ライフスタイル稲作は日本でいつから始まったの?伝来の歴史を調査!

稲作は日本でいつから始まったの?伝来の歴史を調査!

毎日の食卓に欠かせないお米は、当たり前のように食べられていますが、その歴史は驚くほど古く、多くの人びとが大切に守ってきた日本の誇りでもあります。そんな稲作が日本でいつから始まったのか、伝来の歴史を調べていきます。また、新米と古米の違いについても合わせて解説します。

稲作は日本でいつから始まった?

稲作は日本でいつから始まった?

稲作の歴史

稲作について調べていくと、その歴史がはるか昔から続いていることに驚かされます。日本各地の遺跡から出土した遺物からは炭化した米や稲作に使用されたと思われる農機具が発掘されており、それだけでも日本人の生活にお米が深く関わってきたことが分かります。

稲作の起源となっているのは、大陸から渡ってきた稲作技術を持つ人びとです。持ち込まれたイネと農耕技術は九州をはじめとして、やがて全国に広がりを見せていきます。

また、九州地方にある縄文遺跡の土壌からイネ科の植物が持つ細胞であるプラントオパールが検出されたことで、縄文時代にはすでに稲作が行われていたことが確認されています。

そのほか、福岡県の板付(いたづけ)遺跡や佐賀県の菜畑遺跡(なばたけ)遺跡からは水田跡や用水路跡も発見され、縄文時代の終わりごろにはすでに現代に近い形で整備された水稲耕作が行われていたことが調査により明らかとなりました。

3000年近く昔からその姿を変えることなく受け継がれている稲作とお米は、大切な「食べる遺産」と言えるでしょう。

過去と現在の稲作の違い

水田を整備して稲作を行うという基本の姿は変わりませんが、農作業は時代により少しずつ変化しています。

過去の農作業

  • 全て人の手による農作業から、牛や馬といった家畜による農作業へと移行
  • 収穫した米の一部を保存し、翌年の種として利用する自家採種
  • タネを直播き(じかまき)する
  • 家畜や人間の排泄物、雑草や落ち葉を利用した肥料
  • 人力、自然の勾配、水車を利用して川や池の水を水田に引き入れる
  • 稲穂の部分だけを刈り取る収穫から、鎌などの農機具による根元からの収穫へと移行

現在の農作業

  • 田植え機やコンバインなどの機械を利用した田植えや収穫
  • 農協などで品質保証され、管理された種を使用した種子更新(しゅしこうしん)
  • ビニールハウスで苗を育てて田植えを行う
  • 堆肥のほかに化学肥料を利用する
  • 農業用ダムや水をくみ上げるポンプによる水管理

過去と現在の農作業を比較すると、より品質の良いお米をより多く収穫するための変化を見て取ることができます。

古くからシステム化された稲作の形

現代の稲作は機械化・統一化されている地域も多いですが、古くに生まれた手法を今でも守り、有機的にシステム化している地域も存在します。

例えば豪雪地帯として知られる新潟県の中越地域では、歴史的に、棚田で稲作をしながら冬の間の食料としてため池で真鯉が飼われていました。山間地のため水が貴重な影響で、雪解け水や井戸を活用しての稲作・養鯉の仕組みが構築されており、江戸時代後期には真鯉が錦鯉に変種してこの地域の貴重な産業の一つになっただけではなく、原種(真鯉)の需要にも応えています。

棚田オーナー制度のデメリットとメリット 棚田オーナー制度のデメリットとメリット

そして、養鯉業の発展による労働人口の確保やそれにともなう棚田などの保全・景観の維持、文化の継承などが評価され、2017年には日本農業遺産(雪の恵みを活かした稲作・養鯉システム)にも認定されたのです。

また、日本農業遺産とは別に世界農業遺産の制度もあり、日本でも多くの地域が認定されています。詳しくはこちらのページをご覧ください。
世界農業遺産とは|日本初の佐渡から大分・最新の山梨まで詳しく紹介! 世界農業遺産とは|日本初の佐渡から大分・最新の山梨まで詳しく紹介!

 

新米と古米の違い

新米と古米の違い

新米・古米とは?

毎年お米が収穫される秋ごろから、新米・古米という言葉をよく耳にします。新米は収穫されてすぐのものと思われがちですが、その年に収穫されたものが全てこのように呼ばれます。そして、新米の年を基準にして前年度・一昨年度と一年さかのぼるごとに「古」という字が増えていくのです。

例えば、2023年に収穫されたお米を新米とすると、前年の2022年に収穫されたお米は「古米」、さらにその前年の2021年に収穫されたお米は「古古米」、2020年に収穫されたお米は「古古古米」…という具合になります。

まるで落語のような話ですが、「古」の文字を数えると何年前に収穫されたかが分かるというのは、ある意味分かりやすく親しみやすい呼び方かもしれません。

新米と古米の特徴と違い

新米と古米、その呼び方からどうしても新鮮さや粗悪さ、といったイメージを持ってしまいます。では、実際に新米と古米ではどのような特徴や違いがあるのでしょうか。

新米

  • 色ツヤが良い
  • 臭いがしない
  • ご飯がやわらかく炊ける
  • 粘りがある

古米

  • 色ツヤが悪くなる
  • 古米独特の臭いがする
  • 粘りが少なく硬いご飯になる
  • 新米を炊いた時より膨らむ

「新米の方が良い」と思われるかもしれませんが、お米には色々な食べ方があります。おかずと一緒に食べるご飯、カレーの味を引き立てるご飯、お寿司を作る時の酢飯、炒飯に最適なご飯…それぞれに最適なものが選ばれます。

新米・古米それぞれの持つ特徴を考えながら料理に合わせて選ぶのも、より一層ご飯をおいしく感じるための方法でしょう。

古米をよりおいしく食べるには

古米の特徴に合わせた炊き方をすると、よりおいしく古米を食べることができます。気を付けるポイントは以下のとおりです。

  • 古米の表面に付いているヌカ臭さを取るために、力を入れてしっかりととぐ
  • とぎ汁が透明になるまでといで洗い流す
  • 三時間ほど水に浸す
  • 規定量よりも少し多めの水で炊く
  • もち米を一割混ぜる

このほかには、独特の臭いや食感を消すために料理酒やハチミツを混ぜる方法が採られることもあります。

 

稲作の歴史を絶やさないために「熊本ヒノデ米プロジェクト」

稲作の歴史を絶やさないために「熊本ヒノデ米プロジェクト」

熊本ヒノデ米とは

2016年4月に熊本を襲った大地震は、広大な農地に大打撃を与えました。阿蘇の麓で水源に恵まれ、西日本で一番のお米の収穫量を誇っていた熊本。しかし、この地震による被害で多くの農地が耕作不能となり、かつ、復興のための人手が足らなかったために熊本の稲作は未曾有の危機に陥ります。

連綿と続いてきた田園風景を失わないため、「日本お米協会」の代表理事である森賢太氏の呼びかけによって発足したのが「熊本ヒノデ米プロジェクト」でした。被災して作付けを諦めていた被災者から田んぼと種もみを受け継ぎ、多くのボランティアの協力でヒノデ米と熊本の稲作はその歴史をつなぎとめたのです。

「田植えを通した復興支援」というコンセプトはもちろんのこと、作物を育てて命を頂くということの大切さを改めて考えるという点において、熊本ヒノデ米プロジェクトは大きな役割を果たしました。

熊本ヒノデ米商品

関わった人びとの暖かい思いが形となった熊本ヒノデ米ですが、現在もさまざまな商品が多くの支持を受けています。

ヒノヒカリ

ヒノヒカリは熊本ヒノデ米の一種。西日本で最も人気のある品種で、バランスが良いことからどのような料理にも合うと好評を得ています。被災者から受け継がれた田んぼと種もみから育てられたお米には、熊本の豊富な地下水と自然の力で育てられたおいしさがぎゅっと詰まっています。

にこまる

熊本ヒノデ米のもう一つの種類として人気があるのが「にこまる」です。味の濃い肉料理や丼物といった料理を受け止めるだけの力を持つしっかりとした粒は、熊本の自然が育んだ強さを感じることができます。

玄米ぽんせん

農薬・化学肥料は不使用で育てられた熊本県産のお米と天草の自然塩で作られた、体に優しいせんべいタイプのポン菓子です。小麦・乳・卵は一切使用されておらず、グルテンフリーでノンフライの「玄米ぽんせん」。ほど良い塩加減であることから、子どものおやつだけではなくお湯で溶かして離乳食としてもおすすめです。

 

長い歴史のなかで絶えることなく続いてきた日本の稲作。農耕技術や作物ではなく、お米に対する情熱と愛情こそが真に受け継がれてきたものではないでしょうか。