温泉費用が医療費に
温泉旅行に使用した費用を経費として計上してしまえば良い、というわけではありません。
仕組みとしては単純で、温泉旅行にかかった費用を医療費として確定申告の際に申請し、年10万円の医療費控除を受けるというものです。そうすることで、温泉施設の利用料金と交通費などが温泉療養というカタチで所得から控除されます。
もともと日本では、戦で傷を負った武士や病気を患った人が湯治を行っていたという歴史があるため、温泉療養は古くから続くれっきとした治療方法であると言えるでしょう。
しかし、あくまでも形式上は医療のために温泉を利用するという扱いになるため、厚生労働大臣が指定する「温泉利用型健康増進施設」のみが医療費控除の対象となります。
温泉利用型健康増進施設とは
では、温泉利用型健康増進施設とはどのような施設を指しているのでしょうか。それは、以下の項目を満たしている必要があります。
- 温泉を用いたさまざまな種類の入浴設備と運動設備が備えられている
- 温泉利用指導者の資格を持った専門スタッフが在籍している
- 温泉医療に詳しい温泉療法医が在籍もしくは提携している
- 安全面の管理から応急処置の技術まで、生活指導全般に精通している
つまり、さまざまな設備が混在したスパで、かつ、利用者に何かがあった場合でもすぐに対処ができる施設、ということです。また、これらの条件を満たした施設は2018年時点で21か所あります。
認定施設の例
では、認定施設のいくつかを見てみましょう。
福地温泉 バーデパーク アヴァンセふくち
アヴィンセふくちには、子どもから高齢者までさまざまな人が健康維持と体力作りを行える施設となっています。
浴槽は、
- 深さは、浅いものから楽々肩が浸かるものまで
- 温度は、20度~40度前後まで
と異なる大きさで構成されており、これによって心身の疲れを癒やし、心地の良いくつろぎ感が得られるとされています。また、在籍しているスタッフが利用者の状態にあわせて適切なアドバイスとサポートを行ってくれるため、どんな人でも安心です。
青森の豊かな自然に囲まれた部屋で、新鮮な海の幸・山の幸をゆっくりと堪能しながら、ぜいたくな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
マホロバマインズ三浦
東京湾を一望することができるマホロバ・マインズ三浦は、三浦半島で採れる幸を存分に味わえる至福のリゾートホテルです。
水着で入れる温泉施設には、温水プールをはじめとして、気泡浴・水流浴・運動浴・打たせ湯・ミストサウナ・トレーニングジムなどさまざまな設備が完備されています。
また、スパ施設とは別に露天風呂もあり、こちらは夜に入ると星空が眺められるなんともロマンチックな天然温泉となっています。運が良ければ流れ星を見ることもできるかもしれません。
7日以上の制限
ただし、医療費控除となるためにも条件はあります。普通に温泉に行って帰ってきただけでは対象とはなりません。それは、指定された施設を一ヶ月の間に7日以上宿泊していなければならないという条件です。
では、なぜ7日間も宿泊しなければならないのでしょうか。
それには医学的な意味も込められています。人間の体は一週間温泉に入浴をすると、本来の健康的な状態に回復するであろうと考えられているのです。異常だったホルモンの値が正常値に戻ったとの研究結果も残されています。
そのため、一泊二日の温泉旅行では温泉療養としての効果は発揮されないとして、7日以上の温泉利用が条件となっているのです。
必要な手続きは?
指定された施設や施設の利用条件について話してきましたが、確定申告に関わることですので、もちろんちゃんとした手続きも必要です。
手続きの方法から確定申告までの流れを以下より順に見ていきましょう。
- 手順1医者に相談するまずはかかりつけの医者などに相談してみましょう。そこで温泉療法医や認定施設と提携している専門医を紹介してくれるでしょう
- 手順2温泉療養指示書をもらう自分がどのように温泉に入浴するべきかなど細かな指示が記載されたオーダーメイドの書類を医師に作成してもらいます
- 手順3認定施設へ行く指示書を受け取ったら認定施設へと向かいましょう
- 手順4温泉療養を行う指示書の内容に基づいて、指導者のもとで療養を行います
- 手順5領収書と証明書を受け取る温泉療養が完了したら、領収書と温泉療養証明書を受け取ります
- 手順6確定申告確定申告の際に医療費として申請をしましょう
以上の流れで手続きを行えば、温泉療養で使用した施設利用料・交通費拝領費として控除されるでしょう。
認定された温泉施設のみでしか控除の対象にならず、かつ、一ヶ月のうちに7日以上利用しなければならないため、少しハードルは高いように感じるでしょうが、温泉で心と体をリフレッシュできるうえ税金が戻ってくるというのであれば、たいへんに素晴らしい制度だと言えるでしょう。
また、高齢化社会の進む中で、高齢者の娯楽ともなり得る温泉が健康を回復させるとなれば使わない手はありません。