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山梨のワイン「甲州ワイン」
かつては甲斐の国、別称「甲州(こうしゅう)」と呼ばれていた山梨県は、昔から日照時間が長く雨が少ない気候のため、ブドウ作りやワインの生産に適した土地柄でした。山梨県には、ブドウの生産がスタートしてから約800年以上の長い歴史があります。
甲州ワインとは
甲州ワインとは、「甲州ブドウ」という山梨県固有の白ブドウの品種を用いて作られたワインのことです。その味は繊細で非常に上品とされ、世界から高い評価を受けています。
味わいは醸造方法によって異なり、香りもさまざま。近年は辛口が主流となっていますが、甘口やスパークリングタイプ・アロマティックタイプなど数多く流通しています。
甲州ブドウとは
ワインに使用されている「甲州ブドウ」の果皮は赤紫色で、顆粒は白ブドウの透明なうす緑。大きさは同じブドウの品種である巨峰より二周りほど小さく、1粒あたりの重さは4g~5gほど。
果肉はやわらかく、甘みのなかに適度な酸味があり、わずかな渋みを感じることもあります。ワインの素材としてだけでなくそのまま食用としても流通しています。
ブドウはシルクロードを経由して日本に入ってきたとされています。日本での甲州ブドウの発見については、平安時代に産地である勝沼で勘解由(かげゆ)という人物が発見したという説と、奈良時代に僧が発見したという二つの説が有力とされ、それ以降、食用ブドウとして栽培されてきました。
山梨のワインの歴史
殖産興業の一環としての製造開始
江戸時代までは食用や加工用としての用途が一般的であったブドウですが、明治時代に入り、政府は殖産興業の一環としてブドウ栽培・ワイン醸造を奨励するようになりました。
1870年、その流れに乗っていち早くワインの醸造にチャレンジしたのが、山梨県甲府市の山田宥教(やまだ ひろのり)と詫間憲久(たくまのりひさ)の二人でした。彼らは「ブドウ酒共同醸造所」というワイン醸造所を設立し、日本で産業として初めて国産ワインの製造を行ったのです。
しかし、技術の低さによって経営難に追い込まれ、2年後には廃業。その後は多くの人が国内でのワイン製造に挑戦するも、失敗に終わります。
そして、1877年に「大日本山梨葡萄酒会社」が日本初の民間ワイン醸造所を設立します。この会社から高野正誠(たかのまさのり)と土屋竜憲(つちやたつのり)の二人の若者がフランスに派遣され、2年間の留学を経て、宮崎光太郎(みやざきこうたろう)という協力者と国内でワインの醸造をスタートさせました。
技術面が未熟であったことや日本人の舌に馴染みがなかったことなどから1886年に解散することになりますが、土屋と宮崎は新たに「甲斐産葡萄酒醸造所」を設立。国内最初の本格ワイン「大黒天印甲斐葡萄酒」を世に送り出しました。
苦難の末に開花
それから紆余曲折を経て、大黒天印甲斐葡萄酒は大黒ブランドとして世の中に浸透。1934年には「大黒葡萄酒株式会社」が誕生します。これが後のメルシャン株式会社となり、山梨だけなく日本のワイン製造の原点となったのです。
1900年代当時は、山梨ワイン(日本のワイン)はなかなか浸透しませんでしたが、2000年代に入ると、ワインの香りの世界的権威であるボルドー大学による甲州ワインを中心としたワインの研究や開発が進み、世界的なコンクールでも評価されるようになりました。
また、2009年には山梨のワイン生産者を中心に「KOJ(Koshu Of Japan)」が設立され、甲州ワインの品質向上と世界進出に向けての動きが本格的にスタートします。
通販でおすすめの山梨ワイン
甲州ブドウを使用した甲州ワイン、また、山梨で製造されている甲州ワイン以外の山梨ワインを紹介します。
甲州ワイン
シャトー・メルシャン 甲州きいろ香
先述のメルシャンを代表するワインの一つです。甲州ブドウの魅力を最大限に引き出すため、ボルドー大学の研究室の協力を経て誕生しました。
レモンやグループフルーツなど柑橘系の爽やかな香りに加えて、口に含むとフレッシュな酸味とミネラル感が口中にバランス良く広がります。辛口で、グリーンサラダや白身魚の刺身にマッチします。
中央葡萄酒 グレイス グリド甲州
1923年に山梨県勝沼町で創業した「中央葡萄酒」は、日本のワインをリードしてきたトップワイナリーの一つ。その実績は世界でも認められ、国際コンクールにおいても数多くの受賞歴を誇ります。
「グレイス グリド甲州」は、ブドウのおいしさを素直に感じられる飲み心地の良い甲州ワイン。料理との相性を第一に考えて製造されているため、親しみやすい味わいに仕上げられているのが特徴です。さまざまな賞を獲得するなど、国内外でも高い評価を得ています。
富士山ワイナリー シゼンワイン
富士山の南山麓に位置する静岡県富士宮市にあるワイナリーが「富士山ワイナリー」です。静岡県にあるものの、甲州ブドウを使用した甲州ワインを製造しているため、山梨ワインに分類されます。
「シゼンワイン」は、高名な醸造家でもあるボルドー大学の教授と手を組んで生まれた日本で初めての世界に認められているワイン。100%甲州ブドウが使われた甲州ワインは、柑橘類を感じさせる軽く爽やかな香りによって繊細な日本料理と良い相性です。
まとまった数量をEUに輸出した日本初のワインであり、アジアのワインとして国際的に認められた初めてのワインでもあります。
甲州以外の山梨ワイン
まるき葡萄酒 デラウェアにごり
スーパーでも取り扱われているお馴染みのブドウ「デラウェア」を使用したワインです。早摘みされた酸味の強いデラウェアを使うことによりフレッシュ感が表現されています。
蒼龍葡萄酒 フリージングワイン 赤
山梨県産のブドウ「マスカットベーリーA」の果汁を冷凍濃縮し、無補糖で醸造された赤のデザートワインです。デザートワインという名前のとおり甘みの強いワインのため、辛口のワインが苦手な方におすすめです。
敷島醸造 マウントワイン 甲州小梅ワイン
山梨県甲斐市に広がる「梅の里」で収穫された「甲州小梅」を醸造してできたスパークリングワインは、梅の実の香りと酸味、爽やかな風味が特徴です。こちらも甘口のため、辛口のワインが苦手な方におすすめです。
ワインを楽しむお祭り「山梨ヌーボー祭り」
山梨ヌーボーとは
「山梨ヌーボー」とは山梨ワインの解禁日のことです。山梨ではさまざまな品種のブドウがワインに使用されていますが、そのなかでも日本固有のブドウ品種である「甲州ブドウ」と「マスカット・ベーリーA」で造られた新酒ワインの解禁日のことが「山梨ヌーボー」と名付けられました。2008年からは11月3日が解禁日とされています。
山梨ヌーボー祭り
解禁日である山梨ヌーボーの日を皮切りに「山梨ヌーボー祭り」が開催されます。このイベントは山梨県だけでなく県外の各地でも開催されており、それぞれのワイナリーが丹精を込めて造り上げた新酒ワインを味わうことができます。
2017年に甲府市で開催された山梨ヌーボー祭りでは、38ワイナリー、60銘柄以上の新酒ワインの試飲・販売会が行われました。
ワインと言えば欧州のイメージが強いですが、いまや山梨のワインも世界を代表するワインの一つです。ぜひさまざまな種類を試してみてはいかがでしょう。