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深刻化するいじめ問題
福岡のいじめ問題の現状・課題
福岡県では非行・暴力問題は減少傾向にありますが、子供達の携帯所持率が増えてきたことで新たないじめの形が現れ、目に見えない「いじめ問題」に頭を悩ませる保護者が急増しています。そのなかでも特に問題になっているのが不登校児の増加です。
福岡市の小・中学校においては年々不登校児が増加してきています。特に小学校から中学校へ上がる時が一番多く、その割合は3割増しになるというデータも存在します。
不登校になる原因の多くは「学校でのいじめ」「家庭環境によるもの」がほとんどで、その起因となっているのは子どもたちのネット依存が高まっていることにあります。
これらの問題を解決するために必要な課題として、福岡市教育委員会では以下のような項目を挙げています。
- 家庭内における子どもの現状把握
- 保護者から寄せられる相談や苦情に対し、学校側が素早く的確な対応ができる環境作り
- 各学校のある地域の住民との連携を取り、地域の教育力を取り戻す
- インターネットや携帯への関わり方の教育・指導の徹底
- 差別・いじめの問題を子どもに意識させるための講演や授業を行う
「いじめは当事者にとって重大な問題だが、それを解決するためには根本的な原因を探らなければならない」という観点から、問題の現状把握をしてそれを相談する受け皿を用意し、これまで希薄になってきていた地域住人との連携を復活させることで、問題の早期発見・早期解決を図ろうという流れです。
いじめ問題からの脱却・改善への取り組み
福岡の小・中学校では年に数回、生徒を対象とした人権教育の講演会や授業が行われています。昔からある差別問題に加え、時事的に問題視されている人権教育も含めて幅広い内容となっており、これを契機として子どもたちに、
「他人との違いを認め合う」
「便利なだけでは済まされないネットの怖さを知る」
ということを意識させるようにします。
人権教育は子どもたちだけに向けて行うものではありません。各小・中学校にはPTAの役員として成人教育委員会があり、保護者と教職員および地域の方々に向けた人権教育講演会が行われます。
これにより三者の関係が近くなり、学校や地域住人の方々に相談や協力をお願いしやすくなるというメリットがあります。
地域のシルバー世代の方々は毎朝毎夕通学路に立ち、子どもたちの登下校の様子を見守ります。それと同時に各校区内の見回りを実施し、不登校児を早期発見して安全を確保した後に学校へ送り届けたり、必要であれば家庭への訪問をして学校側と連携を取ったりなど、さまざまな面での活動で協力しています。
一朝一夕では解決しない「いじめ問題」ですが、人間同士の繋がりや協力を取り戻すことは問題解決への大きな一歩なのかもしれません。
急増する外国人労働者や留学生トラブル
年々増加の一途を辿る外国人
「アジアの玄関口」である福岡には、毎年多くの外国人が仕事や留学目的で来日しています。その総数は2015年の段階で6万人を超えており、年々増加傾向にあります。
福岡県内の外国人登録者数で最も多いのは東南アジアの国々です。「福岡は最も近い日本の都市であり首都圏に比べると物価が安く住みやすい」という点が人気で、3LDKで6万円程の賃貸マンションに複数人で生活しながら日本の大学や専門学校に通いつつ、アルバイトやパートで生計を立てています。
一部の大規模工場などでは集団就職として一度に大人数の外国人を受け入れ始めており、外国人は重要な働き手として期待されているのですが、残念なことに来日する外国人の増加とともにトラブルも増えてきています。
外国人トラブルの例
交通ルールが分からない
留学生の多くは移動の手段として自転車に乗っているのですが、日本の交通ルールを今ひとつ把握できておらず、車の走行妨害をしてトラブルになることがあります。自国でのルールをそのまま持ち込んでしまうことも多いため、注意をしてもなかなか理解してもらえないというケースも。
ゴミ出しのルールを守らない
住んでいる地域でのゴミ出しのルールが分からず、ご近所や賃貸オーナーとのトラブルになることもあります。
入居時に説明は受けていても、いざ出す時にどうして良いか分からず分別せずにまとめて捨てたり、各地域で指定されている有料ゴミ袋を買わずに捨ててゴミを回収してもらえなかったり、などが一番多いトラブルです。
市町村役場やスーパーなどでのトラブル
来日して間もない外国人の多くが起こすトラブルに、スーパーのレジや役場での順番待ちを理解できなかったり、日本語が通じず大声で怒鳴ったり、などの行為があります。このような時に共通言語で通訳できる人が一人でもいると、スムーズに話が通りお互いに気持ちよく用事を済ませられるようになります。
少し意識するだけで改善できる言葉の壁
福岡ならではのトラブルとしてあるのは「方言の壁」です。元々はとても面倒見が良く快活な県民性を持つ福岡の人たち。困っている外国人に対しても積極的に助けようとするのですが、話す言葉が方言で早口のため、長い間福岡で暮らしている人でなければ理解できないこともあるのです。
急激に増えている外国人住民の人たちと仲良く暮らしていくためには、来日する側だけでなく受け入れ側の準備体制も必要となるでしょう。
福岡ブラックホール問題
福岡ブラックホール問題とは
「福岡ブラックホール問題」をご存知でしょうか。ある番組で取り上げられて全国的に有名になったという経緯があるこの言葉なのですが、実はこれは悪い意味ではありません。
福岡市は海と山、両方の自然に囲まれている大都市です。中心部にコンパクトにまとめられた企業や大型店舗、鉄道・空港に全て短時間で移動することができるその便利さは、ほかの都市では見られない光景です。
ほんの少し足を伸ばせば海に山にと観光へ行くことも可能で、さらに物価が安くその値段は首都圏のおよそ半分ということもあり、「あまりの住み心地の良さのため、一度福岡に転勤した人が二度と帰ってこない」という現象を、入ったら出られないブラックホールに例えて言い表したのが福岡ブラックホール問題です。
実際に統計を見ると、出産などによる自然人口増加よりも転入による人口増加率が多くなっており、それに呼応するように都心部では公共交通機関や受け皿となるベッドタウンの開発が進んでいます。そしてその勢いはまだまだ止まりそうにありません。
福岡市一極集中問題
福岡市が発展を遂げる一方、それ以外の市町村では過疎化が進んでいます。大きな敷地が必要となる工場やショッピングモールを除いては、大半の企業や店舗は中央区、博多区などの都心部に集まります。これにともない、そこに働く人たちも周辺地区に集まり始め、ベッドタウンの開発が進み地価と税金が上昇しました。
その一方で、都心部までの所要時間が電車で一時間以上かかる地域では高齢化と人口減少が進み、空き家や売地が目立つようになってきています。元々通っていた公共交通機関も利用者の減少を受けて運行本数が減ったり廃線になってしまい、不便さを感じた人びとがその土地を離れてもっと便利な場所へ引っ越すという悪循環を起こしているのです。
過疎地域だけじゃない!人口過密地域の問題点と対策
ブラックホールのごとく人びとがその魅力に吸い寄せられ、一見華やかな発展を遂げているように見える福岡ですが、その一方では人口増加にともなうさまざまな問題を抱えています。福岡市がこれらの問題に対してどのような解決策を模索していくのか、今後も注目していきたいと思います。