歴史ある日本の伝統工芸伝統工芸品「南部鉄器」400年の歴史と未来への展望

伝統工芸品「南部鉄器」400年の歴史と未来への展望

岩手県の伝統工芸品である南部鉄器。実用性に優れ、茶釜や急須などの日用品として400年以上使い続けられてきた歴史を持ち、その美しいたたずまいから美術品としての価値も見出されています。また、南部鉄器は鉄分を体内に吸収しやすいとも言われています。

急須や鉄瓶としての南部鉄器

急須や鉄瓶としての南部鉄器

伝統工芸品である南部鉄器は、現代の生活様式にあわせて、洋風の部屋に合うモダンなデザインの品やIH対応が可能な品も多く発表されており、身近な日用品として数多くの家庭で利用され始めています。

なかでも特に人気の高い、急須・鉄瓶・フライパン・鍋について見ていきましょう。

急須

及源鋳造 急須 平型糸目

燗瓶(かんびん)に似ている少し変わった形をした「及源鋳造(おいげんちゅうぞう)」の急須は、落ち着きがあってモダンを感じさせます。サイズは、縦14cmx横16.5cmx全高12cmと小ぶりで、0.4Lのお湯が入ります。テーブルの上に置いても邪魔にならず、おしゃれな雰囲気を演出してくれるでしょう。

燗瓶
お酒を加熱するための瓶のこと

鉄瓶

盛栄堂 鉄瓶 八角

その名のとおり八角形をした鉄瓶である八角は、水沢の老舗「盛栄堂(せいえいどう)」の手によるものです。シャープな美しさを持つ鉄瓶は、大きく見えますが案外小ぶりです。

縦12.2cmx横15.3cmx全高17.5cm(持手含む高さ)で、0.8Lのお湯が入ります。和モダンという言葉がぴったりの鉄瓶です。

フライパン

岩鋳 フライパン24 蓋付

和風料理にも洋風料理にもよく合う岩鋳のフライパンで、100V・200VのIH調理器で使用できるのがポイント。蓄熱性に優れたフライパンと重みのある蓋がうまみを閉じ込め、料理をさらにおいしくしてくれます。

「岩鋳(いわちゅう)」の創業は明治35年。製品に施されている刻印は高品質の証です。

盛栄堂 南部ごはん釜 3合炊

「南部鉄の釜で炊いたごはんはおいしい」と聞いたことはないでしょうか。実際に、この南部ごはん釜を使ってみると「びっくりするほどおいしかった」という人が続出しています。

IH対応で炊き上げ時間も炊飯器より短め、炊き上がったお米はつやつやでふっくらもちもち、と良いことづくしです。丸いフォルムをした3合炊きの釜は「盛栄堂(せいえいどう)」の一押し製品です。

 

次世代の南部鉄器カラーポットとは

「南部鉄器は黒!」というイメージを覆したのがカラーポットです。シンプルで鉄の美しさを引き立たせる黒も美しいのですが、白やピンク・青といった色合いもマッチしています。洋風の部屋にもよく合うことから外国人にも評価の高い商品です。

2009年に誕生した新しいブランド「壱鋳堂(いっちゅうどう)」は、伝統的な南部鉄器を用いて新たなデザインとカラフルな色合いの製品を誕生させています。

南部鉄器 急須 壱鋳堂 ティーポット胡桃

コロンとした胡桃のような形状をしているティーポットです。容量は0.5Lと0.7Lの2タイプ。

0.5Lタイプのカラーバリエーションはブラックをはじめ、ジャパンブルー・ローズピンク・カパーブラックなど全部で7色。0.7Lタイプにはローズピンクとプレミアムアイボリーの2色があります。

南部鉄器 急須 壱鋳堂 ティーポット雫

「これが南部鉄器?」と驚くような斬新さを持つティーポットです。水滴をモチーフとしており、ゆるやかな曲線は見ているだけで癒やされます。「胡桃」と同じくカラーは7色で容量は0.65Lとなります。

 

南部鉄器の使い方とお手入れ方法

南部鉄器の使い方とお手入れ方法

南部鉄器は正しい使い方、ちょっとしたお手入れを続ければ長く使い続けることができ、深い味わいも出てきます。そこで、鉄瓶・急須・鉄鍋それぞれの正しい使い方とお手入れ方法を紹介します。

鉄瓶

使用前

鉄瓶の8分目くらいまで水を入れ、お湯を沸かします。沸かしたお湯が赤くなる場合があるので無色になるまで3回ほど繰り返しましょう。

使い始め

使い始めて数日すると、鉄瓶の内部に赤い斑点が発生しその後数日で白い湯垢が見えてきます。湯垢が内部を覆った状態になれば、お湯がおいしくなったサインです。

注意
湯垢が出るまでは鉄瓶のならし期間なので、ゴシゴシこすらないようにする。

使用後

水分をしっかり拭き取ってから保管することが重要です。布巾を使う場合はゴシゴシこすりすぎないようにしましょう。蓋を開けて予熱で乾かしたり、弱火に少しかけて乾燥させる方法もあります。

ならしの期間
ならし期間中は毎日使うようにしましょう。また、長期間使わずにいると再度ならしから始めることになるため、最低でもひと月に一度は使用することが望ましいです

急須

使い始め

全体をぬるま湯でよく洗います。

使用後

水分をよく拭き取りましょう。蓋や注ぎ口やなど、水分が残りやすい場所に注意してください。

注意
長時間急須にお茶を入れたままにしない。

鉄鍋

使い始め

水でよく洗い、水分をしっかり拭き取ってから薄く油をひきます。においが気になる場合は野菜くずを炒めてみましょう。

使用後

汚れをよく落とし、水分を予熱か弱火で飛ばしましょう。片付ける前に薄く油をひいておくと錆止めにもなります。

鉄にさびはつきものですが、できるだけ錆を発生させないよう使用したらしっかり乾かすようにしましょう。また、空焚きは厳禁です。

鉄瓶はお湯が赤くなったらお手入れのサインです。煎茶や茶殻をお茶パックなどに入れ20分ほど煮詰め、お湯が無色になるまで数回繰り返しましょう。

さびが出てきてしまったら
布や歯ブラシでさびを落とし使い始めの作業からやり直してください。

 

南部鉄器とは

南部鉄器とは

南部鉄器の歴史と由来

古くより日用品として使われてきた南部鉄器ですが、厳密には異なる歴史を持つ二つの南部鉄器が存在します。一つは現在の岩手県奥州市水沢地区のもの、もう一つは岩手県盛岡市に城を構えた南部藩のものです。

  • 水沢の南部鉄器:平安時代後期、近江の国より鋳物師を招き日用品を作らせたことに始まる
  • 盛岡の南部鉄器:17世紀、南部藩が京都より釜職人を招き茶釜を作らせたことが発端

水沢地区の南部鉄器は岩手県の南部にあるため、盛岡市は南部藩が作ったもの、ということで名前の由来も異なっているのです。代が進むにつれ全国各地で鋳物(いもの)生産が盛んになりましたが、水沢地区と盛岡地区の製品のみが南部鉄器と呼ばれています。

 

簡単で便利なものがあふれる世の中ですが、良いものを丁寧に自分で育てるように使ってみると味が出て愛着がわいてきます。数百年という歴史を持ちながら常に新しい挑戦をし続けている南部鉄器。伝統工芸品は過去のものではなく昔から伝わった良いものを活かしていく日用品という証のように思えます。

東北から日本各地に、そして海外まで広がりをみせる南部鉄器は、これからも進化を続けていくことでしょう。