この記事の目次
自然薯とは?
幅広く採れるがとても希少
自然薯は日本原産のヤマノイモ科のツル性植物です。雑木林やヤブ、荒地に生えているので、本州から九州の山地にかけて幅広く生育しています。学名は「ジャポニカ」と呼ばれます。
しかし、土深くまで根が伸びるため、収穫するには土を掘りやすい斜面もしくはやわらかい土壌でなければ困難が伴います。それゆえ、非常に希少な山菜とされています。
一方で、山の土やそれと同様の土であれば場所を選ばずに生育するので、種芋を用意できれば自宅で栽培することも可能です。また、ツルが巻き付き生育しやすいようにネットを準備すれば、ゴーヤ同様に緑のカーテンを作ることができます。
家庭で栽培も可能
家庭で栽培する場合は、4月~5月ごろに植え付けを行います。秋の10月ごろまで生長し、ハート型のかわいらしい葉っぱを付けます。この期間はアブラムシやヤマイモムシなどの害虫も発生するため、マメな手入れも必要です。
サイズこそ小さいものの芋同様の旨みや粘りがあるので、塩ゆでしてそのままの味を楽しんだり、ご飯と一緒に炊き込む「ムカゴご飯」もおすすめです。
そして、11月下旬はいよいよ収穫時期。長いものは1m以上にもなるので、芋に沿って深い穴を掘り、丁寧に収穫します。
自然薯の繁殖
自然薯の繁殖方法には、主に2つの方法があります。
ムカゴ繁殖
10月ごろにできる「ムカゴ」を春に土のなかに植えれば、芽が出て大きく育ちます。1年ではあまり大きくならないので、2年以上かけて育てることが必要です。
切芋種繁殖
自然薯の1本の芋には1個の発芽点があり、そこから芽を伸ばしますが、芋を切り分けて分割して植えるとそれぞれから芽が出てきます。育ち方にそれぞれ違いは出てきますが、最も一般的な繁殖の方法となります。
自然薯の栄養と効能
自然薯は、平安時代には貴族階級の人々が食す高級食材として扱われていました。栄養価も非常に高く、特に日本人に不足しがちなカリウムや鉄分、銅などのミネラル成分、老化防止に役立つビタミンEなどの栄養分を豊富に含んでいます。
古くから漢方薬としても用いられており、食欲増進やかぜの予防など、さまざまな効能があるとされています。
ホルモンバランスを整える
自然薯にはディオスゲニンという物質が含まれています。ディオスゲニンにはホルモンバランスを整えるDHEAを増やす作用があるとされています。
また、このディオスゲニンには認知症患者の神経細胞をより正常に近い状態に戻す効果もあるとされており、記憶力の改善も期待されています。
食物繊維で便秘解消
自然薯には同様の種である長いもの2倍以上の水溶性食物繊維が含まれているため、便秘解消にも役立ちます。
冷え症や肩こりの改善、生活習慣病の予防
驚くべきはビタミンEの多さです。自然薯にはなんと、山芋の約20倍ものビタミンEが含まれています。これによって、血行が促されることで身体が温まり、冷え症や肩こりに効果があるとされています。
さらに、血流を正常にすることで心筋梗塞などの心臓病の予防や糖尿病にも効果があると考えられています。
アルギニンによる強精効果
自然薯は「山のうなぎ」とも呼ばれ、強精作用の効能があります。これは、生殖能力を強めるアルギニンという成分が多く含まれているためです。
ほかにも、サポニンという成分による免疫力アップや、美白成分のあるコンドロイチン、抗インフルエンザウイルス作用のあるディオスコリンという成分が含まれているなど、自然薯はまさに万能薬とも言える食物です。
自然薯と山芋の栄養の違い
自然薯に似たものとして山芋がありますが、具体的には何が違うのでしょうか?
そもそも山芋ってなに?
「山芋」という言葉は、山で採れた日本原産の自然薯のことのみを意味する場合や、長芋や大和芋などヤマノイモ科のイモを総称している場合など、使う人によって意味はまちまちです。ここでは、長芋や大和芋も含む総称した意味で使用しています。
長芋は日本原産ではなく、中世のころに中国から日本に伝来したものです。名前のとおり芋は長く、ほかの山芋よりも水分が多く、すりおろした場合はサラサラとして粘りも少ないことが特徴です。とろろよりも短冊切りにして醤油に付けて食べるとおいしく味わうことができます。
大和芋は、名前のとおり日本の奈良県在来の種で、手の平に似た形やゲンコツのような形をしていることが特徴です。なめらかな粘り強さでとろろに向いています。食感も濃厚なため、長芋と同様に短冊切りにして醤油に付けて食べても良いでしょう。古くから栽培されてきた伝統野菜の一つとして、奈良県により「大和野菜」に認定されています。また、関東の一部では長芋のことを「大和芋」と呼ぶ地域もあります。
おおむね同じだが、山芋にない成分も
自然薯は、長芋や大和芋と比べて強い粘り気がありますが、おおまかな栄養は山芋とそう大きくは変わりません。同じヤマノイモ科・ヤマノイモ属の野菜に含まれるからです。ただ、長芋や大和芋にはない栄養成分も多く含まれています。
そのほか、先ほど説明した通り、例えば水溶性食物繊維は自然薯が山芋の2倍、ビタミンEにいたっては約20倍も含まれているなど、自然薯に比較的多く含まれる成分もあります。
自然薯の栄養を損なわない保存方法
たくさんの栄養が含まれる自然薯だからこそ、その美味しさをできるだけ維持したいですよね。ここからは自然薯の保存方法について考えていきましょう。
オーソドックスに室内保存
簡単に保存したい、あるいは冷蔵庫・冷凍庫がいっぱいの場合には室内保存で構いません。風通しがよく・涼しい場所がベストです。より長く保存したい場合には、軽く湿らせたおがくずや土の中に入れておくとよいでしょう。
生きた状態で保存するなら冷蔵
自然薯は、乾燥を防ぐために袋に入れて冷蔵庫などの低温下に置いておくと、いわば「休眠状態」のまま保存することができます。こうすることで栄養が失われず、おいしい状態が数週間程度続きます。
切ってしまった場合は、そこから水分が失われて変色が進んでしまうため、切り口をしっかりとラップして空気に触れないようにしてから冷蔵庫に入れましょう。
すりおろした後は冷凍で
すりおろしたものの余らせてしまった、あるいは数ヵ月など長期間保存したい場合は冷凍保存が可能です。すりおろした後に保存バッグに詰めて冷凍庫に入れるだけです。食べる際、もし粘りが足りないと感じるようであれば、すりばちなどで再度混ぜると粘りが元通りになります。
栄養をたっぷりいただく!おすすめの自然薯
神奈川の特産「自然薯大山」
神奈川県伊勢原市大山山麓(おおやまさんろく)にある農園「ファームいせはら」。伊勢原市は神奈川県の中央に位置しており、この地にそびえる大山は、豊かな自然と良質な水、温暖な気候に恵まれています。そんな雄大な地で生産されているのが神奈川の特産「自然薯大山」です。
ファームいせはらが作る「自然薯大山冷凍とろろ」は、粘り気が強いためホカホカのご飯にぴったり。100gずつ小分けで包装されている点もポイントです。通販での取扱もあるため、ぜひ山の味を体感してみてください。
自然薯大山 冷凍味付きとろろ 神奈川県産 100g×5袋【送料無料】
トーマス農園の「美白とろろ」
茨城県笠間市で自然薯の栽培に取り組んでいるのが「トーマス農園」です。トーマス農園が生産する「美白とろろ」は、名前のとおり「純白」の言葉がピッタリの真っ白なとろろができること、美白効果や老化防止の作用があることから命名されました。化学肥料を一切使わない無農薬にこだわった安心安全の自然薯です。
「美白とろろ」も通販での取扱があります。とろろではなく芋の状態での発送のため、ご家庭ですりたてのおいしいとろろを体感してみましょう。
山の恵みである自然薯、いかがでしたでしょうか。都市部や街中ではなかなかお目にかかれない希少な食物です。食べたことのない方は、ぜひ一度その粘り気を体験してみてください。