食品・食材意外と知られていない!パクチーの簡単な栽培方法とは

意外と知られていない!パクチーの簡単な栽培方法とは

タイやベトナムなど東南アジアのエスニック料理に使われる、独特の風味とクセのある香りが特徴のパクチーは、エスニック料理のブームとともに日本に伝わりすっかり定着したハーブの一つです。日本の気候風土とも相性が良く、栽培も比較的容易なことから国産のものが多く出回るようになりましたが、実は自宅でも簡単に栽培することができます。そこで今回は、自宅で楽しむことができるパクチーの栽培から保存方法について紹介します。

パクチーは1年草のハーブ

パクチーは1年草の植物
丈夫で育てやすくあまり手もかからないパクチーは、栽培の難易度が低いため初心者にもおすすめのハーブです。自宅のプランターで簡単に育てられるうえ、たくさん収穫できるとあって、パクチー好きな人を中心に人気となっています。

ただし、パクチーはセリ科の1年草です。1年草とは言葉どおり、まいた種が発芽して花を咲かせ、新しい種をつけて花が枯れる、というサイクルが1年で行われる植物のこと。そのため、毎年パクチーの収穫を楽しみたい人は、栽培後に種を収穫しておき翌年にまた種まきをして育てる必要があるでしょう。

 

パクチーの栽培環境

パクチーの栽培環境

パクチー栽培に必要なもの

パクチーは、苗で植え付けることも種をまいて栽培することもでき、どちらも園芸店で一年を通して入手することが可能です。

プランターについては、庭に地植えする場合は不要ですが、ベランダやテラスで育てる場合には、大きくて浅めのプランター、もしくは長めのプランターを選ぶと育てやすくなります。

苗を選ぶ際のポイント
大きな苗を選ぶと、茎や葉は硬く、香りも弱いパクチーが育ってしまう場合が多いため、なるべく小さいものを選ぶようにしましょう

プランターで育てる場合

プランターで育てる場合、プランターと土を購入しておきましょう。園芸店であれば、ハーブ専用土が販売されているので、それらを使うと肥料も不要で手軽です。

庭に地植えする場合

庭に地植えする場合、土壌を中和させるために石灰が必要になります。土壌の酸性度が高すぎると、作物にしっかりと栄養が行きにくくなり病気にかかりやすくなってしまうため、庭を耕して石灰を混ぜましょう。

また、葉にアブラムシなどの害虫が付きやすいため、忌避剤をスプレーするなどの対策は必須です。

注意
パクチーは食用であるため殺虫剤の使用は避けましょう

パクチーの栽培場所

パクチーは日当たりの良い場所を好み、日光に当たることでよく成長しますが、半日陰のような多少日当たりが悪い場所でも栽培は可能です。適温は20度~25度ぐらいで、真夏の直射日光と真冬の霜には弱いため注意する必要があります。

また、水はけの良い土がパクチーの栽培には適しているため、ハーブ専用土を用いるか、赤玉土と腐葉土を6対4程度の割合で混ぜた土を使用しましょう。

ポイント
プランター・鉢で育てる場合には、季節に合わせて日当たりの良い場所に移動しながら育てると良いでしょう

 

パクチーの育て方

パクチーの育て方

種まき・植え付け

パクチーの種まき・植え付け目安は、

  • 3月~6月ごろの春
  • 9月~10月ごろの秋

と2回あります。

春に種をまくと成長が早く、葉を収穫するまでの期間が短いため、すぐにパクチーを食べたい人におすすめです。

秋に種をまくと生育期間は長いですが、長期間の収穫が可能となります。しかし、厳しい寒さには弱いため、地植えで栽培している場合にはわらで霜対策行い、プランターで栽培している場合は室内に入れるなどの手入れが必要です。

種まきの場合

パクチーの種は、園芸店やインターネットで購入できます。ハーブの種の中では比較的大きく白っぽくて丸い形をしており、くるみのような固い殻に覆われた実の中に2つの種が入っています。

発芽させる際には、手で潰して割れ目を入れるか殻を少し傷つけるなどして2つの種に分け、一晩浸水させておきましょう。そうすることで、発芽率が良くなります。

準備できた種は深く植えず、そっと土の上に乗せて押さえる、もしくは薄く土をかける程度にします。

パクチーの種は一粒ずつまくと苗が育ちにくいため、5㎝間隔程度で一ヶ所に3粒~5粒ずつまとめて種まきをし、密集させて育てるようにしましょう。

MEMO
発芽してすぐの苗はとてもやわらかく細いため、少しの風が吹いただけでも倒れてしまう恐れがあります。密集させて育てることでそれぞれの芽が支え合い、お互いの生育を補助し合うのです

植え付けの場合

苗を植え付ける場合、植えてから収穫までの期間が短いため初心者でも比較的育てやすいです。苗を園芸店で選ぶ際には、小さめで茎がしっかりしていて、根元の葉が枯れていないものを選ぶようにしましょう。

また、パクチーは移植を好まないため、購入時のポットからプランターなどに植え付ける時には、根を崩さないよう注意し、大きくならないうちに鉢植えを行いましょう。

MEMO
パクチーは直根性(根が途中で分かれずに、まっすぐに伸びていく植物)のため、少しでも根にダメージが与えられてしまうとちゃんと育たなくなってしまいます

水やり・肥料

パクチーは、水を好む植物なため土の表面が乾いてきたらしっかりと水を与える必要があります。

特に乾燥しやすい夏場には、朝と夕方2回程度こまめな水やりをしましょう。

注意
夏場の昼間は暑さで水が熱せられてパクチーが傷んでしまうため避ける

一方で、水をやりすぎると根腐れしてしまうため、梅雨や秋の長雨の時期は調節が重要になります。特にプランターでの栽培は水がたまり根腐れしやすいため地植えよりやや控えめにしましょう。

また、種をまいてしばらくの間は、小さな種が流れてしまわないように霧吹きで慎重に水やりを行うようにしましょう。発芽するまでは土を乾かさないように気を付けます。

そのほか、梅雨の時期は雨風で葉と茎に泥が付くと、病気にかかりやすくなるため、置き場所を工夫したり、土の上にバークチップを敷いたりして防ぐようにしましょう。

手入れ

種まきをして栽培する場合、種をまいた後、5日ほどで発芽し、細長いふた葉を付けます。さらに2週間ほど経つとギザギザした葉の形の本葉が出てきます。

しばらくして大きくなってきたら、元気な苗を残して間引きの手入れをします。適切な間引きを行わないと、苗が大きく育たず、病気の原因にもなるので気を付けましょう。

花になる茎が出てきたら、花が咲く前に茎ごと摘み取ります。花が咲いた後は種子ができて枯れるため、それ以上葉が増えなくなってしまうためです。

また、花が咲くと葉が硬くなってしまうため、葉をたくさん収穫して食用にしたい場合は、花芽の下の方で剪定しておきましょう。

害虫対策

庭植えのパクチーに特に付きやすい害虫が、

  • アブラムシ
  • ハダニ
  • ナメクジ
  • ヨトウムシ

です。葉の裏に、いつの間にかアブラムシがびっしり付いていることもありますので注意しましょう。

ナメクジや幼虫は棒で取り除き、アブラムシには木酢液や牛乳を薄めたものを吹きかけると効果的と言われています。ただし、食用にすることを考えると、殺虫剤はできれば避けたいところです。

収穫

パクチーは、背丈が20cmぐらいで葉が10枚程度付いてきたら収穫の適期になります。葉が増えてきたら、下の方からどんどん摘み取っていきましょう。

注意
一株から一度に多くの葉を収穫すると株が弱るので、4枚~5枚は残して収穫する

 

パクチーの保存方法

パクチーの保存については、冷凍・冷蔵・乾燥などの保存方法があります。

常温で保存しても大丈夫?

パクチーを常温保存する場合は、乾燥に弱いため水を入れたコップに浸けて、3日程度で使用します。ただ、収穫後は傷みやすく鮮度もおちるためあまりおすすめできません。

冷蔵で保存

パクチーを冷蔵庫に入れる場合には低温になりすぎない野菜室で保存し、1週間ほどで使い切るようにしましょう。

きれいに水で洗った後、5分ほど水に浸けてシャキッとさせ、葉の部分は腐らないように水気をふき取っておき、根元の部分だけ濡らしたキッチンペーパーを巻き付けて保存容器やポリ袋に入れて保存します。

使用する際に、また水に漬けるとシャキっとした状態に元なります。

冷凍で保存

パクチーは冷凍することで長期保存が可能になります。

洗ったパクチーの水気をふき取り、根と葉を切り落としてそれぞれに分け、

  • 根元は使いやすい分量に分けてから
  • 葉と茎の部分は細かく刻んでから

ビニール袋かラップで包み、空気を抜いて冷凍庫に入れましょう。解凍後は加熱調理のスープなどに加えて使用します。

乾燥させて保存

乾燥させるのは茎の硬い部分や根元がおすすめで、洗ったパクチーの茎を細かく刻み、ペーパータオルに乗せて室内の日陰で1週間ほどかけて乾燥させ瓶などに入れて保存しましょう。

注意
パクチーを乾燥させて保存すると、特有の香りは弱まってしまう

また、ペーパータオルに刻んだパクチーの茎を乗せて電子レンジで2分ほど加熱し、乾燥させることもできますが、香りはさらに飛んでしまうため、用途を考えて保存することをおすすめします。

好き嫌いの分かれる味「パクチー」に隠された驚きの効能! 好き嫌いの分かれる味「パクチー」に隠された驚きの効能!

 

こまめな水やりと日当たりにさえ気を付ければ、手入れも比較的簡単であっという間に育ってくれるパクチー。フレッシュなパクチーをたっぷり摘み取って、いつもの料理にプラスしてエスニックな味わいを気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。