グルメ湘南ゴールドなど、神奈川県でブランド化を目指す特産品

湘南ゴールドなど、神奈川県でブランド化を目指す特産品

全国47都道府県のうち東京都に次ぐ2番目の人口を擁する神奈川県。都市化が進む地域がある一方で豊かな自然が残る場所もあり、多様な農畜産物が生産されています。近年、神奈川県産ブランドを構築する動きが各地で起こっています。

「湘南ゴールド」とは

「湘南ゴールド」とは

「湘南ゴールド」は、主に神奈川県西部で栽培されている柑橘です。黄金色の美しい見た目、果汁たっぷりで芳醇な香りが特徴です。糖度は11%から12%前後、旬は3月半ばから4月下旬で、神奈川県でのみ栽培されています。

湘南ゴールドの特徴

湘南ゴールドは神奈川県が手塩にかけて育てた品種です。みかん産地の小田原市にある神奈川県農業技術センター足柄地区事務所が12年もの歳月をかけて品種を育成しました。交配したのは今村温州ゴールデンオレンジ。この2品種が湘南ゴールドの親になります。

今村温州
日本柑橘界の王様である温州ミカンの一種
ゴールデンオレンジ
「黄金柑(おうごんかん)」とも呼ばれる、果皮が黄金色の柑橘

湘南ゴールド開発の背景

神奈川県西部は関東随一のみかん生産地として知られています。しかし、近年はみかん消費の減少や他産地に押されて生産量が急減、大消費地の近郊でありながら苦しい状況に立たされていました。苦境を打開するための一手が求められ、そこで目を付けられたのが湘南ゴールドの親に当たるゴールデンオレンジでした。

ゴールデンオレンジは主に神奈川県で栽培されており、その味は誰もが認めるところでしたが、玉が小さく皮がむきにくいことから生産量が伸びていませんでした。そこで、皮がむきやすく食べやすい温州みかんと交配し、香りと味が良く皮もむきやすい湘南ゴールドが開発されたのです。

2006年から出荷がスタートした湘南ゴールドは、知事がトップセールスをするなど神奈川県としても力を入れて振興したことで、2013年には53トンまで生産量が拡大しました。今後も柑橘生産を盛り上げる品種として生産の拡大が期待されています。

湘南ゴールドのおすすめ

八木下農園の湘南ゴールド

八木下農園は小田原市の柑橘農家。有機肥料を用いて味にこだわった柑橘を栽培しています。栽培されている柑橘は味が濃いと評判で、ネット通販でも3kg(40個~50個)が3,600円、家庭用3㎏(65個~85個)が2,650円で販売されています(2017年12月時点)。

サンクトガーレン 春夏限定フルーツビール湘南ゴールド

神奈川県厚木市で地ビールを製造しているサンクトガーレンが開発した、湘南ゴールドを原料に使ったフルーツビールです。湘南ゴールドの香りを活かすために果汁だけでなく皮も使用し、口に入れた時のさわやかな香りと柑橘特有の苦みがある大人の後味が特徴です。

発売は期間限定で、4月14日から9月末まで。発売がスタートする4月14日はバレンタインデー、ホワイトデーに続く恋人の日「オレンジデー」。そんな日にぴったりのビールです。

(有)谷和 湘南ゴールドゼリー・湘南ゴールドタルトケーキ

小田原市でお菓子を販売する谷和。地元の特産品である湘南ゴールドを使用しています。

なかでも、湘南ゴールドの爽やかな香りをゼリーにぎゅっと閉じ込めた「湘南ゴールドゼリー」、湘南ゴールドを使用した爽やかなクリームとカスタードクリームの2層をタルト生地に包みこんだ「湘南ゴールドタルトケーキ」は、神奈川県のお土産として人気の商品です。

 

神奈川県産肉用鶏「かながわ鶏」

神奈川県産肉用鶏「かながわ鶏」

かながわ鶏とは

神奈川県では牛、豚、鶏卵鶏は飼養されていましたが、肉用鶏は飼養されていませんでした。しかし、地産地消の動きが拡がるなかで県内各所から神奈川県産肉用鶏を求める声が高まり、神奈川県畜産技術センターが試験研究に踏み切りました。

そして、研究を重ね8年の歳月を経て、ついに神奈川県のブランド肉用鶏「かながわ鶏」が誕生しました。ブランドとしての品質を守るため、「かながわ鶏」を名乗るには統一された下記の4つの基準を満たす必要があります。

  • 血統の父が軍鶏系、母が岡崎おうはんであること
  • 神奈川県畜産技術センターで生まれた雛であること
  • 90日齢以上飼育をすること
  • 飼養衛生基準を順守すること

かながわ鶏の特徴

かながわ鶏は脂の量が多くジューシーであるもののしつこさがなく、爽やかな肉質です。また、軍鶏系が交配されていることで独特の食感があります。さらに、一般的なブロイラーの40日から50日という飼育期間と比較して、90日という長い飼育期間も特徴的です。こうすることで濃い味と歯ごたえを実現させているのです。

かながわ鶏を食べる

株式会社ヒンジス かながわ鶏

かながわ鶏のブランド推進事業に取り組む株式会社ヒンジス。かながわ鶏と飲食店をつなぐ活動をしています。ホームページでは、

  • 川崎市のフレンチレストラン「フランセーズ ラ・ポルテ」
  • 横浜市の焼鳥屋「たまや 元町店」
  • 葉山町のイタリアン「レッセンツァ 葉山」

にて、かながわ鶏が食べられると紹介されています。

 

神奈川県産の色々な野菜

「湘南一本」とは

「湘南一本」は、厚木市の農家と神奈川県農業技術センターが共同で開発した長ネギの品種です。もともと神奈川県には「湘南」という品種があり、やわらかい食感で人気を博していました。しかし、形の悪さや栽培の難しさから大きな拡がりを見せることはありませんでした。

そこで、研究を重ね2007年に品種登録を行い、「湘南一本」として世に出回ることとなりました。

湘南一本の特徴

前の品種である湘南から引き継いだやわらかさと甘さが特徴的で、加熱することでより甘さが引き立ちます。このため、鍋やすき焼きにぴったり。湘南に比べて栽培がしやすく、農家としても生産しやすい品種になっています。

ナスの新品種「サラダ紫」とは

「サラダ紫」は、神奈川県農業技術センターと種苗会社である「サカタのタネ」が共同で開発して2009年に品種登録を行ったナスの新品種です。サラダのように手軽に食べられるナスを特産品にするため、2003年から品種開発がスタートしました。

横須賀市が生産の中心となっており、旬は7月から10月ごろ。神奈川県内の量販店やJAの直売所を中心に販売されています。

サラダ紫の特徴・食べ方

サラダ紫は、果実を強く持つと果汁が絞れるほどのみずみずしいナスです。一般的なナスに比べてあくは少なく甘みが強く、切っても変色しにくいためサラダのように生食できる新感覚のナスです。皮と中身はサクサクとした食感で、あく抜きの必要がないため浅漬けやサラダにぴったりです。

「津久井在来大豆」とは

「津久井在来大豆」は、相模原市の旧津久井郡を中心に古くから栽培されてきた大豆です。旧津久井郡は2007年に相模原市に合併されましたが、農協は合併されずにJA津久井郡として残っています。

そんな地域の歴史ある大豆も輸入大豆に押されて生産量が激減し、「幻の大豆」と呼ばれるまでになりました。

津久井在来大豆は大粒で甘みが強いことが特徴です。このため煮豆やきな粉、味噌などへの加工に重宝されています。

津久井在来大豆の栽培拡大への取り組み

「幻の大豆」と呼ばれるほど生産量の少なくなった津久井在来大豆。その栽培を拡大しようと相模原市では耕作放棄地を再生利用する取り組みが行われています。2010年からスタートしたこの取り組みによって、翌年には栽培面積が1割増加しました。津久井の新たな地域ブランドとして期待されるところです。

 

神奈川県で起こっているブランド化の流れ、ぜひその努力の結晶を味わってみてはいかがでしょうか。