社会深刻化する生活保護の不正受給問題 逮捕につながる恐れも

深刻化する生活保護の不正受給問題 逮捕につながる恐れも

格差社会が広がるなか、「低所得層」「貧困家庭」「孤独死」など、社会が抱える問題は大きくなっています。
一方、貧困世帯に対する救済措置としての生活保護制度を悪用する例が後を絶ちません。

生活保護の不正受給

生活保護の不正受給問題が多く報じられています。生活保護費は私たち国民の税金から支払われているものなので、決して他人ごとではありません。

生活保護法の趣旨

生活保護制度は、生活を窮屈に感じている方に対して、その程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

生活保護を受け取れる条件

  • 身体的・精神的な障がいや病気のため、働くことができない
  • 資産(預貯金や土地等の不動産)がない
  • 生活を援助してくれる親族がいない(いたとしても、経済的な事情により援助することができない)
  • 公的な給付金や社会保障(年金や失業手当、傷病手当など)が受けられない
  • 世帯全員の収入を合わせても、国が定めている最低生活費に満たない

細かな基準は各地方自治体によって違いますが、上記が一般的な受給条件となります。

不正受給とは

生活保護を受ける条件を不正に満たして生活保護費を受給する行為を「不正受給」と言います。

厚生労働省が発表した平成27年度の生活保護費の不正受給件数は過去最多の4万3938件で、不正受給率は前年度から2.1%増加しています。

 

不正受給の方法(ケース)

不正受給の方法(ケース)

所得隠し

生活保護を受給したい場合、当然のことながら本人や家族名義の預貯金、不動産は全て換金し、生活費に充てなければなりません。

そのため、自分の預貯金や不動産の名義を友人や親族に変え、蓄え(所得)を隠し持ったまま生活保護を受給することや、福祉事務所や市役所に気付かれないような職場で(直接現金がもらえる日雇いなど)でこっそりと働いて自分の収入を隠すケースがあります。これが「所得隠し」とされます。

さらに悪質なケースとして、生活保護受給者と別居している年金受給者が親族にいて、その親族が他界したにもかかわらず故意に年金事務所に届け出を出さないまま受給者名義で年金を受け取り続けるというケースもあります。

二重申請

通常、生活保護は居住している地域で受けられるものですが、職歴や経歴を偽り住所を頻繁に変えることで複数の市町村から生活保護を受給するケースがあります。これが「二重申請」と呼ばれるものです。なかには三重申請で1千万円以上も受給していた大変悪質なケースもあります。

同じようなケースとして、すでに子供が自立して別居しているにもかかわらず住所変更をせずに世帯人数分の生活保護費を受給するケースや、戸籍上は夫婦が離婚をして籍を抜いた形をとり、生活保護を受給しながら実際は一緒に生活するケースもあります。

虚偽の診断書

生活保護申請は、心身ともに障害や病気を持っている人の方が審査に通りやすいと言われています。そのため、健康であるにもかかわらず知り合いの医者に頼んで虚偽の診断書を書いてもらい、申請書ともに提出して受給するケースもあります。

生活保護受給中にやってはいけないこと

株やギャンブル

株やギャンブルで得た金銭は収入とみなされます。収入の申告をすれば問題はありませんが、しなかった場合は所得隠しの扱いとなります。

自家用車

自動車の購入は、高額な買い物かつ資産とみなされるので原則は認められていません。しかし、家族に病気や障がいを持つ人がいて、病院への通院や介護などに使用する場合や、公共交通機関が極端に少ない地方部の場合には申請が通ることもあります。

MEMO
タクシーやトラックのドライバーなど、自動車を必要とする職業に就く場合は特に問題とはなりません。(改行は入れず、一段落にする)

借金

原則、生活保護受給中の借金はできません。生活保護を受ける際は、近親者に支援(経済的、精神的)ができるかどうかの通知が届きます。近親者が「できない」と返答したにもかかわらず生活保護受給者に金銭を貸したことが発覚してしまうと、生活保護費の減額や打ち切りの可能性も発生します。

保険

生命保険に加入することには制限がありませんが、気を付けておくべき点があります。「終身型」や「積み立て型」など、満期になって口座に振り込まれる預貯金型の保険は不可となっています。生活保護の受給条件として、全ての財産(預貯金、不動産)を生活費に充当することとなっているため、低額かつ「掛け捨て型」の保険にのみ加入することができます。

不動産

不動産に関しても、利用できる資産は全て生活費に充てるという条件のため、もしも遺産相続等で不動産を手に入れた場合は、相続した不動産を売却して生活費に充当するか、福祉事務所に収入の申告をしなければなりません。

住宅ローン

住宅ローンを生活保護費から捻出することはできません。そのため、ローンを支払っている途中の場合は、土地、家屋を売却しなければ生活保護の適用を受けることができません。

 

不正受給がばれてしまったらどうなるか

不正受給がばれてしまったらどうなるか

不正受給がばれる主な原因

  • 各地方自治体が実施する不正受給調査
  • 役所の職員の見まわりや見守り
  • 近隣住民からの通報

不正受給がばれるとどうなるのか

不正受給が発覚した場合には、生活保護費の打ち切りだけではなく、生活保護法第63条に基づき不正に受け取った保護費を返納しなければなりません。返納を拒否した場合、生活保護法73条に基づいて強制的な徴収が行われます。

悪質なケースについては福祉事務所内で審理され、詐欺罪で告訴される場合もあります。

時効はあるのか

返還する額は各地方自治体によって異なり、生活保護費返還が決定された翌日から5年で時効となります。