年金の種類
日本は、20歳以上60歳未満である全ての国民が何かしらの公的年金制度に加入しなければならないという「国民皆年金(こくみんかいねんきん)」制度によって保険サービスと老後の生活が保障されている国です。
そして、公的年金には
- 国民年金
- 厚生年金
- 共済年金
の3種類があります。
ただ、2017年の10月をもって共済年金は厚生年金と一元化したことで、年金制度は2種類となっています。そのため、日本国民は勤務状況によってこの2つの年金制度の中から加入するものが決まります。
それでは、2つの年金制度の詳細を以下より見ていきましょう。
国民年金
国民年金は、日本に住所を持つ20歳以上60歳未満の全ての人が加入しなければならない最も基本的な年金制度です。20歳の誕生日を迎えると日本年金機構から年金手帳が送られてきて、そのタイミングから保険料を支払うことになります。
国民年金は満額受給でいくらもらえるのか
20歳~60歳までの40年間、国民年金を漏れなく全て納付することで満額受給となり、年間で77万9300円が支給されます(平成30年度)。
国民年金の種類
国民年金という呼び方が一番しっくりくるかもしれませんが、正式名称は「基礎年金」といいます。
また、「基礎年金は年を取った人が受け取れるもの」というイメージが強いですが、3つの種類が存在しています。
- 老齢基礎年金:65歳を迎えた人が、保険料を支払った期間に応じて支給される
- 障害基礎年金:病気やけがが原因で障害になった際、その障害等級に応じて支給される
- 遺族基礎年金:25年以上年金を支払った人が亡くなった際、遺族に支給される
老後にもらうイメージが強いですが、それだけが国民年金ではありません。配偶者が亡くなった場合や、障害を患ってしまった場合にも年金は受け取れるのです。
被保険者の種類
国民年金は、対象となる保険者も3つに分類され、それぞれ保険料の支払い方法が異なります。
第一号被保険者
- 対象者:個人事業主(自営業など)、学生、パート・フリーター、無職
- 支払い方法:払込票もしくは口座振替
在学中などで支払いが困難な場合には、「学生納付特例制度」によって猶予期間が認められます。あくまでもこれは猶予であるため、働き始めた場合にはさかのぼって支払う義務があります。
第二号被保険者
- 対象者:厚生年金に加入している人
- 支払い方法:厚生年金の保険料と合わせて給料から天引きされる
第三号被保険者
- 対象者:厚生年金加入者の配偶者で、かつ、20歳以上60歳未満の人
- 支払い方法:配偶者の給料から一緒に天引きされる
ただし、条件を満たしている場合であってもアルバイトなどで年間の収入が130万を超える人は、第一号被保険者へと変更されます。
厚生年金
厚生年金は、日本国内の企業に勤めているサラリーマンとOLが対象の公的年金制度です。また、厚生年金に加入している場合であっても国民年金は合わせて支払う必要があります。
厚生年金の種類
労使折半で支払う厚生年金ですが、国民年金と同様にこちらも3種類あります。
- 老齢厚生年金:在職中に納付した金額と期間に応じて支給される
- 障害厚生年金:病気やけがが原因で障害になった際、障害等級と納付した金額と期間に応じて支給される
- 遺族厚生年金:亡くなった人が受け取るはずだった老齢厚生年金の3/4が支給される
国民年金とあまり変わらないように感じますが、厚生年金はもらっている給料の量によって受給できる年金額は大きく異なります。
厚生年金の支給額と保険料
厚生年金の保険料は非常に高額ではあるものの、その分、受給額も国民年金より高額です。
平成29年度におけるそれぞれの受給平均額は、
- 国民年金が5.5万円
- 厚生年金が14.7万円
と3倍近い差が生まれています。
では、保険料はどのように決められるのでしょう。
保険料
一般的な被保険者の保険料は「標準報酬月額」と「標準賞与額」に18.182%をかけた金額です(平成28年時)。
例えば、標準報酬月額が36万円の被保険者で考えると、
- 等級が22
- 保険料が6万5880円
- 個人負担額が3万2940円
となります(東京都の場合)。
また、厚生年金の受給資格は、国民年金と厚生年金の加入期間の合計が25年以上であれば得られるとされています。
支給額
受給額は以下の計算式で求められます。
「受給額=標準報酬月額✕加入期間✕5.481/1000(一定乗率)」
例として、
・報酬月額が30万円
・加入期間が10年(120ヵ月)
の人を挙げると、30✕120✕5.481/1000=19万7316円となり、毎月約20万円が支給されることになります。
覚えておきたい年金の制度
付加年金
付加年金は、国民年金の保険料に上乗せして納付することで、将来的に受給できる年金額を上昇させるというものです。金額は一律400円で、第一号被保険者と任意加入被保険者が加入対象となります。
死亡一時金
死亡一時金は、3年以上国民年金の保険料を納めた人が、老齢基礎年金と障害基礎年金を受け取らずに亡くなってしまった場合に、遺族に対して支給されるものです。
保険料を納付していた期間によって支給額は変わりますが、だいたい12万円~32万円です。ただし、亡くなった日の翌日から2年を過ぎてしまうと時効になるため注意しましょう。
脱退一時金
脱退一時金とは、第一号被保険者として国民年金の保険料を6ヵ月以上納付した期間がある外国人のうち、年金を受け取れない人が出国後2年以内に請求を行った場合、納付期間に応じて支給されるものです。
ただし、
- 日本に住所を持つ人
- 出国後2年が経過している人
- 一度でも年金の受給権を所持したことがある人
に対しては、脱退一時金は支給されません。
年金の種類によって、それぞれ対象になる人や保険料・受給金額は異なります。自分自身がどの年金に加入しているのか、老後にはいくらもらえるのかを今のうちからしっかりと把握しておくことが大切です。