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レモングラスの効能と成分
そもそもレモングラスとは?
レモングラスはハーブの一種で、熱帯アジア一帯に広く自生するイネ科オガルカヤ属の多年草です。イネのように平たく細長い線形で白緑色をしており、茂っている姿はススキによく似ています。
レモングラスという名称は、レモンの芳香成分「シトラール」が含まれていて、レモンと同じように強い香りを放つハーブであったことから名付けられました。葉をもむとレモンに似た香りを放つことが特徴で、茎や葉から採れる製油はせっけんなどの香料として利用されています。
さらに、アロマテラピーや化粧品のほか、料理やハーブティなどの食用としても使用することができます。また、東南アジア地域のエスニック料理では欠かせないハーブであり、タイ料理の「トムヤムクン」には輪切りにしたレモングラスの茎が入っています。
そのほかにも、肉や魚の臭み消しとしてにんにくや唐辛子と組み合わせて使用したり、スパイスとして香り付けに使用されています。葉の部分は、さわやかですっきりした気分になるハーブティーとしても人気です。
レモングラスに含まれる栄養素
フレッシュなレモングラスには、
- 抗酸化作用がありコラーゲンの合成を促すビタミンC
- 赤血球を作るビタミンの葉酸
- 骨や歯の形成に欠かせないマグネシウムやカルシウム
- 利尿作用・高血圧予防に有効なカリウム
- 疲労回復や新陳代謝を促進するビタミンB1やビタミンB2
などさまざまな栄養素が含まれています。
さまざまな効能
レモングラスには、栄養による効果だけでなく香気成分と呼ばれる香りによる効果も期待されています。
主な効果は以下のとおりです。
消化促進
食べ過ぎによる胃もたれや胸焼けに効果的で、胃の働きを助けて消化不良を改善し、消化促進・食欲増進をもたらします。主に、食前や食中にレモングラスのハーブティーを飲むと良いと言われています。
また、抗菌・殺菌作用もあるため下痢をしている際にも効果的です。
疲労回復
疲労物質とされる乳酸を取り除いて体の循環を刺激する効果があり、運動後の筋肉痛の痛みを和らげて疲労回復に有効に働きます。
集中力の向上
レモングラスの香りには脳を活性化させ、集中力を向上させる働きがあります。「仕事や勉強に打ち込みたい」「スポーツの前に精神統一したい」など集中力が必要な場合に役立ちます。
代謝と血行の促進
レモングラスの血管拡張作用には、貧血を予防して血圧を下げる効果があります。また、血行が促進されることで血流が良くなり、冷え性の改善やむくみ、肩こりといった症状にも効果的です。
抗菌・抗ウィルス作用
体内に悪影響を及ぼす寄生虫などを殺菌する作用があるため、特に東南アジアでは重宝されてきました。インフルエンザや風邪などのウイルス対策や食中毒予防にも効果的。そのほか、古くから水虫にも有効とされています。
防虫作用
レモングラスに含まれるシトラールは虫が嫌う匂いなので、防虫対策として利用できます。タンスやクローゼットに乾燥させたレモングラスの葉を入れておくと、虫がつかなくなり効果的です。さらに、玄関口に置いておけば、蚊などほかの害虫の対策にもなります。
近年では虫よけスプレーなどにも含まれていることから実用性は高いものの、寒さには弱いという欠点もあります。
利尿作用
レモングラスには利尿作用があるため、体の毒素を尿として排出するデトックス効果にも優れています。尿酸も同時に排出されるため尿酸値の高い人にもおすすめ。また、尿の量や回数も増えるので腎臓にも良い影響を与えます。
コレステロールの吸収を抑える
余分なコレステロールの吸収を抑える効果があり、成人病予防にも効果的です。
消臭効果
シトラールにはとても強い消臭効果があり、香水より強力とも。抗菌作用とあわせて体臭などの悪臭を防ぐ効果もあります。
しかし、皮膚への刺激が強いため、肌が弱い人にはあまりおすすめできません。
リフレッシュ効果
すっきりとした香りには眠気を覚ます効果があります。自律神経を整える効果もあり、気持ちをリフレッシュさせてくれるほか、疲れた心にやる気を与えてくれます。
また、レモングラスにはセロトニンを分泌させることで抗鬱の作用があります。「失敗続きで落ち込んでいる」「あまり気分が乗らない」という場合にはぜひ使ってみてはいかがでしょう。
女性ホルモンの活性化
女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌に働きかけるため、更年期障害の予防やホルモンバラスの調整が期待されます。
そのほか、鎮痛や解熱の作用、炎症を抑える作用など、さまざまな優れた効果が期待できるのがハーブなのです。
特産品化を目指す佐賀県のレモングラス
レモングラスの特産品化
佐賀県武雄市はレモングラスの特産品化を目指し、2007年に当時の市長の呼びかけにより市内の耕作放棄地や遊休農地などの中山間地域を利用して、レモングラスの栽培を開始しています。
2008年には市に「レモングラス課」を新設。栽培指導や商品開発に連携して取り組み、さらには販路開拓や商品PRを行いサポートすることで特産品化を推進していきました。
開始時には14アールほどだった栽培面積も3年が経過すると2ヘクタールほどにまで広がり、いまや日本一のレモングラス産地としてその名をとどろかせています。
特産品化によるメリット
武雄市では、レモングラスの特産品化により農商工の活性化や産官学連携体制が構築されるといったさまざまなメリットが生まれました。
具体的には、国内産で有機栽培・無農薬の高付加価値のレモングラスが武雄市に約5億円の経済効果をもたらし、首都圏での営業活動により販路開拓が進み、武雄市の認知度にもつながりました。
また、商品PRにより武雄のレモングラスの知名度が向上し、東京大学や九州大学などとのレモングラスについての共同研究も進みました。
さらに、農事組合法人が設立されて遊休農地の再生活用が進み、高齢化が進む中山間地域において農業の活性化とともに新たな雇用が生まれたほか、企業との連携によりレモングラスを使用した食品やせっけん・化粧品などの加工品の商品開発が進み、旅館やネットでも商品販売の展開が進んでいます。
武雄育ちのレモングラスによるハーブティー
国産プレミアム レモングラス 佐賀県武雄市産
武雄育ちのレモングラスハーブティーは、武雄に広がる棚田を使用した無農薬かつ有機肥料を使用した国産レモングラス100%の、さわやかで豊かな香りが特徴の紅茶です。熱湯を注いで2分から3分蒸らすと香りが広がります。
さわやかな香りが人気のレモングラスは、消臭やリラックス効果をもたらすだけでなく、消化促進や疲労回復などさまざまな効能も期待されるハーブです。
春先には苗が出回り、自宅で栽培してフレッシュなハーブを楽しむこともできるので、健康的な暮らしのためにもレモングラスを毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょう。