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エンディングノートとは
「人生が終わりを迎える際には何も残さなくて良い」と思う人も少なからず存在しているでしょう。しかし、残された家族は深い悲しみを感じると同時にさまざまな手続きや整理が待ち構えています。
エンディングノートとは、人生の終末期に入る際に
- 自身の想いや希望
- 家族・大切な人に対して伝えたいこと
をノートに書き残したもので、終活ノートとも言われます。
エンディングノートに、
・介護
・治療方法
・葬儀・埋葬方法
・財産・保険
などを書き残すことで、生前に自身の意思を伝えられるため、家族・親族の負担を軽減させることができるのです。面と向かっては言えないような想いも伝えることができるでしょう。
終活を行う人が増えてきている今、20代・30代のうちからエンディングノートを書く人も増えてきています。
エンディングノートと遺言書の違い
どちらも自身が伝えたいことを残すという点に違いはありませんが、遺言書は法的効力を持っているのに対して、エンディングノートは法的効力を持っていません。
その分、エンディングノートの方が自由で気軽に書くことができるため、作成の難易度は低いと言えるでしょう。
エンディングノートに書き残しておきたいこと
エンディングノートに残しておきたい内容・構成は以下のとおりです。
自分の情報
自身の生年月日や出身・学歴など、個人情報はあまり残しておく必要はないと思うかもしれません。しかし、生年月日・出身の情報は戸籍謄本を取得する際に必要となるため、残しておいた方が家族は楽になるでしょう。
また、学歴を残すメリットはあまりありませんが、書き始めに自身の生まれからどんな学校に通っていたかなどの書きやすい内容を記すことで、後々ペンが進みやすくなる効果に期待できます。
クレジットカード・通帳・印鑑の保管場所
お金に関わる貴重品は、自身で大切に保管していることが多いです。いざ必要になった際にいろいろな場所を探す手間を考えれば、一つのノートに全ての場所を書いておいてくれた方がスムーズに処理は進むでしょう。
パスワード一覧
人間が生活していくうえで必ず必要になるパスワード。クレジットカード・口座の暗証番号はもちろんのこと
- 携帯電話の画面ロック
- パソコン起動時のパスワード
- SNSやWEBサイトのIDとパスワード
などさまざまです。結局分からずじまいで内容が確認できずに初期化するしかない、なんてことにならないように書き記しておきましょう。
医療・介護・葬儀の希望内容
もしも自分に介護が必要になってしまった場合やがんが見つかってしまった場合に、
- 自宅で介護をしてもらいたい
- 介護センターに通いたい
- 抗がん剤を投与して欲しい
- 延命治療は行わないで欲しい
など、自身の意思を伝えられなくなってしまう前に、また、直接言いづらいことはエンディングノートに残しておくべきでしょう。葬式の希望を書いておく人もいます。家族は盛大にやろうと思っていても自分自身は家族だけでこぢんまりとやって欲しいと思っている場合もあるためです。
会社や友人関係の代表者
仕事関係や中学・高校時代の友人の中で代表者の電話番号を記載しておくことで、葬儀が行われる際の連絡が相当楽になります。
家族以上に、誰を呼ぶか呼ばないかの判断はしやすいですし、家族との関わりはないが個人での関わりがある、という人にも情報が伝わりやすくなるため葬儀の情報も行き届きやすくなるでしょう。
遺言書の有無
遺言書があると知らずに相続の準備を始めていたら途中で遺言書が見つかったとなると、いままで進めていたことが全てパーになる可能性もあります。
残された家族の負担を少しでも軽減させるためには、書いておいた方が良いでしょう。
生命保険の加入状況
生命保険の受け取り手続きには多くの時間を費やします。
- 自身がどの会社のどんなプランに加入しているか
- 入院時・死亡時にはいくら入金されるか
- 加入日・満了日はいつか
などが事前に分かるだけでも家族の苦労はぐんと減ります。受取人を自分にしている保険に関しても、受取人の名義変更が必要となるため、重要になってくるでしょう。
ローン・借金の有無
後ろめたい気持ちがあるからといって黙っていると、家族は大変なことになってしまいます。借金がある場合には絶対に書き残しておくようにしましょう。どうしようもないほどの金額を借金していたとしても、死亡してから3ヶ月以内であれば家族は相続破棄を行えます。
メッセージ
家族・友人など大切な人に向けて、
- 感謝の気持ち
- 思い出話
- これだけは伝えておきたいこと
など、面と向かっては恥ずかしくて言えないようなこともメッセージとして残せます。文字だけでなく写真を貼り付けたりSDカードに動画を撮っておいたりしても良いでしょう。
愛する人の最期の言葉を聞ける、というのは本当にうれしいことです。
エンディングノートの書き方
やはり、自分の死をイメージして書こうとすると、精神的につらくなってしまう人の方が多いです。しかし、体調が悪くなってしまってからだとエンディングノートを書くのは非常に大変。
そこで、以下の点を意識して書いてみてはいかがでしょう。
書きやすい場所から書く
全てを完璧に仕上げようとすると余計に書きづらくなってしまいます。書く順番は考えずに、書きやすい内容から書いていきましょう。自身の情報・口座のパスワード・代表者の連絡先などから書いていくのがおすすめです。
今の気持ちで書く
一度書いたからといって書き直しがきかないわけではありません。年を重ねていったり体調が悪くなってしまったりしたことで、気持ちが変化することは当然のこと。
将来どう考えるかはあまり気にせずに、今の気持ちを率直に書いてみましょう。
空白を気にしない
エンディングノート用のノートを買って記入する人は、どうしても書きたくない部分は出てきてしまうと思います。その場合、無理にでも埋めようとする必要はありません。
もちろん、残された人からすればあった方が助かりますが、いくつかの情報を知れるだけでも助かります。
自身が動けるうちに、少しでも情報を残せるように行動することで、残された人の負担はその分軽くなっていきます。また、エンディングノートを書くことは自身の人生を振り返ることにもなるため、今後の人生をどう過ごすか考えるきっかけにもなるはずです。
終活のスタート地点であるエンディングノート。一歩踏み出してみてはいかがでしょう。