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レジ袋の有料化
環境省によって、買い物の際に使われるレジ袋の有料化をコンビニを含む小売店へ義務付けることが進められています。すでに、スーパーなどではレジ袋の使用数を減らすよう求められているものの、義務化されてはいませんでした。
レジ袋有料化の背景には、海洋汚染の深刻化が関係しています。レジ袋を含むペットボトル・ストローなど使い捨てのプラスチック用品が増えたことで、プラスチックごみを捨てる人が増え、海が日に日に汚染されていったのです。
そのため日本では、プラスチック資源循環戦略として、
- プラスチックごみの削減
- プラスチック資源のリサイクルの促進
- 2030年までに使い捨てのプラスチック用品の排出を25%カットする
を掲げ、その方針の一つとしてレジ袋の有料化へと踏み切ったのです。
それでは、レジ袋による汚染の問題とその対策方法について詳しく見ていきましょう。
プラスチックごみによる影響
世界各国でプラスチックごみの排出を減らそうという動きが広がりつつあります。現代の生活で使わない日はないほど浸透している素材に、いったい何が起きているのでしょう。
深刻な海洋汚染
最も問題となっているのが海洋汚染です。ポイ捨てをはじめとして、海へと流れるプラスチックごみの量は世界で年間800万トンと言われています。
このようなごみが潮の流れや日光によって砕かれていき、細かな粒子となって海をただよいます。なかでも、5mm以下の粒子は「マイクロプラスチック」と呼ばれ、魚が無意識に食べてしまうのです。それによって600種もの海洋生物が被害を受けているとの報告もあります。
魚を食べる私たちの体内にも入ってしまっている恐れはあるものの、今のところ影響があるかどうかは分かっていません。しかし、プラスチックごみに付着していた有害物質が原因で人体に影響が出る可能性についても考えなければなりません。
また、海洋汚染は日に日に進行を続けており、海洋研究開発機構によってマリアナ海溝の水深1万mにプラスチック袋らしきものが存在していることも分かっています。また、深海にプラスチックが達してしまったことで、長い年月をかけて作られた生態系にも影響が出てしまう恐れがあるのです。
日本で排出される海洋プラごみは実に世界の27倍
レジ袋を含む使い捨てのプラスチックの影響は日本が特に深刻で、その数値は世界平均の約27倍にもなると言われています。
街中に自動販売機が設置され、多くの人がコンビニやカフェを利用している日本において、プラスチックの使用を節約するという意識はあまりないという部分も関係しているでしょう。
また、中国では国内の資源が少ないからという理由で世界のプラスチックごみの約半分を受け入れ、利用していましたが、2017年より受け入れを廃止。今まで多くのプラスチックごみを委ねていた日本は大きなダメージを受けることとなります。
輸出先をほかのアジア諸国へと変更するなどでしのいではいるものの、
- リサイクルの推進
- プラごみの減少
- プラスチック製品の使用数削減
など、早急に手を打たなければなりません。
私たちが生活するうえでも、できることは多いです。
例えば、
- レジ袋を利用せずにマイバッグを持ち歩く
- 水筒を利用しペットボトル飲料は買わない
- ペットボトルのキャップと本体を分けるなど、常にリサイクルを意識する
などがあります。プラスチック製品は全て排除するという訳ではなく、使いすぎている部分でコツコツと減らしていけば良いのです。国民の意識が少しずつ変わっていくだけで、相当数のごみはなくなっていくことでしょう。
土壌汚染や水質汚染…地球が抱えるさまざまな汚染問題
進む脱プラスチックへの取り組み
海洋汚染が問題視されたことで、欧州ではプラスチックごみを削減する動きが加速してきています。カフェを含む飲食店でストローを廃止したり食器も再生紙素材を利用したりなど取り組まれています。
特にEU加盟国では、使い捨てのプラスチック用品の使用を禁止する方針を2018年の5月に示しました。
EU加盟国の取り組み
この方針によってEU加盟国では、
- ストロー
- 取り皿
- 耳かき
- 風船
のように、プラスチック以外でも代替がきく品物に関しては、プラスチックの使用を禁じる方針を示しました。また、プラスチック製の飲料カップに関しても、蓋が付いているもののみの使用が許可されています。
イギリスでも、プラスチックごみをできるだけ減らしていく目標を打ち出し、
- レジ袋の有料化
- 使い捨てのプラスチック製品廃止
などが検討されています。エリザベス女王自らも王室施設内で、使い捨ての食器とスプーンの使用をやめたとのことです。
多くの国でプラスチックごみを減らすためのさまざまな方針を打ち出している現状、プラスチックごみを大量に排出している日本でも、早急な対応が迫られています。
民間企業によるプラスチック廃止への動き
海外では、民間企業の間でもプラスチック製品の廃止に向けた取り組みが行われています。
プラスチック製ストローの廃止
欧州のマクドナルド・スターバックス・コーヒーでは、プラスチックのストローを紙のものに変更すると発表。順次切り替わっていき、2019年内には全ての店舗で変更が完了する予定です。
イギリスのJDウェザースプーン(大手のパブ会社)では、お客様から要求がない限りストローの提供をしないようにしており、提供するとしても紙製のものを渡すようになりました。国全体でリサイクルの思考が強まっているため、お客様の反応は上々なようです。
食品業界で世界最王手のネスレでも、2025年までに全ての容器を再生可能な素材へと変更する方針を示しました。
このように、さまざまな企業でプラスチック製品の使用抑制が進んだことで、コストがかかりすぎるからという理由で生産があまりされていなかった、土や海の中で分解されるプラスチック素材の生産量を5000トンに引き上げるとカネカが発表しました。
自然の中で分解されるプラスチック素材
このプラスチック素材は、原料全てを植物性のもので作っており、
- 土の中では2年の間に90%以上
- 水の中では半年の間に90%以上
が分解されます。紙製のものと比べても丈夫で使いやすいため、規制の進むプラスチック製ストローやフォークの救世主となるべく生産が進められています。
さまざまな企業でも量産が進む
カネカ以外にも、多くの企業で自然分解されるプラスチックの量産が行われています。
例えば、ドイツの総合化学メーカーであるBASFでは、コーヒーマシンに用いる包装材料などに使用されています。また、BASFジャパンでも2018年9月から生産がスタートし、2025年までに年間で3万トンの生産を目指しています。
2017年度の自然分解されるプラスチックの世界総生産量は約88万トン。プラスチック全体に占める割合は1%未満と、まだまだ少ない状態ではあるものの、プラスチック製品の使用禁止の動きが広まることで、急速にその需要が拡大する可能性も出てきています。
多くの世界で海洋汚染を防ぐためにさまざまな施策が行われています。プラスチックごみ排出大国の日本では年間38億本ものペットボトルがリサイクルされずに捨てられてしまっているのです。
これからの地球環境を守っていくため、積極的に川や海に捨てられたプラスチックごみを拾ったり、ペットボトルをあまり買わずに水筒を持ち歩いたりしてみてはいかがでしょうか。