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伊勢名物 赤福餅
赤福餅
伊勢名物といえば言わずと知れた株式会社赤福が販売する「赤福餅」。伊勢どころか中京、ひいては近畿の駅の売店でも販売されているほど有名で人気のある定番のお土産です。
薄赤色の包装紙に包まれた化粧箱。フタを開けると、絶妙なやわらかさのまっしろな餅をなめらかなこしあんで包んだお菓子がぎゅっと綺麗に詰められています。
1907年に亀山駅と山田駅で出張販売をスタート。そこから長い間、定番のお土産としての地位を維持し続けています。本店は伊勢神宮の内宮の前にあるお土産屋と飲食店ひしめく「おかげ横丁」にあり、連日多くの観光客でにぎわっています。そこではお盆に乗って温かい伊勢茶と一緒に提供され、お土産用の折箱に入った赤福餅とは違った雰囲気で味わうことができると人気になっています。
赤福の歴史
赤福は江戸時代の中期にあたる1707年に創業。この年は「宝永大噴火」と呼ばれる富士山の噴火が起きた年です。日本国内最後の内戦である西南戦争が終戦を迎えた1877年には、現在の赤福本店と同じ場所に建て直されました。
俳人である正岡子規に詠まれたり、昭憲皇太后が伊勢神宮を参拝した際に赤福餅を献上されたりなど名実ともに伊勢を代表するお菓子となっていきました。
太平洋戦争末期から戦後すぐにかけては休業しますが、営業再開後は順調に売り上げを伸ばし1954年に株式会社赤福となります。その後もテレビコマーシャルを開始したり、伊勢観光を代表する「おかげ横丁」の企画運営を行ったりと精力的に活動を続け、2007年には創業300年を迎えています。
朔日餅
赤福といえば毎月1日(1月を除く)に販売される「朔日餅(ついたちもち)」も長い間人気を誇っています。月によって販売される餅の種類が異なり、
- 2月:立春大福餅
- 3月:よもぎ餅
- 4月:さくら餅
- 5月:かしわ餅
- 6月:麦手餅
- 7月:竹流し
- 8月:八朔粟餅
- 9月:萩の餅
- 10月:栗餅
- 11月:ゑびす餅
- 12月:雪餅
という季節感あふれるラインナップになっています。
朔日餅は成田空港が開港した1978年に販売が開始。伊勢周辺には毎月1日に前月の無事を感謝してその月の無事を祈る「朔日参り」という風習があり、その参拝者へのお菓子として始まりました。すると瞬く間に評判が広まり、毎月1日には早朝から長い行列ができるほどの人気となり、赤福を代表するお菓子の一つとなりました。
赤福以外も!三重でおいしいお菓子
笹井屋本店 元祖なが餅
伊勢から名古屋方面へ電車で約1時間、三重県北部の中心都市である四日市市。その四日市市の銘菓といえば「笹井屋」が製造・販売する「なが餅」。薄く細長い餅でつぶあんを包み香ばしく焼いたお菓子です。香ばしい香りともちっとした触感、さらりと甘いつぶ餡がやみつきになる素朴な味です。
伊勢神宮へ向かう参宮街道は「餅街道」とも呼ばれ、道中には名物の餅が数多くあります。なが餅もその一つ。茶屋街のある日永という地名にちなんで「永(なが)餅」と命名されました。笹井屋は1550年の創業からなが餅一筋という歴史あるお店。名古屋駅構内の売店において赤福餅と並んで販売されているほど中京ではメジャーなお土産です。
伊賀菓庵山本 かたやき
伊賀市は三重県の北西、奈良県・滋賀県・京都府と接する関西に近い城下町です。伊賀忍者や伊賀上野城が有名で、三重県の主要な観光地の一つとなっています。そんな伊賀の名物お菓子といえば「かたやき」。日本一硬いせんべいとして有名で、木槌でかち割り、唾や茶でふやかせて食べるのが一般的です。
伊賀忍者に非常食として重宝されたかたやきはお土産としても大人気。1852年創業の「伊賀菓庵山本」は、かたやきで有名です。お店は戦災を免れたために古き良き商店が数多く残る伊賀上野の商店街にあります。
味は元祖の胡麻や青のり・ピーナッツなど6種類。手裏剣の型も作られています。直営店以外でも近畿の百貨店やサービスエリアで販売しています。
シェル・レーヌ
「シェル・レーヌ」は鳥羽市の洋菓子店であるブランカが誇るマドレーヌです。鳥羽市は三重県の南東、志摩半島に属するカキや真珠で有名な場所です。シェル・レーヌは、その名のとおり貝を模したもので、名産である真珠貝に見立てています。
ブランカは1978年に創業。主力商品であるシェル・レーヌが人気を博し、1994年には日本最大級の菓子展示会である全国菓子博覧会において名誉総裁賞を受賞します。
膨張材や保存料などの添加物は不使用。生地には地元企業が真珠貝から作るパールシェルカルシウムを練りこみ、卵は鳥羽産、小麦粉は三重県産と地元ならではの素材にこだわりを持っています。
2016年に開催されたG7伊勢志摩サミットではコーヒーブレイクのお菓子に選ばれ、「志摩半島といえばこれ」というほどに有名な洋菓子の一つとなっています。
三重県でおすすめのお土産
伊勢うどん
三重県の伊勢でよく食べられているうどんです。一般的な汁に浸ったうどんではなく、ぶっかけうどんのように少量のだし汁をかけて食します。
一般的な特徴的として、
- たまり醤油に和風の出汁を加えた黒いタレ
- 直径が1㎝前後と太く箸で持ち上げたら切れてしまいそうなほどやわらかくて温かいもちもちの麺
- 刻んだネギだけの具
というのがあります。
江戸時代より前から伊勢で食されていたと言われていますが、当時は伊勢うどんという敬称はなく単に「うどん」と呼ばれていました。それを1972年に伊勢うどんと呼ぶことで統一。2008年には地域団体商標に登録されています。また、伊勢うどん協議会は伊勢市内で伊勢うどんを提供する飲食店を登録しています。
伊勢観光のメインとなる伊勢神宮の内宮前にあるおかげ横丁でも提供している飲食店が数多くあります。お土産としても麺とタレがセットになったものが数多く販売されており、常温・冷蔵生麺・冷凍に分かれています。
三重大学カレー
三重大学は県庁所在地のある津市に本部を置く、三重県を代表する国立大学です。「三重大学カレー」は、三重大学の大学院生物資源学研究科部の練習船である「勢水丸」が新しくなったことを記念して2009年に販売されたオリジナルのカレーです。食品会社に勤務する元乗船員である卒業生たちを中心に開発が行われました。
「ソウダ節」を出汁に使っていることが特徴で、和風の風味が評判となり、大学ブランドカレーで全国トップクラスの売り上げを誇っています。また、大学生協の食堂において420円で食べることができ、生協の購買ではレトルトカレーとして1袋310円でも販売されています。
貝新 時雨蛤
三重県桑名市の名産といえば時雨蛤(しぐれはまぐり)。蛤に生姜を加えて佃煮にしたものです。桑名市は四日市市のさらに北に位置し、愛知県や岐阜県と接します。名古屋のベッドタウンであり工業地帯でもありますが、蛤の産地としても有名。古くから桑名といえば蛤というほどの名産です。
時雨蛤を製造する総本家貝新も古くから蛤を生業にしており、初代の貝屋新左衛門が命名。その初代の名前から「貝新」の屋号が誕生しました。熱々のごはんの上に乗せてそのまま食べることもありますが、出汁で煮出した番茶をかけて茶づけにする調理法が人気です。
赤福も三重県を代表するおすすめのお土産ですが、それ以外にも県内で愛される名産・特産は数多くあります。一度口にしてみればやみつきになること間違いなしです。