布院の街並みが一望でき、朝霧ただよう美しく幽玄な景色を眺めます。なめらかな泉質の大浴場・露天風呂も眺めにこだわって造られているため、大自然を見ながらお湯に浸かることができます。
由布院や大分県内の素材が多く使われた料理は、おいしいうえにボリューム満点。また、離れにある客室にはそれぞれ専用の露天風呂が付いており、一部屋一部屋にこだわりが感じられます。客室内に付いている内風呂も源泉かけ流しの温泉のため、雨の日や外が寒い日でも安心です。
道南いさりび鉄道「ながまれ海峡号」
ながまれ海峡号とは
北海道の南、函館から北海道新幹線の停車駅である木古内までの海沿いを走る道南いさりび鉄道。2016年の3月26日、北海道新幹線の開業にともない、JR北海道・江差線から第三セクター鉄道の道南いさりび鉄道として新しく生まれ変わった路線です。
全長37.8kmの路線沿線は「見る・食べる・知る」といった観光資源が豊かなこともあり、車内で食事を楽しめる観光電車「ながまれ海峡号」が誕生しました。
「ながまれ」は道南地方の方言で「ゆっくりして」「のんびりして」という意味を持つ言葉。美しい夜空を思わせる青色の車体には夜の函館山のシルエットと津軽海峡にきらめく漁火などが描かれており、大きめの窓がある車内には道南杉が使われて落ち着いた雰囲気。雄大な自然を眺めながら、北海道の特産食材を使ったグルメを味わうことができます。
ながまれ海峡号の魅力
ながまれ海峡号は、大手旅行代理店である日本旅行が企画して運行が始まりました。
観光列車としての魅力をいくつも持つながまれ海峡号ですが、最大の魅力は、車窓から見える豊かな自然風景。季節によって色や姿を変える景色は、見ているだけで飽きることがありません。ツアーでは函館から木古内までを往復するため、往路と復路で違った風景を楽しむことができます。
ツアーによってランチコースとディナーコースが設定されていますが、どちらのコースも地元食材がふんだんに使われたこだわりのある料理。有名菓子店のスイーツや地元の人が駅のホームで焼いた海鮮を弁当にして車内で味わうものもあります。
地元の人びととも触れ合えるあたたかみのあるツアーは、「鉄旅オブザイヤー2016」の旅行会社部門でグランプリを受賞しています。
木古内駅からすぐ!道の駅「みそぎの郷きこない」
「みそぎの郷きこない」は、ながまれ海峡号が停車する木古内駅の目の前にある道の駅です。
地元の特産である道南杉が使われた建物の中には、特産品を販売する店や奥田政行シェフが監修するイタリアンレストラン、観光コンシェルジュが常駐する観光案内コーナーが入っており、道南西部の魅力がたっぷり。
また、路線バスの発着点が目の前にあり、施設にはレンタカーの店舗も入っています。
さまざまなイベントも開かれているみそぎの郷きこないは、数ある道の駅から「2018年道の駅満足度ランキング」で総合1位に輝いた施設。道南西部の魅力がつまっています。
嵯峨野観光鉄道「嵯峨野トロッコ列車」
そもそもトロッコ列車とは?
トロッコ列車は、上部に窓がなく外気に開放された車両に座席が設置された観光列車のことです。美しい景色を眺めたり直接風を感じることができるため、豊かな自然を楽しめる沿線で多くの人気を集めています。
車体は観光列車用に改装されていますが、元々は砂利などを運搬する貨車にベンチを設置したもの。当時の雰囲気を壊さぬよう、シンプルな造りの車両がほとんどです。
嵯峨野トロッコ列車の魅力
トロッコ嵯峨駅からトロッコ亀山駅までの7.3キロを走る観光専用鉄道「嵯峨野トロッコ列車」。ディーゼル機関車に牽引されたトロッコは約25キロの速度でゆっくり走るため、迫力ある渓谷美など京都の美しい自然をたっぷり堪能することができます。
特に優れた景観の場所では、さらにスピードを落としてくれるので撮影もバッチリ。ゆったりした気持ちで列車の旅を楽しめます。
5両編成の車両には裸電球、木製の椅子が備え付けてあり、クラシカルなカラーリングを施したアールデコ調。「ザ・リッチ号」は窓ガラスがないため、自然の風や音を肌で感じることができます。
嵯峨野トロッコ列車は、春夏秋冬、季節を選ばず楽しめることも魅力の一つです。春の桜・夏の緑・秋の紅葉、また、冬の景色を楽しむ際には石炭ストーブを乗せたストーブ列車も運行されます。
トロッコ列車に乗るならやるべき「保津川下り」
雄大かつ美しい保津川峡谷で観光用の川下りが始まったのは、1895年(明治28年)ごろと言われています。古くは京都や大阪に荷を運ぶ水運でしたが、鉄道や道路の発達にともない水運は減少。亀岡から嵯峨まで16キロの保津川は、四季折々の景色を眺められる遊船で知られるようになりました。
約2時間で下る保津川両岸には趣のある巨岩や奇岩などが多く見られ、「小鮎の滝」や丹波亀山の殿様が魚釣りを楽しんだ「殿の漁場」、同じ箇所に竿を指すことから窪みができたという「竿の跡」など、見どころもたっぷり。変化する川の流れを肌で感じることができます。
冬になると船にはビニールの屋根が付けられてじゅうたんが敷かれ、ストーブも入る屋形舟に変身。季節を問わず楽しむことができます。
地域の景観や特産だけでなく、歴史や文化や人びとの思いがたっぷりつまった観光列車、いかがでしたか。旅の雰囲気を味わう方法もさまざまですが、観光列車では気軽に楽しく地域と触れ合うことができます。「ポイントを押さえた観光をしたい」という方にもおすすめです。