この記事の目次
なぜ地球温暖化は起きるのか
地球温暖化が起きる仕組み
地球温暖化とは、地球の大気・海洋・地表の平均温度が少しずつ上昇する現象です。もともと地球は温暖化と寒冷化を繰り返してきたと考えられていることから、地球の自然現象として温暖化という言葉を使用することもあります。
しかし、現代社会において使われている地球温暖化という言葉は、20世紀後半に入ってからの爆発的な人為的産業活動を原因とした平均気温の上昇を意味しています。自然現象とは異なるこの気温の上昇は、地球上の自然環境に大きな影響を及ぼし、人類を含めた地球上の全ての生物に悪影響が出ることが懸念されているのです。
地球温暖化の原因
具体的な地球温暖化の原因として最も問題視されているのは、温室効果ガスの急激な増加です。温室効果ガスは本来、地球上を覆っている「空気の毛布」のような存在で、二酸化炭素やメタン・フロンが暖かい空気を地球に留めることにより、地球を生物が住める奇跡の星とさせるものでした。
しかし、急激に増えすぎた温室効果ガスは地球を温めすぎてしまい、バランスが保たれていた平均気温を急上昇させたのです。
温室効果ガスが急激に増えた原因としては、以下のようなものが考えられています。
- 人口増加にともなう自然開発による森林伐採
- 家畜の急激な増加
- 石油を含む化石燃料の燃焼(発電や車の燃料など)
これらは全て「現代社会の生活」に起因しています。
- 工場を作るために森林を伐採
- 安定した食料を求めて家畜を増やす
- 便利な生活を追求して化石燃料を使用する
このような生活様式が急激に加速したことで温室効果ガスは急上昇し、地球温暖化の問題へと繋がっていったのです。
地球温暖化によってどのような影響があるか
地球温暖化によって起こる現象と、それにともなう影響にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
自然災害
大雨や暴風・酷暑といった異常気象は、土砂災害や洪水・干ばつといった自然災害を引き起こします。もともとハザードマップに記載されていなかった場所にまで被害が拡大することもあり、これまで安全と思われていた地域も自然災害の脅威にさらされる状態となっています。
生物多様性の破壊(生態系の変化)
気温や海水温の上昇は、地球上の多種多様な生物に大きな影響を与えています。特に、寒冷地に生息する絶滅危惧の動植物や海洋性生物への影響は多くの生態系への変化を引き起こし、生物多様性の破壊も心配されています。
海面上昇(水の問題)
地球温暖化が進むと地球全体の海水面が上昇し、それにより多くの水に関する問題が起こります。
- 海抜が低い地域の水没
- 海水が流れ込むことによる地下水への影響
- 地面に流れ込む海水がもたらす植物への問題
など、人びとの安定した衣食住に対して、大きな打撃となることが予想されます。
食糧不足
干ばつ・水没による田畑の縮小や寒波・熱波による自然環境の変化は、食糧不足という問題として人びとを襲います。
- これまで当たり前のように収穫できていた作物が減少する
- 家畜を養うための餌が不足する
- 充分な漁獲高が見込めなくなる
ことで、世界規模の飢饉が起こる可能性があるのです。
このような影響のほかにも、熱帯性感染症であるマラリアの増加・異常気象に対する対策費や損失補填の問題など、健康面・経済面でも大きな被害が出ることが予想されています。
地球温暖化の影響は決して日常から離れているものではなく、静かに、そして確実に現代社会へ忍び寄ってきているのです。
地球温暖化による「ホットハウス・アース」
温室化している地球が直面している問題と、それを防ぐために今からできることを考えてみましょう。
ホットハウスアース現象とは
2018年8月6日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)で気候変動の研究を専門とした科学者たちのチームが発表した論文に「ホットハウス・アース」という単語は初めて登場しました。
地球が温室化するという意味を持つこの単語は、今後予想される地球の未来を的確に表し、その内容とともに人びとに衝撃を与えました。
産業革命を境に急激な気温の上昇が見られるようになった現代社会では、現在進行形で10年に0.17度ずつ地球全体の気温が上がってきています。
世界規模で問題となっている猛暑もこの影響だと考えられていますが、ホットハウス・アースとなってしまった場合のシナリオは、さらに深刻な状況になることが予想されているのです。
例えば、
- 世界各地の氷河や氷山が溶け出す
- 海面水位が10メートル~60メートルほど上昇
- 自然のバランスが崩れ、地球そのものが人間にとって脅威となる
などです。
これらの予想で最も恐ろしいのは、「自然のバランスが崩れてしまい、地球が人びとの脅威になる」という点です。
これまで人間は自然からの恵みを活用し、より豊かな生活になるようコントロールしてきました。しかし、その代償となったのが「地球の平均気温の上昇」で、すでに現代社会では地球温暖化による影響が問題視されています。
もしこの状態がさらに継続された場合、「人間がどうあがいても太刀打ちできない自然現象」が起こりうることとなり、これまで人間と共存していた自然は脅威の存在となって人間に襲いかかるのです。
2018年の段階で、地球の平均気温はすでに1度以上も上昇しています。ここからさらに2度以上、産業革命以前と比較して4度~5度以上平均気温が上昇した場合、地球は後戻りができないホットハウス・アースと化す、というのが研究チームが予想している結論です。
これを防ぐためには、まだ人間の努力が自然へフィードバック可能な現段階で、あらゆる策を講じる必要があります。
ホットハウスアースを防ぐには
ホットハウスアースを防ぐためには、「温室効果ガスの発生を抑えること」と「現在大気中に存在する温室効果ガスを削減すること」が大切です。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- 植林をして森林を育てる
- 化石燃料の使用を止める
- 大気中にある温室効果ガスを取り除く機械を開発する
これだけを見ると日常生活と離れているように感じますが、人びとの生活の中に取り入れられる方法は数多くあります。
- 自家用車の通勤をやめて公共交通機関を利用する
- アイドリングを止める
- 待機電力をカットする
- 再生可能エネルギー(太陽光発電・風力・水力発電)を増やす
- リサイクル活動をしてゴミの焼却量を減らす
- 森林を育てて自然環境保護に努める
こうした活動を意識的に増やすことが温室効果ガスの削減へ繋がり、ホットハウスアースを防ぐための大切な一歩となるのです。

地球温暖化の先にあるホットハウス・アース現象は、これまでの人類が選択してきた結果でもあります。未来の地球との共存に向けて、人と自然の新しい関係の模索が始まっています。