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そもそもみどりむし(ミドリムシ)とは
ミドリムシとは、学術名称「ユーグレナ」と呼ばれる単細胞の微生物で、光合成をしながら成長する植物の性質と自ら動きまわる動物の性質をあわせ持った、特異な生き物です。
ミドリムシは円柱形で両端がとがった形状をしており、体長は0.05mmほど。とても小さな微生物のため、顕微鏡で観察しないとその姿を見ることはできません。
ミドリムシの植物的な性質
ミドリムシには光合成をするための葉緑体という器官があり、太陽の光を浴びて光合成を行いながらビタミンやミネラルなどの栄養素を自ら作り出して体に蓄えているという特徴があります。これにより、ミドリムシは緑色に見えているのです。
ミドリムシの動物的な性質
ミドリムシの体には、先端にある大きな穴の底から長くて太い鞭毛(べんもう)と呼ばれる毛のようなものが一本と、電子顕微鏡でしか見ることのできない短い鞭毛がもう一本存在しています。
ミドリムシは、長くて太い方の鞭毛を動かすことで水中を遊泳し、自由に動きまわることができるのです。
また、ミドリムシを顕微鏡で観察すると、鞭毛や葉緑素のほかに赤い斑点が見られます。細胞核であるこの赤い斑点の見た目が美しいことからラテン語の「ユーグレナ(美しい目)」と名付けられたのです。
ミドリムシは100種以上が存在し、淡水にも海水にも生息しています。
ミドリムシが食べられるようになった背景
ミドリムシが地球上に誕生したのはおよそ5憶年前と言われています。はるか昔から生息している生物ですが、その存在が明らかにされたのは1660年代にオランダの研究者により発見されたことからです。
1950年代にはミドリムシを用いた光合成や宇宙開発における研究が行われ、1990年代になると医療分野での研究も進みました。
ミドリムシが食用として食べられるようになったのは、2005年設立の株式会社ユーグレナの研究開発によるものです。ユーグレナ社は微細藻類に関する研究開発、生産・品質管理、販売を展開しているバイオテクノロジー企業で、2005年に世界で初めてミドリムシの食用屋外大量培養に成功しました。
ミドリムシの特異な生態は研究対象であり、また人間に必要な栄養素を多く含む特徴から有効活用について開発が行われていましたが、安定的かつ大量に培養する技術はそれまで確立されていませんでした。
大量培養に成功したユーグレナ社は、食用ミドリムシについての先駆けとなったのです。
高い栄養価を持つミドリムシは、日々の食生活で足りていない栄養を補う栄養補助食品やサプリメントとして、また発展途上国においては食糧援助の素材として、食用開発が現在も日々進められています。
ミドリムシを食べるとどのような効果があるのか
ミドリムシを食べることで期待できる効能
ミドリムシには、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・食物繊維・EPAなどの栄養成分が59種類も備えられており、人間が生きていくために必要とされるほぼ全ての栄養素を網羅していると言われています。
これほど豊富な栄養素が備えられている要因は、植物と動物両方の性質をあわせ持っているため。植物に含まれるビタミンCや葉酸、動物に含まれるEPAやビタミンB1など、両方を補うことができるのです。
ミドリムシを食べることで期待できる効果は、以下のとおりです。
- 美容につながる便秘解消やデトックス効果
- 冷えやむくみと肌荒れへの効果
- 花粉症・アトピーなどアレルギーに対する効果
- 風邪やインフルエンザなど免疫力低下を補う効果
- コレステロール・高血圧・動脈硬化など生活習慣病への効果
- ストレス対策
上記効能のほか、ダイエットにも有効と言われています。
ダイエットによる食事制限を行っている場合、栄養不足に陥りがちで、肌荒れや便秘を引き起こすことがありますが、ミドリムシのビタミン・ミネラルの栄養素によりそれらを補うことができます。
また、ミドリムシ特有の成分であるパラミロンという物質は油を吸着すると考えられており、体内に取り込むことで中性脂肪など不要な物質を吸収し身体の外に排出する働きがあることから、ダイエット効果が期待できると言われています。
野菜などの植物にはセルロースという固い細胞壁があり、人間にはセルロースを分解する酵素がないため栄養吸収率が低くなりますが、ミドリムシにはセルロースがなく細胞膜のみに覆われているため、人間の酵素で溶かして栄養を効率的に吸収することができると言われています。
そのため、食用とすることで効率的にさまざまな健康効果が期待できるのです。
ミドリムシに副作用はあるか
前述のとおり、豊富な栄養素や優れた効能を持っているミドリムシは、そのまま摂取するよりもサプリメントなどの錠剤や食品に添加して摂取することが主流となっています。
副作用については、重大な報告は発表されていませんが、アレルギー疾患や妊娠や授乳中の方、また別の薬を服用している方などは医療機関に相談のうえ、摂取することが推奨されています。
また、ミドリムシの成分であるパラミロンは便秘解消など食物繊維と同様の性質と効能があることから、大量摂取をすると下痢や腹痛を引き起こす可能性があるため、適正量を確認する必要があります。
ミドリムシのサプリメントやミドリムシを使った話題の食べ物
ユーグレナ ミドリムシのちから
ミドリムシは100種類以上ものさまざまな種類が存在します。
「ミドリムシのちから」は、特に栄養価の高い「ユーグレナグラシリス」という種類のミドリムシが用いられた商品で、コエンザイムQ10や有胞子性乳酸菌などの有効成分がしっかりと機能するよう独自に配合されたサプリメントです。
人間だけでなく、犬や猫などのペット向け「ペットサプリメント ミドリムシのちから」や、ミドリムシの持つ栄養素を応用した新発想のエイジングケア「ミドリムシのちから 化粧品シリーズ」など、新商品も開発中の注目のシリーズです。
越中ななごん堂 ミドリムシクッキー ユーグレナ・バー
「自然のサプリメント」とも言われるミドリムシを用いたほんのり甘いクッキーで、ミドリムシに含まれる豊富な栄養が一日の推奨量である500mg配合されています。
一本あたりのカロリーは91kcal。原料に豆腐を使用しており優しい素材で小腹を満たすことができるうえ、低カロリーでヘルシーです。
食べやすいソフトクッキーで、空腹時のおやつや、朝食や夜食としての栄養補給、またダイエット中のサポートにも役立ちます。
身体にしみこむ手作り野菜ジュースみどりむし10億ジュース
イルドゥリは、沖縄県産の野菜やフルーツを中心に野菜の栄養素や繊維を味わえる新感覚の手作りジュース専門店。
「身体にしみこむ手作り野菜ジュースみどりむし10億ジュース」はメディアでも話題のユーグレナ社とのコラボレーション商品で、サラッとしていて飲みやすく効率的に栄養を摂取することができる人気商品です。
冷凍で届くので半解凍のシャーベット状でも楽しむことができます。
体長0.05mmほどのごく小さなミドリムシは、植物的な性質と動物的な特徴をあわせ持つことから数多くの豊富な栄養を有し、現代人の食生活を補う貴重な存在として注目されています。今後もさまざまな食品への応用や、研究開発が進められていくことに期待がつのります。