ライフイベント年々増え続ける孤独死にはどう対策していくべきか

年々増え続ける孤独死にはどう対策していくべきか

家族・親族や近所との付き合いを持たない人が、誰にも看取られることなく一人で死んでしまうことを「孤独死」といい、発生件数は年々増加を続けています。そこで今回は、孤独死に直面した際の対策方法について紹介していきます。

孤独死への対策

孤独死への対策

孤独死を引き起こさないためには、対象の高齢者一人ひとりが今置かれている状況を把握し、適切な環境を提供していかなければなりません。

介護・福祉サービスの利用

老人ホーム

老人ホームに入所させることで、自宅で一人きりだった高齢者は入居者・スタッフと関係を持つことができるようになります。老人ホームにもさまざまな種類がありますが、よく使われているのは以下の3つです。

  • 有料老人ホーム:日常生活にやや不安を覚える人のための施設で、費用が高額ではあるもののサービスはとても充実している
  • 特別養護老人ホーム:要介護3以上の人が入所でき、有料老人ホームに比べて料金が安い。一度入所すると、ここで最後を迎える人がほとんど
  • ケアハウス:一般的な老人ホームよりも費用を抑えて入所できる施設。介護サービスも一通りそろってはいるものの、要介護認定の高い人は入ることができない

訪問介護

訪問介護とは、介護施設には行きたくない人などが介護を在宅で受けることのできるサービスです。生活の支援・体調の管理もさることながら、自宅への定期的な訪問がコミュニケーションにもなるため、孤独死対策にはうってつけです。

デイサービス

通所介護とも呼ばれ、

  • 定期的な施設への通所
  • レクリエーションの実施
  • 食事・入浴

などのサービスが受けられます。特に、施設内で行われるレクリエーションは、想像力をかき立てるものから体を動かすものまでさまざまで、その日を待ち望む高齢者も数多くいるほどです。

デイケア
デイサービスの内容にリハビリテーションを含めた、デイケアというサービスもある

定期的な安否確認を行える場の提供

サービス付き高齢者向け住宅

略して「サ高住」とも呼ばれる、家の中にバリアフリー設備が組み込まれた高齢者向けの賃貸住宅です。

  • 生活相談
  • 安否確認

のサービスが住宅自体に付いているものの、介護サービスの提供は行われていないため、比較的健康で元気な高齢者におすすめです。もし、介護が必要になった場合には、自身の負担で訪問介護などを呼ぶ必要があります。

日本でも着々と導入が進むバリアフリーとはいったい何? 日本でも着々と導入が進むバリアフリーとはいったい何?

人感センサーを設置する

自宅のリビングに人感センサーを設置することで、居住者の安否確認を行えるようになります。セキュリティー会社などで導入が進められているサービスです。

安否確認コール

定期的に電話連絡を行い、安否の確認をするサービスです。電話の際には、さまざまなコミュニケーションを取ることもできます。

MEMO
孤独死対策以外にも、災害時における連絡手段としても役立ちます

自身で行える孤独死への対策

サークル・習い事へ通う

近年、高齢者の間でサークルやスクールへ通うことがブームになっています。自身の好きなジャンルで新しい友人を作れたり、新しい趣味を見つけられたりすることが人気の理由です。

新たな人とのつながりを生み、生活の質を向上させる機会が増えることは、同時に孤独死の対策にもなり得ます。

シルバー人材派遣センター

定年退職後の高齢者は、突然仕事を辞めることになっても自分が何をして良いのか分かっていない人がほとんどです。シルバー人材派遣センターでは、そのような人を対象に軽易な仕事を提供し、「生きがいを得る」ための手助けをしています。

請け負う仕事には、

  • ボランティア活動
  • 家事援助
  • 駐車場管理
  • 塗装作業
  • 農作業
  • 経理

など、以前働いてた職種に合わせてさまざまな種類の中から選べます。

仕事を生きがいにしていた人にとっては、積極的に活用していくべきサービスです。

家族との連絡を取る

家族との定期的な連絡は、基本的なことですがとても大切な要素となります。家族の声を少し聞くだけでも気持ちは晴れやかになるものです。

遠いところに住んでいる場合は特に、体調の変化に気付けるため、できるだけ定期的に取るようにしましょう。

近所との関係を作る

近年、急速に進む近所付き合いの希薄化は、孤独死を助長させています。近所同士のネットワークが強ければ強いほど、大事に至る前に気付いてもらえる可能性も上がります。

生前整理・老前整理を行う

あまり関係ないように思えますが生前・老前に整理を行うことは、孤独死を防ぐためにはとても重要なことです。

家の中が整理されていると、もしもの際に救急隊が対応しやすくなったり、自宅内で何かにつまずいて怪我することが起こりにくくなったりします。

 

実際に地域で行われている対策

実際に地域で行われている対策

実際に、ある地域で行われている孤独死問題への対策を見ていきましょう。

青森県 黒石市

ボタン通報器の設置による、見守り体制の強化

青森県の黒石市では、高齢者が一人暮らしをしている家を対象に

  • 無線送受信機
  • ボタン通報器
  • 人感センサー

を設置しています。それぞれに期待できる効果としては以下のとおりです。

無線送受信機
寝室などにセットすることで、異常があった際にすぐに家族が確認できるようになる

ボタン通報器
朝・昼・夜とあいさつボタンを押すことで家族にメールが届き、安否の確認ができる。また、緊急ボタンが押された際には、すぐに救急車が駆けつけ、対応後にはすぐに家族にもメール・電話が届く

人感センサー
無線送受信機のようなカメラをセットしたくない人向けで、赤外線・超音波によって人間の所在を確認できる

岩手県 盛岡市

シルバーメイト事業

盛岡市社会福祉協議会によって行われる、一人暮らしの高齢者を見守るための活動です。

  • 高齢者のことをシルバー
  • 見守りをする地域住民のことをシルバーメイト

として、安否の確認・声かけ・緊急時の通報や支援などが行われています。

岐阜県 各務原市

食の自立支援事業

定期的な安否確認が必要で、かつ、買い物や調理が困難な人に対して、弁当を提供するというものです。また、利用者の「食の自立」も目的としているため、一人ひとりの栄養状態が改善されるような食事を手渡しで配達しています。

MEMO
対象者は65際以上で一人暮らしの高齢者のうち、虚弱状態もしくは重度の障がいを持っている人

大阪府 豊中市

安心生活創造事業

要介護者や重度の障がいを持つために公的サービスを受けられず、かつ、地域社会から孤立してしまった人が安心して暮らせるように、見守りと買い物支援を行う事業です。

新聞業者やライフライン事業者(電気・水道・ガスなど)・コンビニ定員も協力することで独自のネットワークを構築し、見守りの支援が行われています。

公共サービス
地方公共団体などによって提供される公のサービス全般のこと。教育・交通・司法など

 

もし身近で孤独死が起きてしまったら

もし身近で孤独死が起きてしまったら

身近で孤独死が発生したら

孤独死を発見する人は、大家や管理会社・福祉関係者・近隣住民などさまざま。見つけた際はすぐに警察に通報しましょう。

警察の到着、遺体の身元確認が完了次第、遺族のもとへと連絡がいきます。死因に事件性が認められないと判断されれば、遺族とご遺体の対面が行われます。

ご遺体の引き受けを行う場合には、

  • 警察から搬送し安置場所を確保
  • 葬儀社の手配
  • 葬儀の日程調整と親族・関係者への連絡

が必要となります。

また、葬儀以外にも孤独死の現場になった住居の早急な処理が求められます。発見までに時間がかかった場合、室内はひどく荒れていることが多いため特殊清掃業者へと依頼する必要が出てくるでしょう。

MEMO
孤独死の現場は腐敗臭や汚れがひどいため、画像検索する際には注意が必要です。

特殊清掃

上述したように、発見までに時間がかかり、室内の状態が凄惨な場合には特殊な清掃方法が必要になってきます。

特殊清掃業者は、特殊な技術と薬剤を使用して

  • 部屋の清掃
  • 害虫の駆除
  • 消臭・除菌

を行います。

住居の清掃は本来、遺族によって行われるべきではあるものの、身内の凄惨な現場の片付けは非常に心苦しいものがあります。さらに、衛生面にも問題があり、少しの間息を吸い込んだだけでも病気になってしまう恐れもあるのです。

後々のトラブルを避けるためにも、自身でやろうとは決して思わずにその道のプロである特殊清掃業者に頼むのが一番でしょう。

 

近年では若者にまでその被害が及んでいる孤独死。地域・社会とのつながりを保つためにも、仕事や近所付き合い・ボランティア活動・趣味など、一人暮らしをしている人でも社会から孤立しないための取り組みを行っていくべきなのでしょう。