歴史ある日本の伝統工芸創業400年の歴史を持つ「有田焼」の特徴を知る!

創業400年の歴史を持つ「有田焼」の特徴を知る!

佐賀県有田町とその周辺地域で作られている伝統工芸品、有田焼。透き通るような白地に美しい絵付けがされた磁器は、国内はもとより海外からも高い評価を得ています。今回は、有田焼の歴史と特徴に迫ります。

有田焼と伊万里焼

.有田焼と伊万里焼

有田焼とは

有田焼は、佐賀県の有田町周辺で焼かれている磁器。日本国内で最初に作られた磁器としても有名で、日用品のみならず装飾品としても利用されています。また、製作された有田焼の中で特に優れていたものは皇室への献上品として用いられていた歴史もあります。

輸出されたものは貴族の舘を飾ったこともあるほどに海外からの支持も厚く、国内外を問わず人気を集めています。

有田焼と伊万里焼

日本の焼き物として有名な有田焼と伊万里焼。どちらも佐賀県有田町で焼かれている同じ磁器を指しています。では、なぜ異なる名前が使用されているのでしょうか。

もともと、肥前藩内(現在の長崎県と佐賀県)で焼かれていた磁器は、全て伊万里焼の名前が使われていました。有田焼に限らず、長崎県で作られる「三川内焼(みかわちやき)」と「波佐見焼(はさみやき)」も伊万里港から出荷されていたため、伊万里焼を名乗っていたのです。

時代が進んだことで運搬の方法が船から鉄道へと変化し、伊万里港を経由しなくなったため、それぞれ今の名前へと変化していきました。

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古伊万里とは

伊万里焼の中でも江戸時代に焼かれた伊万里焼のことを「古伊万里」と呼び、「オールド伊万里」の名で海外でも人気を博しており、世界中のコレクターが探していると言われています。

 

有田焼の特徴

有田焼の特徴

有田焼の特徴

薄くて軽いため繊細なイメージがある有田焼ですが、耐久性に優れており陶器よりも丈夫だと言われています。さらに、磁土と石の粉を混ぜて作られるため、きめ細やかでなめらかな手触りを楽しむことができます。

また、素地が白いため絵付けにも適しており、鮮やかな色で描かれる繊細な絵付けも魅力です。

有田焼の種類

有田焼の種類には主に以下があります。

白磁(はくじ)
白い素地に釉薬をかけた白い磁器
陽刻(ようこく)
素地に凹凸をつけ、模様を浮き出させたもの
染付(そめつけ)
白磁の上に藍色で絵模様を描き、釉薬を塗り焼成したもの
色絵(いろえ)
釉薬を塗り焼成したものに、金・銀・赤・緑・黄・紫などの絵具で絵模様を描いたもの
青磁(せいじ)
鉄分を含む釉薬を塗り、焼成したもの。焼成することで鉄分が発色し、青緑色になる
瑠璃釉(るりゆう)
透明の釉薬にコバルト化合物を含む「呉須(ごす)」を混ぜ、焼成したもの。瑠璃色になる
辰砂(しんしゃ)
釉薬に酸化銅を含むもの。生成すると赤色になる

有田焼の製造工程

有田焼は昔から分業で作られており、その製造工程は以下のとおりです。

  • 手順1
    成形
    原料である陶石での形作り。「ろくろ成形」と「鋳込み成形」、2種類の作成方法がある
  • 手順2
    素焼き
    成形したものを約900℃で焼成する。焼成することで壊れにくくなり、絵付けもしやすくなる
  • 手順3
    下絵付
    絵模様の輪郭を描く「線描き」や、線描き中の塗り「濃み(ダミ)」を行う
  • 手順4
    施釉
    成形したものの上に薄い皮膜を作る、釉薬をかける
  • 手順5
    本焼き
    1300度の高温で焼き上げる。「焙り焚き」「攻め焚き」「揚げ火」と3つの焼き方を行う

    ーー「染付」「白磁」「青磁」「瑠璃」は、本焼きが終わった時点で完成となるーー

  • 手順6
    上絵付
    焼き上がったものに色絵具で色をつける
  • 手順7
    上絵焼成
    絵具を定着させるため、720度~830度で焼き付ける

有田焼の様式

有田焼は多くの様式を持っていますが、よく知られているのが「初期伊万里様式」「柿右衛門様式」「鍋島藩窯様式」「金襴手様式」です。

初期伊万里様式
素地に青のみで絵付けをしたもの。素朴な風合い
柿右衛門様式
「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の素地が特徴。大和絵風の絵が繊細に、色鮮やかに描かれている
鍋島藩窯様式
赤・黄・緑のみで絵付けをした色鍋島、藍のみで絵付けをした鍋島染付、青磁原石で作った青磁釉をかけて焼き上げた鍋島青磁などの種類がある
金欄手様式
藍の素地に金・赤・黄・緑などの絵具を使い、繊細かつ華やかに絵付けをしたもの

 

有田焼の歴史

有田焼の歴史

江戸時代初期

有田焼は、豊臣秀吉の朝鮮出兵がきっかけとなり誕生しました。

朝鮮出兵の際、肥前藩主・鍋島直茂が朝鮮から連れ帰った陶工に李参平(りさんぺい)がいました。李参平は佐賀県多久市で磁器作りを始めますが、思うように作れなかったのか、優れた原料の白磁石を求めて旅に出ます。

1616年に有田東部の泉山(いずみやま)で白磁鉱を発見した李参平は、上白川の地で天狗谷窯を開き、日本初の白磁を焼き上げました。これが有田焼の起源となります。

その後の1640年代には絵付けが行われるようになります。これにより、これまで単色だった磁器が色鮮やかなものへと画期的な変貌を遂げたのです。各年代で人気を集めていた絵付けを見ていきましょう。

初期色絵様式

1640年代~1660年代に人気を集めていた様式で、

  • 「赤」「青」「黄」「緑」「紫」の五色を使用する「五彩手(ごさいで)」
  • 「青」「黄」「緑」「紫」を使用する「青手(あおで)」

が有名です。

1650年代にはアジアやヨーロッパなど海外に輸出されるようになります。ヨーロッパは当時、有田焼のような磁器を作るための技術を持ち合わせていなかったため、「IMARI」に魅せられたヨーロッパの王侯貴族がコレクションするなど海外でも人気の品となりました。

柿右衛門様式(かきえもんようしき)

1670年代~1690年代に流行していた様式で、「濁手(にごしで)」というやわらかく温もりを感じられる乳白色の素地に絵画的な構図で余白を残して描かれるのが特徴です。

こちらもヨーロッパの各国へ多く輸出されており、宮殿内に飾り付けられるのみならず、その技術に魅入ったドイツとフランスでは模倣されるほどでした。

金襴手様式(きんらんでようしき)

1688年~1704年の間に作られるようになり、現代へと引き継がれています。

赤・金などの濃い色を使用して花紋様を磁器全体に優雅に書き込むこの様式は、元禄時代の豊かな経済と気風を映し出したものであると考えられています。

江戸時代末期~明治時代

江戸時代末期、有田焼は慢性的な不況に悩まされていました。美濃焼や瀬戸焼の生産が盛んになり、国内の磁器市場における有田焼の優位性が失われ始めたためです。

18世紀の中ごろには海外への輸入も衰退していたものの、1841年に有田の大商人である久富与次兵衛によって再開。1867年には佐賀藩と薩摩藩が幕府の要請を受けてパリの万国博覧会に参加し、1873年のウィーン万国博覧会、1876年のフィラデルフィア万国博覧会では受賞の栄誉に浴します。

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現在の有田焼

大正時代には、ガラス製品と工業用製品の需要が拡大したため生産量は増えていきます。また、1916年には現在でも続く「有田陶器市」が陶磁器品評会によって初めて開催されました。

昭和初期の不景気・戦時中の経済統制という苦しい時代も乗り越え、1976年には

  • 柿右衛門製陶技術保存会
  • 色鍋島今右衛門技術保存会

国の重要無形文化財保持団体として認定。

1980年には、

  • 天狗谷窯跡
  • 泉山磁石場跡

などが国の史跡に指定されました。

1991年には、伝統的建造物や歴史的風致を形成する環境を保護するための「重要伝統的建造物群保存地区」に「有田地区の町並み」が指定されました。伝統を守っている有田焼ですが、時代に合った製品の開発など未来を見据えた新たな製品作りに取り組み続けています。

 

有田焼の茶碗や急須 老舗の一品

有田焼のお皿 老舗の一品

「香蘭社」赤繪町物語 南天・急須

伝統とオリジナリティーを持つ製品作りをしている「香蘭社」の「赤繪町工房」。白磁に映える赤い南天は、「難を転ずる」縁起柄として古くより有田焼によく見られるものです。美しいだけでなく、優しく愛らしい急須です。

「深川製磁」染錦金彩鳳凰 菊割親皿

1900年のパリ万国博覧会で金賞を受賞した「深川製磁」。美しい鳳凰や吉祥文様は、明治・大正時代に輸出された作品を復刻して描かれました。海外をも魅了した深川製磁の魅力にあふれた菊割皿です。

「今村家」「jicon」大治将典デザイン 花瓶 小

平戸藩御用達の「今村家」が2012年に誕生させたブランド「JICON 磁今」。白い磁器肌が美しいシンプルモダンの花瓶は、「しのぎ」「瓶子」「四面取り」と3つのデザインがあります。和と洋、どちらの部屋にもしっくりなじむ花瓶です。

 

有田焼の新ブランド「2016/」(二ーゼロイチロクプロジェクト)

有田焼の新ブランド「2016/」(二ーゼロイチロクプロジェクト)

「2016/」は佐賀県の窯元や商社、これらと古くから親交のあるオランダが提携して作ったグローバルプロジェクトです。売り上げや担い手の減少に悩む有田焼を再興させたいと、佐賀県の16の窯元と商社が16組の国際的に活躍するデザイナーと協力し、発足させました。

「有田焼に変革を!伝統に新たな風を!」と、新たな製品を作り、発表しています。

「2016/」の製品

RimPlate240 φ24 x H1.6cm プレート

釉薬のムラが良い味を出しているシンプルモダンの皿。さまざまな料理に合いやすいブラックの一品は、普段使いにおすすめです。

TeaCup φ9.2 x W11.5 x H7.5cm ティーカップ

シンプルかつおしゃれなティーカップ。伝統の「高台」をイメージした部分は白が映えるダークブルー。きりりとしたシックな色からは品の良さが感じられます。

ボウル260(ホワイト)

和洋中イタリアン、どの料理にも合うボウル。サイズはΦ260×H60mm。使い勝手も良いサイズです。

醤油さし(レッド)

有田焼で昔から特別な色とされる赤。目に付きやすい赤い醤油さしですが、すっきりとしたデザインはダイニングにもマッチします。