この記事の目次
スマホ依存による危険性
スマホ依存症とは
一台で何役もこなし、生活のなかで欠かせない存在となっているスマートフォンですが、その便利さゆえに四六時中スマートフォンを手放せない人が増えています。
スマホ依存症とは、スマートフォンの機能に依存し過ぎて常に手元にないと落ち着かず、場合によっては日常生活に支障をきたす状態のことを指します。スマホ依存症は特に若者に多く、スマホがなければ連絡も取れない・仲間外れになるなどの恐怖心からスマホを手放すことができず、慢性的な疲労や精神的障害に陥るといった例も報告されています。
スマートフォンの持つ利便性の裏には、依存し過ぎるとこれまで当たり前のように行われてきた生活が損なわれ、深刻な問題を引き起こす可能性も存在するのです。
スマホ依存症の人には、以下のような特徴があります。一度チェックを行い、改めてスマホとの付き合い方を見直してみましょう。
- お風呂やトイレ、食事中も手放さない
- 親しい人や誰かと話している最中でもスマホをいじっている
- 運転中であってもスマホを使用する
- チャットやSNSの反応が気になり四六時中チェックしている
- 寝る直前までスマホを使用し、起きてすぐにスマホを見る
- 仕事や授業の最中でもスマホを優先してしまう
- 会話のほとんどをスマホで行っている
スマホ依存症の症状
スマホ依存症は、肉体的にも精神的も大きな危険性をはらんでいます。スマホ依存症で引き起こされるさまざまな症状を見てみましょう。
依存・禁断症状
スマホが手元にないと落ち着かず、強い不安感に襲われスマホを手放すことができません。症状が強い人の場合、見当たらないだけで攻撃的になることもあります。
うつ病・パニック症状
ネット上での人間関係にのめり込み過ぎ、実生活での人との交流がうまくいかず、最悪の場合には引きこもりになることも。症状が重くなるとうつ病やパニック障害、自律神経失調症などの症状が見られます。
肩こりや頭痛の症状
長時間スマホを使用すると姿勢が猫背のまま固まってしまうことから、さまざまな身体的症状が出ることがあります。姿勢が悪いことから起こる肩こりや頭痛、小さな文字を注視することが原因の視力低下、首の骨が変形するストレートネック、血行不良による生理不順や胃腸障害など、場合によっては長期的治療が必要となることまあります。
不眠症
スマホの画面を見続けることで、脳が刺激されて睡眠障害が引き起こされます。スマホからはブルーライトと呼ばれる光が出ており、この光が睡眠のリズムを狂わせるのです。睡眠前にはスマホを使用しない、どうしても必要な場合にはブルーライトをカットするメガネを使用するといった対処が必要です。
小指の変形
スマホを持つ時に小指でスマホ本体を支える人が多く、小指の側面にくぼみのような変形が起こることがあります。この小指の変型は「テキスト・サム損傷」と呼ばれ、世界的にも問題視されています。また、変形以外にも指の痺れや痛みをともなうことがあります。
スマホ依存にならないためには
スマホ依存への対処法
スマホ依存症と診断された人の多くは、スマホとの距離が近過ぎてコントロールできていない状態にあります。このような人の場合、以下の対処法でスマホとの距離を取るようにしてみるのが効果的です。
- スマホを触る時間を少しずつ減らしていく
- トイレやお風呂、食事中など明らかに使用しない時には手元から離す
- 予備バッテリーを持ち歩かず、一回の充電で一日を終える
- 近所のコンビニなど短時間の外出には持ち歩かない
- 使用する場所を決める
- 普段は電源を切り、必要な時だけ使う
- ポケットなどにはしまわず、カバンや引き出しなど一手間かかる場所に置く
- アプリの通知機能をオフにしておく
- 寝室には持ち込まない
- 音楽は全て別のプレーヤーにする
一見するとどれも簡単にできそうなことばかりですが、スマホ依存症の人にはこれらの項目も難しく感じます。自分だけでは無理かもしれないと思う時には友人や家族に協力してもらい、無意識に使用している時には一声かけてもらうといった方法を取ると良いでしょう。
脱スマホ依存への取り組み
幼い時からすでにスマホがある環境で育った若者にとって、スマホ依存から脱するのは大変難しい取り組みとなります。そのような若者を対象にした脱スマホ依存プログラムがあるのをご存知でしょうか。
大手旅行会社のJTBでは、大学と協力して「圏外旅行」と銘打った、大学の新入生を対象に脱スマホ依存からコミュニケーションを学ぶ一泊二日の旅行プランを計画しました。
参加した新入生は、まず自分のスマホの電源をオフにします。その後、一切スマホを利用せずに参加者同士のコミュニケーションを図り、オリエンテーリングを通して対面での意思の疎通や人間関係の構築を実体験で学んでいきます。
老舗の電気通信事業者であるKDDIは、高校生をメインターゲットにしたアプリを開発。「勉強した時間=スマホを触らなかった時間」という発想で、子どもの脱スマホを目的としたアプリ「勉強うながしホーム」をリリースしました。
勉強する時間を設定すると勉強モードが立ち上がり、スマホからのネット閲覧やゲームなどが一切できなくなるシステムです。勉強した時間もスマホを触らなかった時間も目に見える状態になることで、勉強時間を確保することはもちろんのこと、子どもにスマホ依存を自覚してもらう促しにもつながります。
「当たり前だと思っていたスマホの使い方が実は当たり前ではない」という考えは、若者にとっては理解しがたい部分でもあります。実体験や目に見える結果を通して、改めて「スマホと生活の距離」を学んでもらうための取り組みが続いています。
スマホを預けて旅行?星野リゾートの「脱デジタル滞在」
脱デジタル滞在とは
さまざまなコンセプトでお客様をもてなすリゾートホテルを次々と提供している星野リゾート。徹底したコンセプトによるサービスは訪れる多くの人を満足させ、リピーターも続出しています。その星野リゾートが「現代を休む日」をコンセプトに運営し、「脱デジタル滞在プログラム」を行っているのが「星のや」です。
スマホをはじめとした各種メディアを一切排除し、一定期間強制的にデジタルから離れて過ごす脱デジタル滞在プログラム。わずかな時間もスマホを手放すことができない現代人にとってはまさに「デジタルデトックス」であり、コンセプトどおり「現代を休む」ことに特化したプログラムでもあります。
「星のや」に到着して最初に行うのは「自らデジタル機器を手放し封印する作業」です。
ノートパソコンやスマホは専用のアタッシュケースに丁寧にしまわれ、自分で鍵を掛けるところから脱デジタル滞在プログラムがスタートするのです。この自ら鍵を掛けるというところが重要で、滞在するお客様に自分から手放すことを意識してもらうための、重要な儀式でもあります。
さまざまなリフレッシュプログラム
星のやは、脱デジタル滞在プログラムの目的の一つとして「五感を研ぎ澄ます」という項目を掲げています。デジタル社会で疲弊した体を癒やし、人間が元々持っている五感を取り戻して体全体で休日を味わってもらうことを最大のおもてなしとしているのです。
では、星のやで行われているリフレッシュプログラムの一部をご紹介しましょう。
視神経を中心としたマッサージ
デジタル機器の使用で疲れた視神経や体をマッサージし、緊張した体を緩めて視力や姿勢を正していきます。
聞香(ぶんこう)入門 星のや京都
「聞香」とは、香木(いい匂いのする木)の匂いを嗅いでそれがどの木であるかを当てるという古くから伝わる日本の伝統文化です。香木が嗅覚を刺激し、香りによるリラックス効果をもたらします。
夜の集落散歩 星のや軽井沢
星空とわずかな照明を頼りに、敷地内に点在している客室を村に見立てた「集落」を散策します。静かで自然豊かな夜の散歩で、ゆったりとした時間を体全体で感じます。
スマホ依存から見えてくるのは、文明の進化による人間の退化です。デジタル機器の本来の使用目的と人間の本来の営み、この二つを改めて問いかける時代が来ています。