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行田市名物「行田フライ」
行田フライとは
「行田フライ」は、行田で古くから食べられてきたご当地料理です。ただ、フライと言っても揚げてはいません。水で溶いた小麦粉に豚肉やネギなどの具材を乗せて鉄板で焼く、お好み焼きを薄くしたようなものです。
「水焼き」や「ぺったら焼き」とも言われ、「お好み焼きとクレープの中間」、「お好み焼きとガレットの中間」、と表現されることもあります。
古くから行田は小麦の産地であったことから、手軽に食べられるまかないや軽食として農家の人々に好まれていました。また、昭和初期に行田の足袋工場で働く女性たちの人気を博したことで行田フライを扱う店が増え、ご当地グルメとして世間に知られるようになりました。
フライの名が付いたことについては諸説あります。
- 行田周辺が布の産地だったことから「布来(ふらい)」
- フライパンで焼くため「フライ」が付いた
- 「富よ来い」という意味の「フライ」
などさまざまです。
行田フライの特徴・食べ方
生地と具材
生地は少々ゆるめです。豚肉とネギが基本の具材となりますが、店により卵が入ったり干しエビを入れたりするなど違いがあります。焼きそばと一緒に食べることも。
焼き方
お好み焼きのように生地のなかに具材は入れません。まず、鉄板に20cmほどの円形になるよう薄く生地をのばします。この際、生地は全て使わず少し残しておくことが重要です。のばした生地の上に具材を乗せ、その上に残りの生地をかけ、両面をしっかりと焼き上げます。
この際に木の鍋蓋などで生地を押さえ、具のうま味を生地全体に行き渡らせる方法を採ることもあります。
また、焼きそばを一緒に食べる場合、生地に挟んだり、同じ皿に盛ったり、別の皿で出したりと、色々な方法があります。
味付け
醤油とソースの2種類があり、お好きな方を選ぶことができます。
行田市名物「ゼリーフライ」
B級グルメ「ゼリーフライ」とは
名前を聞いてびっくりする食べ物ですが、見るとさらに驚かれる方も多いでしょう。ゼリーフライは、じゃがいもとおからをベースにした生地を素揚げにし、ソースで味付けした食べ物です。行田のB級グルメとして、地元である行田はもちろん、全国にも多くのファンを持っています。
ゼリーフライ誕生の地は、行田市で営業していた「一福茶屋」。店主の常八が、中国東北部で食べられていたという野菜まんじゅうをもとに考案しました。
明治時代後期には販売されていたことが分かっており、その名の由来は、小判型をしているフライ「ゼニー(銭)フライ」「ゼニフライ(銭富来)」が訛ったものとされています。
ゼリーフライの特徴・味わい
小判型をしているゼリーフライは、手のひらサイズでボリュームがあります。じゃがいもとおから、人参や玉ねぎなどが入ったタネを揚げたあと、ソースにくぐらせて味付けします。コロッケのように衣を付けていないため、コロッケに比べるとやわらかく、しっとりした食感です。
行田市内にはゼリーフライの店が多く、精肉店や豆腐店でも購入することができます。店によってソースの味は違い、皿に乗せられて提供されたり、割り箸に刺されていたり、バリエーションはさまざま。おからを使って自宅で作ることもできます。
お土産で買うなら かねつき堂のゼリーフライ
ゼリーフライの店としてよく知られている「かねつき堂」。ボリュームのあるゼリーフライが1人前200円で提供されています。
揚げたてのゼリーフライはアツアツもちもち。ソースの香りが食欲をそそります。実際目にして、その大きさに驚く方が多数。味はもちろん、食べごたえもある商品です。
かねつき堂は忍城から徒歩2分、秩父鉄道行田市駅からは徒歩約15分ほどのところにあり、敷地内には移築された忍城の鐘楼があります。「行田見処案内書」も兼ねている、行田の良さをじっくり味わえるお店です。
行田市のゆるキャラ「こぜにちゃん」と「フラベぇ」
行田市には、ゼリーフライと行田フライをモチーフにしたゆるキャラがいます。ゼリーフライをソースにたっぷりくぐらせたような色合いの「こぜにちゃん」と、行田フライを作る際に必要なフライ返しと鍋蓋を持つ「フラべぇ」です。
こぜにちゃんとフラべぇは、フライの町である行田をアピールするためイベント会場などで活躍しています。
さきたま古墳「行田古代米カレー」
古代米カレーとは
「行田古代米カレー」は、行田市内にある多くの店舗で食べられる町おこしカレーです。
行田古代米カレーの定義は3つあります。
- 古代米を使うこと
- 行田の食材を使うこと
- 前方後円墳型のごはん型を使うこと
3つの決まりを守れば味も飾り付けも自由なので、行田市内ではいろいろなカレーを楽しむことができます。
古代米とは
古代米は「古代より栽培されていた品種」「古代より栽培されていた品種の特徴が残る米(稲)」のこと。白米と同じ栽培方法ですが、古代米は丈が長いため倒れやすいという特徴を持っています。そのため肥料を少なくし、密植(みっしょく)を避けるなどの方法が採られています。
「赤米」や「紫黒米(しこくまい)(黒米)」「香り米」などいくつかの品種がありますが、さきたま古墳・行田古代米カレーの会では、黒米の「朝紫」を推奨しています。
朝紫には鉄分が多く、赤ワインと同じアントシアニン系のポリフェノールも含有。常食することで貧血予防や動脈硬化予防、眼精疲労改善などの効果が期待できると注目されています。
古代米カレーで町おこし
行田市には、前方後円墳8基と、円墳1基の大型古墳からなる埼玉古墳群があります。5世紀末から7世紀にかけて作られたと言われており、国宝「金錯銘鉄剣」が発掘されたことから、大和朝廷と深く関わっていたことも分かっています。
「行田のシンボルでもある古墳で町おこしを」と考えられたものが「行田古代米カレー」です。行田産の古代米を稲荷山古墳(前方後円墳)型にし、具の材料も行田産の食材を利用しています。地産地消をしながら店舗ごとに異なる味のカレーで観光客を誘致、歴史認識も高めてもらうというものです。
カレー店を巡るスタンプラリーも行われており、おいしいカレーを味わいながら楽しめるような取り組みが行われています。
行田市自慢の特産品
十万石「十万石まんじゅう」
控えめな甘さと上品な味わいの「十万石まんじゅう」は、山芋を使った薯蕷(しょよ)饅頭。材料にもこだわり、山芋は国産のつくね芋、上新粉は新潟産こしひかり、十勝産小豆の味を生かすために特別精製した大粒のザラメ糖が使われています。
パッケージの文字と姫がまんじゅうを食べている絵は、棟方志功の手によるもの。十万石まんじゅうを食べ「うまい」「うますぎる」と言われた、ということで忍城の姫の絵が描かれました。「このまんじゅうが全国に広く知れわたることを願って」と、棟方志功氏は「饅頭」ではなく「幔頭(まんじゅう)」としました。
ひしや納豆「忍城納豆」
1876年(明治9年)創業のひしや納豆は、埼玉県内で最古の納豆メーカーです。古くは忍城に味噌やしょう油を納めていたというひしやで作られる納豆は、昔ながらの手作り製法。時間をかけ丁寧に作られる納豆なので、豆の味と香りがしっかり味わえます。
人気の「忍野納豆」は大粒・小粒の2種類。北海道産十勝あきた大豆が使われている大粒は、豆をそのまま食べているような味わいと食感が、北海道産すずまる大豆が使用されている小粒には、豆のうま味がぎゅっとつまっています。どちらの納豆もプラスチックパックではなくビニールで包まれており、タレとからしが付いています。
2001年(平成13年)に全国納豆鑑評会で優秀賞を受賞。彩の国優良ブランドの認定も受けている納豆です。
いかがでしたでしょうか。行田には、紹介したもの以外にもおいしい名物がたくさんあります。歴史に触れられる場所も多く、季節に応じたイベントも多く開催されているので、食べ歩きをしながらの観光もおすすめです。