歴史ある日本の伝統工芸信楽焼とは?誰もが見たことのあるたぬきの置物の意味

信楽焼とは?誰もが見たことのあるたぬきの置物の意味

食堂や居酒屋でよく目にするたぬきの置物。あまり知られていませんが、これは「信楽焼」というものです。今回は、たぬき置物の意味や信楽焼の歴史に迫ります。

信楽焼とは

信楽焼とは

信楽焼は、滋賀県の信楽町を中心として製造される陶器です。耐久力と保湿性に優れ、自然の豊かな風合いが見事に生かされた信楽焼は、食器・花瓶・置物・タイルなどさまざまなものが作られています。

信楽焼の特徴

信楽焼は作家によってさまざまな技法があり、種類が豊富です。素朴で温かみのある作品が多いと言われていますが、今回は代表的な美しい見どころを紹介します。

火色

粘土に含まれる鉄が高温で熱されることで反応を起こし、赤褐色に近い熟れた柿のような独特の色合いをします。

焦げ

焼成中に、(おき)に埋まった部分が黒褐色で焦げたような色合いとなります。

熱せられて赤くなった炭火のこと

ビードロ

ビードロとは、青緑色(または黄色)で美しい半透明のガラス質が流れ出した部分のことです。

ビードロ
ポルトガル語でガラスという意味

蜻蛉の目

流れ出したビードロの先が(うわぐすり)だまりとなり、蜻蛉の目のように丸く盛り上がった形をした部分のことです。

陶磁器の表面に光沢を出すために塗られる、ケイ酸塩化合物のこと

海鼠(なまこ)釉

青の地に白い斑紋が特徴。なまこの模様に似ていることからその名が付く。信楽焼の火鉢でよく使われています。

石ハゼ

素材である長石や珪石が焼成する際にはじけて表面が露出した部分のこと。信楽焼独特のものとして好まれています。

窯変

焼成の際に、窯の中で酸化・還元などさまざまな処理を複雑に繰り返されたことが原因で、陶器の表面が思いがけない風合いを生み出すことを指します。

信楽焼の歴史

信楽焼が作られる滋賀県甲賀市信楽町は、742年に聖武天皇が紫香楽宮を造った由緒ある地です。すぐ東に三重県伊賀市、南には京都府山城地区という立地で、古くは東海地方と近畿地方を結ぶ交通の要所でした。

茶の文化が浸透していた京都や奈良が近いこと、焼き物に適した粘土が豊富に取れることから陶芸の文化が発達していきます。

信楽町の焼き物の歴史
江戸時代には茶壺や鍋など日常的に使われる陶器、江戸末期には灯明具、明治時代からは火鉢の産地としても名を馳せます。太平洋戦争直後に火鉢の最盛期を迎えたものの、日常生活で使われなくなってくると今度は盆栽や観葉植物の鉢生産へと変化。現在は、タイルやたぬきの置物、日常的に使う陶器などへの幅広い生産が行われています。

また、信楽焼の始まりは紫香楽宮が造られたのと同じく742年とされ、

  • 瀬戸焼(愛知県)
  • 常滑焼(愛知県)
  • 越前焼(福井県)
  • 丹波立抗焼(兵庫県)
  • 備前焼(岡山県)

とともに日本六古窯として、日本を代表する焼き物の一つとなっています。1976年に経済産業大臣指定の伝統的工芸に選出。2017年には日本六古窯として日本遺産に選ばれています。

特に食事処や飲み屋でよく見かける信楽焼のたぬきの置物は、陶磁器にあまり馴染みのない人も含めて知れわたっています。

信楽焼の技法、工程

信楽焼の製作工程は以下のとおりです。

  • 手順1
    陶土
    土は信楽周辺で産出される粘土を使用し、これから成形用の土を作ります。陶土は水簸(すいひ)をしないのが信楽焼ならではの技法です。
  • 手順2
    土練り
    でき上がった陶土を練る工程です
  • 手順3
    成形
    手びねりやろくろ、押型によって成形します
  • 手順4
    乾燥
    割れないように天日または乾燥施設で乾燥させます
  • 手順5
    素焼
    窯で500度から800度の温度をかけ焼きます
  • 手順6
    絵付
    手描きで下絵付します。この際、顔料には鬼板か呉須を使います
  • 手順7
    釉掛け
    重ね掛けや流し掛けによって釉を施します
  • 手順8
    本焼
    窯で1200度から1300度で再び焼きます
水簸
水中では大きさによって土粒子の沈殿速度が違うことを利用し、同じサイズの陶土へと分ける方法のこと

 

信楽焼といえば「たぬき」の置物

信楽焼といえば「たぬき」の置物

信楽焼といえば、陶芸に詳しくない人でも知っているたぬきの置物が有名です。笠を被り徳利と通い帳を持ち、笑顔で立つたぬき。商売繁盛の縁起ものとして食事処や居酒屋を中心に置かれており、目にする機会も多いでしょう。

そんな信楽焼のたぬきが誕生したのは明治時代と言われています。京都から信楽へ移住した陶芸家が作り出したのが始まりです。

今では多くの人に知られる信楽焼のたぬきですが、誕生してすぐに全国区となったわけではありません。

有名になったのは1951年のこと。昭和天皇が信楽を訪れた際に信楽焼のたぬきを沿道に並べて歓迎したところ、昭和天皇がその情景を歌に詠み、それがマスコミに取り上げられたことで全国的な広がりを見せました。

信楽焼たぬきの種類

信楽焼たぬきの基本は笠を被り通い帳と徳利を手に持ったオスですが、それ以外にもさまざまな種類が存在します。

  • 福々狸:小槌を持ったたぬきで人気があります
  • 満願成就:右手にカエル、左手にフクロウを持ったたぬきです
  • ごろ寝たぬき:徳利と通い帳を持って肩肘を付いて寝ているたぬきです

たぬきの八相縁起

商売繁盛の置物とされる信楽焼のたぬきですが、実は体の部分ごとにそれぞれ8つの縁起があります。

  • :思いがけない災難から身を避ける
  • :周囲に気配りし正しい判断をする
  • 笑顔:いつでも笑顔で愛想よく
  • お腹:大胆さの中に冷静さを
  • 通い帳:信用第一。信用を得られるように
  • 金袋:商売繁盛
  • 徳利:人徳が身に付く
  • 尻尾:「終わり良ければ全て良し」ということで、終わりをしっかり

【商品紹介】夢源陶房 お願い祈り狸

「夢源陶房」は信楽町の長野に店舗を持つ陶器専門店で、信楽焼の陶器を数多く扱い、たぬきの置物も豊富なラインナップをそろえています。

「お願い祈り狸」は、開運の札をかけたかわいらしい目をした信楽焼たぬきの置物です。胸の前で祈るように手を合わせたオスと、頭にリボンを付けたメスの2種類があります。

オスは、

  • 5号(幅16㎝×奥行12㎝×高さ17.5㎝)
  • 7号(幅21㎝×奥行15㎝×高さ22㎝)
  • 9号(幅25㎝×奥行18.5㎝×高さ27㎝)

メスは、

  • 5号(幅14cm×奥行11㎝×高さ17㎝)
  • 7号(幅19㎝×奥行15㎝×高さ22㎝)

となっています。

 

たぬきだけじゃない?信楽カエル

たぬきだけじゃない?信楽カエル

信楽カエルとは

信楽焼を代表する置物といえばたぬきですが、「信楽カエル」という置物もあります。

縁起の良い生き物とされているカエルは、語呂合わせでも「福カエル」「無事カエル」などと言われます。奈良時代に聖武天皇の宮が信楽にあり、その時代から信楽カエルは生息していると伝え継がれています。

たぬき同様に信楽カエルにも八相縁起があり、縁起の良い置物とされています。

信楽カエルの八相

  • 子蛙:親は責任感を持ち、子は親に従う
  • 皮膚:災難を避ける保護色
  • 口:火の災いを呑み込む
  • 食べ物:蚊や虫を食べ毒虫退治、無病息災
  • お腹:へそがないため落雷予防
  • 足:威風堂々と礼節を重んじる
  • 後足:普段は待機し、いざという時に跳躍前進
  • 冬眠:心身の修養

【商品紹介】まるいち本店 信楽焼カエル君

まるいち本店は信楽駅すぐそばに店舗を持つ信楽焼の専門店。取り扱う信楽焼は約2,500種類にものぼり、通販サイトでの販売も行われています。「信楽焼カエル君」は縁起ものとして贈り物にぴったりのかわいらしい置物です。

幅230×奥行200×高さ240ミリで重さは3㎏。500mlペットボトルより少し高いくらいの背丈で、カラーは緑色と茶色の二種類です。

 

由緒あり縁起ありの信楽焼。歴史的な深さや高い技術を誇り、多くの人から親しみを持たれています。素朴で温かみのある日常使いの陶器はもちろん、たぬきやカエルのかわいらしくて縁起が良い置物も手元に置いてみてはいかがでしょうか。