食品・食材大地の恵みがたくさん詰まった「高原野菜」のおいしさのひみつ

大地の恵みがたくさん詰まった「高原野菜」のおいしさのひみつ

冷涼な気候で大地の恵みを受けて育つ高原野菜は、やわらかく野菜本来の甘みが強いことで知られています。今回は、野菜が苦手な人でもおいしく食べられる高原野菜の魅力に迫ります。

高原で栽培される野菜「高原野菜」

高原で栽培される野菜「高原野菜」

高原野菜とは

夏でも冷涼な標高1,000m~1,500mほどの高原地帯で栽培される野菜類を「高原野菜(または高冷地野菜)」と呼び、レタス・キャベツ・ハクサイなど40種類以上が栽培されています。昼夜の寒暖差によって夏の朝に霧が生じることで野菜の葉に潤いが保たれ、みずみずしくやわらかな食感と甘みのある高原野菜が育ちます。

長野県軽井沢では明治半ばから外国人の別荘が建てられるようになり、地域住民との国際的な交流が行われるなかで高原野菜の栽培方法が伝わりました。当時この地域での農業はヒエやアワといった雑穀がメインでしたが、キャベツやハクサイなどに適した気候であることが分かったため、高原野菜の栽培へと移行し、やがて近隣の地域にも広がっていきました。

近年の主な高原野菜の栽培地は、長野県の八ヶ岳山麓や野辺山原、浅間山山麓、菅平、群馬県の嬬恋などになります。

高原野菜の特徴

夏季も涼しい気候や昼夜の温度差・霧といった高原の環境によって、外観は色鮮やかで美しく、食べるとやわらかく甘いのが高原野菜の特徴。

ポイント
抑制栽培によって平地の野菜と出荷時期をずらせることが商品価値を高めている理由の一つ。

高原野菜は先述したレタスやキャベツ・ハクサイのほかに、セロリやパセリ・ホウレン草・とうもろこし・ブロッコリー・アスパラガス・大根など多岐にわたります。

 

JA長野八ヶ岳で採れる高原野菜

JA長野八ヶ岳で採れる高原野菜

JA長野八ヶ岳について

八ヶ岳の東麓に広がる標高850m~1,500mの地域にあるJA長野八ヶ岳(正式名称:長野八ヶ岳農業協同組合)は、平成13年に5つのJA(小海、長野川上、南牧、南相木村、野辺山開拓)が合併して誕生しました。

その管轄地域は群馬・山梨・埼玉に隣接した1町4村(小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村)からなり、高原野菜など特徴ある品目の生産や夏野菜の一大産地として有名です。

年間平均気温およそ8度の冷涼な環境で栽培された安全・安心な新鮮野菜は、みずみずしさとおいしさを保ちながらJA長野八ヶ岳から全国の消費者へ届けられています。

おいしさのひみつ

標高1300mの主峰赤岳を中心に広がる八ヶ岳連峰から流れる雪解け水・清涼な空気・さんさんと降り注ぐ日光・少ない降水量・冷涼な気候・よく腐熟した栄養豊富な土などの恵まれた環境要因と農家のたゆまぬ努力によって、やわらかくておいしい野菜が育まれています。

育成期間が200日にも及ぶ高原野菜の収穫は午前3時から始まり、JA長野八ヶ岳に集荷された後、検査員が厳しくチェック。採れたての鮮度を長時間保つため、空気を抜きながら急速に冷やす真空冷却設備を導入した予冷庫で出荷まで保管されます。

そして、野菜が傷まないよう専用の保冷トラックで集荷場から卸市場まで運ばれます。一定の低温を保ちながら産地から小売店まで運ぶ流通方法はコールドチェーンと呼ばれ、鮮度抜群の高原野菜は最短でその日のうちに小売店へ並ぶことも。

八ヶ岳で採れる高原野菜

野辺山高原ハクサイ

一日の寒暖差が大きい野辺山高原では、夜になると急激に冷え込むため、朝露や霧から水分がたっぷりと補給された甘くて締まりの良いハクサイが育ちます。また、秋に霜が降りるとさらにやわらかく甘くなります。

出荷時期は6月中旬~11月上旬。素材の良さを活かしてそのままサラダや漬物にするとビタミンCやミネラルをしっかりと摂取することができ、また、和洋中のいずれの料理でも幅広く活躍します。

高原キャベツ

しっかりと葉が巻かれて甘みが詰まった高原キャベツは、7月上旬~10月中旬が出荷時期となります。定番のロールキャベツやお好み焼きも、高原キャベツで作れば格別のおいしさを楽しめること間違いなしです。

八ヶ岳生とうもろこし

茹でたり焼いたりはもちろんのこと、生で食べてもおいしいのが八ヶ岳生とうもろこしです。ピクニックコーンという希少品種で、手のひらサイズの小ぶりなとうもろこしには皮のやわらかい粒がぎっしりと詰まっています。糖度は約20度で、糖度が約16度の富良野メロンより甘いという驚きの逸品です。

果物のように甘くてジューシーな八ヶ岳生とうもろこしはこだわりの減農薬で育てられ、新鮮な朝採れがその日のうちに販売・出荷されています。収穫期は7月下旬~9月中旬。

 

高原野菜を利用した地域活性

高原野菜を利用した地域活性

原村収穫体験モニターツアーによる田舎暮らし体験会

日本一の生産量を誇るセロリをはじめ、ブロッコリーやレタスなどの高原野菜の産地として有名な長野県諏訪郡原村(はらむら)。その魅力を県外に住んでいる人々にも知ってもらうため、「原村収穫体験モニターツアー」という日帰りの企画が作られました。

八ヶ岳麓の自然豊かな環境で生産された原村の農産物を収穫した後、その新鮮な野菜を昼食で味わうことができます。原村には新宿駅西口から貸切バスに乗り3時間ほどで到着。高原野菜の収穫体験と昼食後は、たてしな自然農園で買い物をすることができ、19時ごろに新宿駅西口で解散となります。

2017年は9月2日(土)と9月9日(土)の二度の開催。参加料は一人あたり2,000円(大人も子どもも同額)で、収穫体験と昼食の場所は原村にある八ヶ岳中央農業実践大学校になります。申し込みや問い合わせは、ツアー代理店である近畿日本ツーリスト株式会社松本支店まで。

川上村の高原野菜を活用した取り組み

長野県南佐久郡の川上村は、高原野菜における川上ブランドの確立と推進、マーケットの新規開拓を行うことで、農業の振興と消費拡大に取り組んでいます。

川上産の高原野菜が安全かつ高品質であることを国内外で広く知ってもらうため、テレビCMやスポーツ会場での川上産レタスの配布などさまざまなPR活動を実施。また、安全・安心を重視する台湾へレタスの輸出も行っており、台湾の消費者からも支持されています。

川上村の安全・安心の取り組みとしては、生産者が栽培防除日誌を付けることでの管理や、外部調査機関による残留農薬調査、土壌診断による適正最小限の施肥が挙げられます。

新鮮な川上産の高原野菜を東京・大阪・名古屋といった消費地にできるだけ早く届ける取り組みとしては、高速輸送が行われています。涼しい早朝に収穫された野菜は、常に低温で品質管理されながらスピーディーに全国各地へと出荷されます。

また、煮たり炒めたりしてもおいしく食べられる「リバーグリーン」と「サワーアップ」という川上村ブランドレタスの開発に成功。市場や消費者から認知され、定着することが期待されています。

 

清々しく豊かな環境で真心込めて育てられた高原野菜には、あふれんばかりのみずみずしさと甘み、野菜本来の風味が詰まっています。硬い繊維やえぐみを感じないので、野菜嫌いの方にもおすすめ。おいしくてフレッシュな高原野菜をご家庭でもお試しください。