木彫りを始めてみませんか?初心者のための入門講座

木彫りを始めてみませんか?初心者のための入門講座

「木彫り」と聞いて何が頭に思い浮かびますか?「大変そう」「自分には無理だ」、はたまた「鮭をくわえた熊の木彫り」をイメージする方が多いでしょうか。最近、ひそかに木彫りブームが起きています。そこで、今回は奥深い木彫りの世界へご案内いたします。

まずは道具を揃えよう!

いざ木彫りを始めるといっても、はたして何から用意すれば良いのでしょうか。まずは、最低限必要な道具を紹介します。

彫刻刀

最初の段階から仏像彫刻専用の彫刻刀を用意する必要はありません。小学生のころに木版画を彫る際に使っていたような彫刻刀で十分です。スキルアップして満足できなくなってきた場合に専用の彫刻刀を用意するようにしましょう。

鑿(ノミ)とカナズチ

木材が固いと彫刻刀で彫っていくのは難しくなります。そんな時に使うのがノミとカナズチです。この二つさえあれば木彫りができるといっても過言ではありません。ノミには色々なサイズがありますが、ホームセンターに売っているもので十分です。1番使うのは幅6分(18mm)のもの。カナズチはノミの柄を叩いて彫っていく際に使いますので、自分がちょうど良いと思う重さのものを購入しましょう。

砥石

上記の道具さえあれば木彫りはできます。しかし、何度も木彫りを行っていると、彫刻刀の刃こぼれや歯の先端が丸くなってきて切れ味が大きく落ちてしまいます。その状態で無理をして使うと、無駄な力が必要になって手や指などを切ってしまう恐れも出てくるので危険です。

ですので、研石を使った定期的なメンテナンスを行うようにしましょう。砥石にも数多く種類がありますが、これもホームセンターに売っている中研ぎ・仕上げ兼用になっているもので十分です(研ぎ方などは後述)。

他にも必要なものや、あると便利なもの、ハイテクな電動工具など例を挙げればキリがないですが、ここまでにご紹介したものである程度の品質の木彫りは製作できます。まずは木彫りの楽しさと奥深さを体験し、「もっと綺麗に仕上げたい」と思い始めた場合は徐々に道具を揃えていけば良いでしょう。

 

彫刻刀の種類は様々。どれを使えば良いの?

彫刻刀

彫刻刀には大きく分けて「切出し刀」「丸刀」「三角刀」「平刀」の4種類があります。

切出し刀

切込みを入れるときに使用する彫刻刀で、細部を加工する際によく使われます。

丸刀

最も使いやすい彫刻刀で、広い部分を掘り進めていく際に使います。彫刻刀セットには大小2種類の丸刀が入っていることが多く、線の太さや彫る広さに合わせて使い分けます。

三角刀

細い線や鋭い線を彫ることができる彫刻刀で、彫る際の力の入れ具合によって深さが大きく変わります。手作業ならではの味のある線を出すことが可能です。

平刀

平らに削ることができ、丸刀などの彫り跡を削るときによく使います。

 

各種道具はどのように手入れすれば良い?

お手入れ前にすること

彫刻刀やノミは劣化するものです。購入時の切れ味を何もせずには維持できませんので、切れ味が悪くなってきたと感じる前に研ぐことが大切です。

まず、家にルーペがある方はルーペで、ない場合は虫眼鏡等で、刃先の状態がどうなっているのかをよく見てみましょう。この時に裏も見ることが大事です。裏が切れてしまっている場合は、表をどんなに研いでも切れ味は出ません。

研ぐ際の注意点

  • 砥石や刃物は水がついた状態のまま保管しているとサビついてしまうしまう場合があります。お手入れが終わった後は水気をしっかりと拭き取るようにしましょう
  • 砥石は安定させるために専用の台に固定するか、濡れ雑巾の上において使用しましょう
  • 砥石を使う際は十分に水に浸して、水がなくなってきたら都度上からかけるようにしましょう。水がなくなってしまうと砥石と刃の摩擦熱で高温になり、刃が変形してしまう恐れがあります

道具のお手入れ方法

ノミも彫刻刀も基本的に研ぎ方は同じです。

  • 手順1
    研石を水につける
    あらかじめ砥石を15分から30分間水につけておきます。
  • 手順2
    平行移動を意識して研ぐ
    刃表を下にして砥石面に向け、刃先角度を維持することを意識して、柄を上からしっかり握って人差し指を刃にピッタリ当てます。刃表の刃先の角度に合わせて研ぎ面を砥石に密着させて、平行移動を意識してゆっくりと動かします。慣れてきたら少しずつ自分のリズムで研いでいきましょう。
  • 手順3
    かえり刃を取り除く
    刃表を研いだ後、裏刃を親指の腹で撫でてみましょう。刃先がめくれ上がった状態になっていますので、これを整えなければいけません。「かえり刃」というものですが、仕上砥石を使って取り除きます。一度あるいは二度引くように研ぐだけで十分です。

また、研いでいる際に黒い鉄が含まれた研ぎ汁が出てくることがありますが、これは流さないようにしてください。この研ぎ汁が刃を研ぐ役目になっています。

 

彫刻の技法、彫り方

いよいよ彫り方の説明になります。

まずは木を探しましょう。理想はクスノキやホオノキですが、これらは手に入れにくいので、ホームセンターに売っているヒノキの角材やバルサ材などを使用しましょう。

そして作業の開始です。彫り始めるにはまず、木材の4面すべてに直接下絵を描きます。このとき、必ず紙にイメージ図を描いて残しておきましょう。掘り進めていくうちに下絵が消えてしまうからです。また、下絵は掘り進めながら都度書き直していくことになります。

このとき、最初にノミで大きく不要な部分を取っていきます。ある程度の形になってきたら彫刻刀に変えて削っていき、最後は平刀で滑らかにすると良いでしょう。下絵の段階で輪郭線に「切出し刀」で線を入れておくとひび割れ防止にもなるのでおすすめです。

彫り進めていき形になってきたら、紙やすりを使い、全体の角を取るイメージで滑らかにやすり掛けをしていきます。木くずが大量に出ますので、マスクを着用しましょう。やすり掛けが終わったら、最後に汚れ防止、キズ防止のためにニスなどの塗料を塗っておくと安心です。

 

木彫りの熊について

木彫りの熊

木彫りと言えば「熊」というイメージを持たれる方が多いでしょう。特に北海道では定番のお土産となっています。また、北海道の多くの家の玄関口にも木彫りがあります。

アイヌ民族がスイスのおみやげを参考に作り始める

木彫りの熊は、木工加工が伝統工芸と言われているアイヌ民族が、スイスのおみやげを参考にして作り始めたとされています。スイスの木彫りの熊には魚がなく、口の中が赤いという特徴があるのですが、それを真似て作られたので最初は日本の木彫りの熊も魚をくわえていませんでした。

そして、これが昭和40年に訪れた北海道ブームで一気に広まったとされています。

また、北海道の熊の木彫りには槐(エンジュ)と呼ばれる木材が使われています。この木材は昔から悪いものを寄せ付けないと言われているため、魔除けのような役割を果たしています。
熊の木彫りが玄関に置かれるのも、ここから入ってくる邪気を寄せ付けないためだと言われています。

 

形を変えて愛される木彫りの熊

ひと昔前は発注数が多かった木彫り熊ですが、今では年々発注数が下がってきています。
そこで、様々なアイディアを駆使して日本の伝統を守る動きが活発になってきています。

azi-azi 木彫りの動物ストラップ アニマルズストラップ

アニマルズストラップは、木彫りの「身近ではない」「熊」というイメージを払拭するために作られました。1つ1つが職人の手作りで、アンティーク風でシンプルなデザインとは裏腹に温かみのある高い仕上がりになっています。

定番の「クマ」から「キリン」「ワニ」「ホワイトタイガー」「レッサーパンダ」「バク」「ヒツジ」など、様々な取り揃えがあります。

北海道ユニークくまさん・変身カラーミニ置物・〇〇えモン風

形はお魚をくわえた熊なのですが、よくよく見てみるとあのキャラクターにそっくりです。「未来のネコ型ロボット」ならぬ「クマ型置物」といったところでしょうか。ユニークな見た目がお土産として大人気です。

 

形を変化させて愛されている木彫り。その形は変われども、文化は変わらず。もう一度全国の家庭の玄関に飾られる日は意外と近いのかもしれませんね。