認可保育園の基準と無認可保育園
保育園は大きく「認可保育園」と「無認可保育園」の二つに分けられます。
認可保育園
認可保育園とは、国が定めている基準を満たして、各都道府県の知事によって認可された施設のことです。認可の基準には、定員数・対象年齢・建物の設備・職員の数・保育時間などがあり、都道府県ごとにさまざま。下記は東京都の例を挙げて紹介します。
定員数
- 20名以上
入所の対象年齢
- 0歳児から5歳児まで:うち、3歳児未満が二割以上、2歳児未満が一割以上いることが条件
保育園の設備
- 乳児室もしくはほふく室:0歳児から1歳児の一人あたりの面積が3.3 ㎡以上あることが条件
- 保育室もしくは遊戯室:2歳以上の児童の一人あたりの面積が1.98㎡以上あることが条件
- 医務室:心身を静かに休められる場所が確保できていることが条件
- 屋外遊技場:2歳以上の児童の一人あたりの面積が3.3㎡以上あることが条件。公園などでも可
- 調理室、お手洗い:定員に見合った面積・設備を有していることが条件
職員数の基準
- 保育士:0歳児3人ごとに一人・1歳児から2歳児6人ごとに一人・3歳児20人ごとに一人・4歳児30人ごとに一人以上の人員を確保していることが条件
- 調理師:定員が40人以下の場合は1人以上、41人以上150人以下の場合は2人以上、151人以上の場合は3人以上の人員を確保していることが条件
- 嘱託医(しょくたくい):行政・医療機関から頼まれて健康診断や治療を行う医者を一人以上確保していることが条件
- 園長(施設長):保育士としての資格を持ち、児童福祉施設に2年もしくは保育士として1年以上経験している人を就任させる必要がある
保育時間
- 原則として保育時間は1日8時間・開所時間は1日11時間と定められている
無認可保育園
無認可保育園とは、上記で挙げた基準を満たしていない保育園を指します。無認可ということで良くないイメージを持たれがちですが、自治体への設置報告や年に一度の市役所による監査はしっかりと行われているため、違法に運営しているわけではありません。
また、基準を満たさないことで、夜間の保育に対応していたり休日に預かり保育をしてくれたりと、保護者のニーズに合わせたサービスが行われている場所も多く存在しています。
それぞれのメリット・デメリット
入園を考えるにあたり、認可保育園と無認可保育園のメリット・デメリットを知ることはとても大切なことです。それぞれ見ていきましょう。
認可保育園のメリット
国によって認められているという安心感
上述したように、認可保育園として認められるには国が指定する数多くの基準を満たす必要があるため、それだけでも安心感が違います。さらに、保育士の資格を取得していなければ働けないため、保育者についても高い質が保たれているのです。
所得に応じて決まる保育料
認可保育園と認められた場合、国や自治体から運営の費用として補助金が支給されるため、無認可保育園に比べると保育料は安価となります。また、各家庭の世帯所得や子どもの年齢・人数によっても変動します。
- 世帯所得:各世帯の月々の所得によって保育料は変化し、金額が少ないほど安くなる。生活保護世帯の場合、利用者負担は0円
- 子どもの年齢:保育士一人あたりの管理人数が少ない0歳児が最も高く、年齢が上がるごとに金額は下がっていく
- 子どもの人数:同一世帯から2人目以降の子どもが同一の保育園に入っている場合、2人目の金額は半額、3人目以降の金額は免除になるケースが多い
保育士数・設備の充実
保育士の人数や設備に関しても基準があるため、保育士が不足することもあまりなく、防火設備や衛生面でも必要最低限の条件がそろっています。
また、さまざまな保育園を経験しているベテランの保育士も多く所属しているため、子育てに不安を感じているお父さんやお母さんにとっては安心です。
年齢によって分けられる保育室
認可保育園は、年齢に応じて保育室がそれぞれ区切られています。そのため、年齢の低い子どもにお昼寝をさせながら年齢の高い子どもはおもちゃで遊ばせる、といったことを怪我させることなく可能にしています。
認可保育園のデメリット
深夜保育が少ない
認可保育園は基準によって保育時間が定められているため、深夜保育が行われている施設が少なくなります。そのため、夜遅くまで仕事をしている家庭や深夜から朝の間で保育をしてもらいたい家庭にとっては条件が合わないことがほとんどです。
受け入れ人数が決まっている
施設の大きさや保育士の人数で受け入れの人数が決められている認可保育園では、定員オーバーになってしまうと自宅から一番近い保育園であっても預けることができなくなります。
その場合、待機児童になって次の募集を待つか、無認可の保育園を探すかしか選択肢がありません。
休職中だと優先順位が低くなりがち
認可保育園は、就労の状態によって入園の優先順位に差が出ます。つまり、休職中であったり体調に問題があり会社を休んでいる人に比べて、現時点で就労している人の方が子どもの入園が優先されてしまうのです。
保育士が変わることもある
公立の保育園の場合、保育士は国家公務員のため、異動などにより同じ保育園に長く居続けられないことも多々あります。気に入っていた先生が突然いなくなってしまうことも考慮しなければなりません。
無認可保育園のメリット
保育理由・在住場所を問われない
保育園と直接契約を結ぶため、両親が働いていない状態であっても入園が可能です。
また、認可保育園では在住・在勤している自治体に申請しなければいけませんが、無認可保育園ではその縛りがなく、在住場所に関係なくさまざまな保育園の中から自由に選択が可能です。
保育時間・保育日数の柔軟な対応
無認可保育園の中には月極保育を行っているところもあります。
月極保育とは、
- 週3日~週7日
- 1日8時間以内~24時間いつでも
のように、利用者の勤務形態や希望に合わせて保育時間を柔軟に設定できる保育園のことを言います。利用の曜日も自由に選べ、早朝や夜間・休日にも対応しています。
サービス業などシフト形態の仕事をしている保護者の場合、勤務の時間帯がバラバラになっていることがよくあり、認可保育園では十分に対応をしてもらえないことも多いため、小学校に入学するまで利用する人もいるほど。
また、勤務の時間が長い人の中には、認可保育園や幼稚園が終わった後に夕方から深夜にかけて二次保育を利用している場合もあります。
無認可保育園のデメリット
認可保育園より料金が高いことも
認可保育園の場合、保育料は世帯所得や子どもの人数によって算出されますが、無認可保育園の場合は、園によって定められた保育園のためその金額はどの家庭でも一定です。また、基本保育料に加えて設備費(冷暖房費や保健・看護の費用)や雑費(食事代、ミルク・おむつ代など)が別途請求される場合もあります。
敷地面積が狭い
認可保育園のように補助金が支給されるわけではないため、ビルの一部や空き家を利用しているケースも存在します。建物を新たに建設しているところもあるものの、内部が狭く園庭がない場合も多く見られます。
保育園は、大切な子どもを育てるためのとても重要な場所です。国の基準を満たした安心感のある認可保育園にも、利用者のニーズに合わせてさまざまなサービスを提供している無認可保育園にも、それぞれメリット・デメリットは存在します。
保育園についての疑問をすっきりと解消して、ライフスタイルに合う素敵な保育園を見つけましょう。