ライフスタイルリュックサック一つで世界を駆け回る「バックパッカー」とは?

リュックサック一つで世界を駆け回る「バックパッカー」とは?

リュックサックに最小限の荷物を詰め込み、自由に世界を旅するバックパッカーとは。観光旅行と一味違った独自のスタイルとその魅力について解説していきます。

バックパッカーとは

バックパッカーとは

私たちはさまざまざな理由や目的を持って旅をしています。パワースポットや世界遺産を見に行く人もいれば、食べ歩きを目的としている人、はたまた語学を学ぶための人もいるでしょう。

一方で、「旅をすること自体が目的」というように、具体的な目的を決めていなかったり目的地をそのつど変える自由気ままな旅もあります。このような旅をする人が求めているのは、超有名な観光スポットでも三つ星の超有名店でもありません。

これまでの生活が一変するような環境で、知らない人と出会い、新しい文化に触れ、聞いたことのない料理を食べる、プライスレスの体験を望んでいるのです。バックパッカーと呼ばれる人は、このような新しい自分を発見できる旅を求めていることが多いです。

バックパッカーの定義

では、バックパッカーとは実際どういうものなのか、その定義について見ていきましょう。

バックパッカーの語源は英語の「backpacker」からきており、バックパック(リュックサック)に最低限の荷物を詰め込み、国内外を低予算で自由に旅する人を指す言葉です。ある程度のスケジュールが定められた旅行とは違いパッケージ化されていない自由な旅を選択するもので、そこから得られる経験を自分自身に反映させて心の糧とする人も多く存在します。

バックパッカーの目的は単なる旅行だけではありません。観光地に向かうことももちろんのこと、それよりも大切にされているのは、より地域に密着した地元住民との触れ合いや体験です。

近年急速に発展したゲストハウスやユースホステルといった安宿や世界中に張り巡らされたインターネットによる情報交換は、昔からのバックパッカーとは違った一面を持つ旅人を増やし、「暮らすように旅をする」バックパッカーの後押しをしています。

ゲストハウスとは?利用前に知っておきたいメリットと注意点 ゲストハウスとは?利用前に知っておきたいメリットと注意点

バックパッカーの起源

バックパッカーの起源は、1970年代に世界規模の影響を及ぼしたヒッピー・トレイルであると言われています。伝統や制度といった既成概念に縛られない生活を信条とした文化は、1960年代から1970年代にかけて特に若者を中心に大きなブームとなり、ヒッピーカルチャーとも呼ばれています。

ヒッピーカルチャーの特徴は、既成の文化や価値観を解放し、本当の自分を探そうというものでした。そしてそれは、キリスト教の教えからの脱却を意味していました。そのため、アメリカで生まれたヒッピーは、新たな出会いを求めて南アジアなどへ足を運んでいったのです。

しかし、ヒッピーは共通してあまりお金を所有しておりませんでした。彼らの理念は資本主義社会さえも敵視していたため、最低限の労働しかしていない人も多かったのです。そうなると当然、旅行にお金はかけられません。そのため、最低限の荷物で、公共の交通機関を利用し、ユースホステルなどに泊まるというスタイルが確立されていきました。

これがバックパッカーの原型であったとされています。

バックパッカーの新しいカタチ

パソコンや携帯電話の普及によって、世界中のあらゆる景色や建築物の写真をインターネット検索によっていつでもどこでも簡単に手に入れられるようになりました。しかし、果たしてそれは本当にその景色や建造物のことを理解できているのでしょうか。

実際にその土地へ訪問し、歩き、触れ合うことでしか得られない魅力や体験が何か必ずあるはずです。とはいえ、文明の利器を使用してはいけないというわけではありません。それが旅の安心安全につながるのであれば、安価で便利な技術は進んで利用されるべきです。

例えば、パソコンやカメラ・携帯電話などはかさばるうえに高価であったため、バックパッカーには敬遠されるものでした。しかし、時代の流れともに小型化が進んで機能性も上昇し、価格も下がっていきました。スマートフォンやパソコンは現代の若者にとって欠かすことのできない生活必需品となっているのです。

通信機器を持つことによって、天気や公共機関の時刻表・物価などのさまざまな情報をリアルタイムで把握できるのも大きな利点です。

特に大事なのは国境情報。日本のような島国で生活しているとあまり気にすることはありませんが、海外の国境は国の情勢によっては閉鎖されていることもあります。閉鎖されていることを知らずに足止めを食らってしまうと、時間の大きなロスとなります。

情報社会の現代において、バックパッカーの旅は情報収集が何よりも大切になってくるのです。古くから続く理念と最新鋭の技術を組み合わせて旅をする。これがバックパッカーの新しいカタチだと言えるでしょう。

 

バックパッカーのメリットと注意点

バックパッカーのメリットと注意点

バックパッカーのメリット

費用が安い

バックパッカーの最大のメリットは、少ない資金で海外を旅行できることでしょう。ゲストハウスや格安航空券を利用することで、従来の旅行と比較すると半分以下に抑えられます。

交友関係が広がる

海外を一人で旅していると、ネット上には載っていない店の情報・バスの時刻表など、現地の人にさまざまな情報を聞くことになります。

人とコミュニケーションを取る機会が数多く存在しているため、バックパッカーをしているとたくさんの出会いに恵まれるのです

バックパッカーになるうえでの注意点

自由な旅が魅力のバックパッカーですが、それだけにいくつか注意をしなければならないこともあります。実際にバックパッカーとして旅行をしている人にとって、知らない環境にいきなり飛び込むことにはそれなりの苦労がともないます。

虫に注意しなければならない

衛生面が不十分な国に行くと、ベッドや部屋に虫が巣くっていることも少なくありません。マラリアなどに感染する危険性もあり、十分な対策が必要となります。

飲食に危険がともなう

発展途上国では、生水の危険性はもちろん気候の関係で食べ物の安全性が保証されない場合もあります。薬の常備やいざという時の手段も考えなければなりません。

セキュリティーの問題がある

世界でも有数の安全大国である日本の防犯意識に慣れていると、諸外国で起こるトラブルに驚くこともしばしば。自分の荷物は自分で守る、万が一のために盗まれても問題ないものしか持たないなど、訪れる国の状況を事前に収集しておく必要があります。

トラブルに対応できるだけの語学力が必要

電車の遅延やチケットのダブルブッキングといったトラブルが起こった時、言葉が通じなければ交渉することも難しくなります。相手の言葉が理解できる・自分の言いたいことを少なからず伝えられるだけのスキルを身につけておきましょう。

「アクシデントが起こるのも旅の醍醐味」とも考えられますが、犯罪に巻き込まれたり命の危険にさらされることもあり得ます。これから向かう国の現状・常識・トラブルが起こった際の対処法はしっかりと身につける必要があります。

 

バックパッカーにおすすめの地域

バックパッカーにおすすめの地域

「いきなりバックパッカーとしての旅行は難しい」と考えている初心者にも優しい旅行先を紹介します。

アメリカ

バックパッカーに限らず、旅行先として根強い人気のあるアメリカ。およそ日本の25倍もある広い国土には多くの観光スポットがあります。東海岸と西海岸とを横断するルートには長距離バスや横断鉄道も通っており、多くのバックパッカーが訪れています。

どのようなルートを設定するかによって旅の趣きはガラッと変わりますが、外せない観光地を決めながら計画を立ててみてはいかがでしょう。

台湾

多くの親日家が出迎えてくれる台湾は、バックパッカー初心者にとってはありがたい旅行先。漢字を読めばある程度の予測がつくため、漢字を書いてコミュニケーションを取ることもできます。

物価はあまり日本と変わらず、「屋台や食堂は安いがコンビニなどは高い」という声もあります。ただ、バックパッカー御用達の安宿が多く、何より安心して旅行ができるという点では初心者に優しい国と言えるでしょう。

タイ

タイは「バックパッカーの聖地」とも呼ばれ、日本のみならず世界中から旅行者が集まっています。訪れる観光客に比例するように市内にはゲストハウスも充実しつつあるなど安心して観光することができるよう整備されているのは、一人で旅するバックパッカーにとっては嬉しいことです。

バンコクなどの大都市と地方都市では大きな差があるものの、日本の物価に比べると2分の1から3分の1で買い物ができるのは大きな魅力でしょう。発展した都市と昔から受け継がれている文化が混在した国であるタイを、低運賃で移動してつぶさに見て回る旅も良いかもしれません。

 

非日常である旅行のなかでもさらに非日常感のあるバックパッカーとして旅行。思い切って飛び込んだ先にある出会いや経験が、人々を魅了する一番の宝物になっています。