歴史ある日本の伝統工芸全国9割以上のシェアを誇る「高岡銅器」の過去と未来

全国9割以上のシェアを誇る「高岡銅器」の過去と未来

富山県西部に位置する高岡市で作られている伝統工芸品・高岡銅器。梵鐘や仏具、仏像や銅像をはじめ、食器、風鈴、花瓶など大きなものから小さなものまで作ることのできる技術は、日本のみならず海外でもよく知られています。

しっとりした鋳肌と自由かつ繊細な造形ができることが特徴の高岡銅器は、時間とともに鋳肌に深みが出てくることも魅力の一つです。

伝統工芸品「高岡銅器」

伝統工芸品「高岡銅器」

高岡銅器とは

伝統工芸品の高岡銅器ですが、日用品として使われるだけではありません。全国に置かれている数多くの銅像が高岡で作られている、ということをご存知でしょうか。なんと90%以上が高岡で作られているのです。

高岡銅器は、知らず知らずのうちに見たり触れたりしている身近な伝統工芸品と言えます。

高岡銅器の特徴・歴史

高岡銅器の起こりは、1609年(慶長14年)に加賀藩二代藩主・前田利長公が高岡城に入城したことに始まります。

その2年後にあたる1611年(慶長16年)、高岡城下の繁栄を図るため礪波郡西部金屋村(現・高岡市戸出西金屋)から7人の鋳造師が呼ばれました。

金森弥右衛門をはじめとした鋳造師は、高岡市金屋町で工場を建て鋳物の製造を始めました。なお、鋳物師たちは諸役の免除や関所の自由通過など、多くの特権を持っていたと言われています。

金屋町は火災を防ぐために高岡城下から千保川をはさんで向かい合っていたため、千保川の水と良質な川砂を使うことができ、鋳物作りは発展を遂げていくのです。

当初、金屋町では鍋や釜、農具などの日常的に使われる鉄器が作られていましたが、江戸時代天保・弘化年間(1830年~1848年)になると銅器の生産も始まりました。

錫、青銅、アルミニウム、真鍮(しんちゅう)を使ったものも作られ、研磨技術や着色などの技術も同時に発展していきます。

明治時代に入ると廃刀令が出て、多くの刀鍛冶が職を失いました。そこで刀鍛冶たちも銅器作りをするようになり、高岡銅器産業はますます盛んになっていきます。江戸時代から作られていた仏具をはじめ、茶道具や瓶掛、火鉢、置物などの美術製品も多く作られるようになります。

そして、1862年のロンドン万国博覧会や1867年のパリ万国博覧会に出展したことにより、日本のみならず世界各国に高岡銅器の名は知れ渡るようになりました。

日本各地には、「経済産業大臣指定伝統的工芸品」と認められた製品があります。

  • 主に日常生活で使用されていること
  • 手工業的であること
  • 100年以上の歴史があり現在も継続していること

など多くの規定がありますが、高岡銅器は制度が始まった1975年(昭和50年)に、高岡漆器とともに国の指定を受けています。

 

高岡銅器の製造工程

高岡銅器の製造工程

高岡銅器は鋳型の原型作りから始まります。できあがった原型を元に鋳造。表面加工を経て、細かな仕上げをして着色されます。

原型作り・鋳造方法

高岡銅器は、主に4つの鋳造方法で作られます。

蝋型(ろうがた)

蜜蝋や木蝋に松脂を煮合わせたものや、石油系のワックスで作られた鋳型を用いる方法。繊細な細工ができます。

焼型(やきがた)

鋳型土で作った鋳型を用いる方法。鋳型は高温で焼かれ、約400℃に冷ましてから溶かした金属を流し込みます。仏像や銅像作りに用いられることが多いです。

双型(そうがた)

「挽き型」と呼ばれる金型を立てて回転させ、外型と、外型よりひと回り小さい中子(なかご)という型を作り、外型と中子の間に溶かした銅などを流し込む方法。梵鐘や茶釜などの円い形のものに用いられることが多いです。

生型(なまがた)

上下に分けられる型枠に湿った砂を入れ、押し固めて作った鋳型を用いる方法。細工の少ないものなどを複数作ることができるため、量産品に用いられることが多いです。

4つの鋳造方法にはそれぞれ特色があることから、大きな仏像から繊細な仏具まで、さまざまな銅器作りが可能となっているのです。

仕上げ

高岡銅器の特色でもある、しっとりなめらかな鋳肌を出し繊細な模様を彫り込む作業が仕上げです。輝くような、また、やわらかくくすんだような表情を出すために、表面加工にはさまざまな技法が用いられます。象嵌(ぞうがん)や彫金なども施されます。

高岡銅器は優れた彫金技術でも知られており、海外からも高い評価を得ています。職人たちが数十種類にわたるタガネを使い、さまざまな技法で美しい模様を彫り込んでいくのです。

着色

「銅器は錆を鑑賞する工芸」と言われています。着色は保存性と美化を高め、銅の表情を生かす作業です。色をつける前に金属の表面から化合物皮膜を取り除き、下色をつけ、着色します。薬品で金属の表面を腐食させる伝統的着色法では、薬品の種類を変えることでさまざまな色を出すことができます。

代表的な着色

古銅色(こどうしょく)
黒っぽい色。「古手色」とも言われる
鍋長色(なべちょういろ)
緑がかった黄色地。仏具などに用いられる
徳色(とくいろ)
赤っぽい色の総称
焼朱銅色(やきしゅどうしょく)
流れるような朱色模様。茶色の地色は「本焼手銅色」と言われる
青銅色(せいどうしょく)
人工的に緑青(りょくしょう)を発生させたもの
焼青銅色(やきせいどうしょく)
銅が少ない地金に、朱色が分散しているもの
煮色(にいろ)
透明感がある。地金によって色が異なることが特徴
宣徳色(せんとくいろ)
中国の王朝、明の宣徳年間に作られた銅に多く見られる色。似た色合いの総称として使われている

 

高岡銅器伝統の品

高岡銅器伝統の品

滝田商店 仏具 香炉 机上香炉 黒色

高岡で作られた真鍮の仏壇用香炉です。落ち着いたにぶい黒色が美しい上品香炉で、重みもあります。サイズは2.5寸(胴径7.5cm×高さ5.6cm)から0.5寸刻みで、6寸(胴径18cm×高さ13.4cm)までそろっています。

能作 yamamaru

茶道具などの伝統的な製品をはじめ、斬新なデザインのインテリア雑貨でも知られる「能作」。ブラックニッケルメッキが施された真鍮製の風鈴「yamamaru」は、下から見ても美しいデザインで洋室にもしっくり馴染みます。

雅覧堂 花瓶・一輪挿し on the wall mini 斑紋青銅色 花器・フラワーベース

思わず目に止まる美しい青銅色に使われているのはなんと糠味噌!高岡の伝統的な技で作られた、壁に掛けるタイプのフラワーベースです。青銅色の銅板には花を差す穴が空いており、裏側にはガラスのポケットが付いています。伝統と斬新さを持つフラワーベースは、和洋を問わずさまざまな場面で活躍してくれます。

 

新たなブランド「KANAYA」(かなや)誕生

2011年に誕生した金属鋳物技術ブランド「KANAYA」。高岡銅器共同組合13社の有志により誕生した「KANAYA」は、購入後に日々人と触れ合うことで真の美しさがあふれだす、「人とともに生きる」製品です。

丁寧に作られた製品は生活の中にマッチするものばかり。シンプルで美しいデザインも魅力の一つです。歴史ある高岡銅器は、伝統を守りながら時代時代に合った製品を作り続けています。

さくらさく HT+51

桜の花びらの形をしたロックグラスです。冷たい飲み物を入れた際にできる結露の水滴が卓上に桜の花を咲かせます。抗菌作用が強く、飲み物を入れると味がまろやかになる純度100%の錫器です。

傘立て MK+02

鋳物と木材で作られた美しいたたずまいの傘立てです。傘を掛ける上部のリングはアルミ鋳物、受け皿は真鍮鋳物でできています。鋳物の錆色と支柱部の木材が上品でモダンな雰囲気を生み出しています。

タオルスタンド MK+03

「これがタオルスタンド?」と思うようなシンプルなデザインです。タオルを掛ける部分に錆塗装が施されているために存在感もしっかり。奥行きは17cmとスリムですが、比重を下部にかけているため倒れることもありません。

靴べら MK+51

インテリアにもなるような、やわらかな曲線を持つ靴べらです。ショートタイプと立ったまま靴をはくことができるロングタイプがあり、ロングタイプのスタンドはガラスでできています。