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サテライトオフィスとは
サテライトオフィスとは、サテライトという言葉が衛星を意味しているように、企業の本社から離れた場所に設置された小規模なオフィスのことを指します。本社の業務と同じ仕事ができるように、社内設備や通信環境も全てそろっています。
都心部では、通勤時間の長さや電車内の激しい混雑が社員にとって大きな負担となっています。地方にオフィスを構えることでその負担を減らし、通勤にかかっていた時間を有効に使えるようになるということで注目度は年々上昇しています。
サテライトオフィスの開設は、大きく3つのパターンに分けられます。
- 都市部に本社を持つ企業が地方に開設する
- 地方に本社を持つ企業が都市部に開設する
- 都市部に本社を持つ企業が都心部に開設する
東京一極集中の問題や通信技術の急激な進歩、働き方改革の推進による多様化する働き方は、サテライトオフィス導入の取り組みを後押ししています。
サテライトオフィスと支社の違い
サテライトオフィスも支社も、本社とは別にオフィスを構えるという意味では同じです。では、何が違うのでしょうか。
支社
本社から離れて事業・業務をする場所。支社単独での仕事もあり、支社の取締役も存在している。
サテライトオフィス
本社と同じような組織形態で本社と同等の業務を遠隔で行う場所。
支社とサテライトオフィスの一番の違いは、規模の違いにあります。サテライトオフィスは定住的に業務を行うため必要最低限の設備によって成り立っていますが、支社は周辺地域も視野に入れて活動が行われているためより大きな設備が必要となってきます。
業務面以外にも、業務命令による転勤で配属されることの多い支社に対して、社員自らが「地方・地元で仕事がしたい」という意思によって異動を選ぶことが多いサテライトオフィスは、会社内の活性化にもつながりやすいとされています。
サテライトオフィスによるメリット
では実際に、サテライトオフィスにはどんなメリットがあるのでしょうか。社員個人の視点、企業の視点のそれぞれの視点から紹介していきます。
社員個人のメリット
勤務地の選択肢の増加
「地方に移住したい」「地元に帰りたい」と考えているが、できる仕事が限られてしまうために行動に移せない。そのような人のために、地方にいながら本社と同等の仕事を行うことができるように県と共同でネットなどの環境設備を整えているところもあります。
「子どもが産まれるまでに地元に帰りたい」「自然の多い地方に移住したい」など自分のライフスタイルや趣味に合わせて地方や地元で働きたいと考えている人も多くいるでしょう。しかし、地方だと都心部で行っていた仕事ができなかったり、新しく始めようにも仕事の内容が限られてしまったりとつらい思いをしてしまうことも少なくありません。
サテライトオフィスでの仕事環境は急速に良くなっています。自分が生活したい場所で好きな仕事ができるのは大きな魅力と言えるでしょう。
有効な時間の増加
地方では都心部に比べて家賃が安いためオフィスの近くに住みやすくなり、今まで通勤にかけていた時間を仕事や家族との時間に使うことができるようになります。
都心部で働くサラリーマンの多くは、毎日満員電車に揺られながら一時間以上をかけて通勤することも。地方ではオフィスの近くに住むことで、通勤時間を短縮できます。
また、余暇の時間も増えるためストレスを抱えにくく、健康の増進にもつながります。
想像力の向上
都会では、周りを見渡せば忙しそうにしている人ばかり。時間や心に余裕がなくストレスを抱えた状態では良いアイディアは浮かびません。反対に地方では、ゆっくりと進んでいく時間や豊かな自然・ゆったりとしたスペースのオフィス空間が心を落ち着かせ、思考をクリアにさせます。
サテライトオフィスは社員の想像力を向上させる可能性を秘めているのです。
子育てに最適
いまや都会の公園ではボールを使ったり自由に走り回ったりできる場所はほとんどありません。また、近所迷惑のことを考えると大声を出すことも敬遠されがちです。その点、地方には大声を出して思い切り遊べる公園が多く残されています。幼稚園や小学校から帰ってきた子どもが友達と一緒に大声をあげて遊ぶ光景はなんとも微笑ましい光景です。
海や山が近くにあり、木々などの緑も豊富。夜に空を見上げれば満点の星空を堪能できる自然がいっぱいの環境では、子育てをするにも最適でしょう。
ライフスタイルの充実
都会での生活は、平日の夜遅くまで仕事をし、通勤に長い時間をかけ、ようやく帰宅したころにはもう深夜。そんな状況が続き、自分の趣味に没頭できるのは休日だけ、ということも。
地方には、自宅やオフィスの近くに自然や温泉など、好きなことをできる環境が数多くあります。また、仕事の前や後の空いた時間を趣味に充てる人も多く、ライフスタイルは充実すること間違いなしです。「自然を感じたい」「自由を感じたい」人にとっては最適な場所と言えます。
企業のメリット
リスク回避
都心部で地震や火災などの大規模な災害があった際に、すぐにでも業務を再開できるように地方にバックアップとしての観点から設置することができます。
人材採用の選択肢の増加
都心部の人材の獲得競争は激化しており、コストは増える一方でなかなか良い人材を確保できないのが現状です。地方にオフィスを置くことで、すでにその地域に住んでいる人や地方勤務へのニーズの高まりから、採用の幅が広がる可能性が出てきます。
都心部→地方にオフィスを構えるメリット
実際にその地域で生活・仕事をすることで、都心部では得られないより詳細なニーズを把握できます。また、都心部に比べて横とのつながりも強く、温かい関係を感じることができるでしょう。
地方→都心部にオフィスを構えるメリット
土地を広く使いたい製造業などは、土地代や人件費を安く抑えたいという理由から本社を地方に置いている企業が多くあります。
しかし、大手の企業との取り引きや物流の流れの確認など、都心の方が有利な場合が多々あります。
都心部に小さなレンタルオフィスを構えることで取引先との打ち合わせにも利用でき、都心部にオフィスを構えているという企業イメージのアップにもつながります。
テレワークの広がり
サテライトオフィスの導入が進むにつれて、テレワークというシステムも広まりつつあります。テレワークとは、離れた場所で仕事をすること。会社に出社せずに営業先を回ったり、自宅で作業を行ったりすることを指します。
テレワークの特徴
雇用型と自営型、モバイル型と在宅型を組み合わせた4つに分けられます。
雇用型 モバイル型 |
会社に雇用はされているが、会社には出社せずに営業先などを回りながら作業を行う |
雇用型 在宅型 |
基本は会社に勤めるものの、子育てや介護のために自宅でも作業を行う |
自営型 モバイル型 |
個人で事業を請け負い、コワーキングスペースなどで作業を行う |
自営型 在宅型 |
自宅から出ず、自身で仕事を請け負いホームページ作成やデータ収集などを行う |
テレワークのメリット
毎日会社へ行く必要がないため、通勤時間や経費の削減にもなります。地域活性や地方移住にも有用で、介護や子育ての観点から少子高齢化などの社会問題の解決にもつながります。
テレワークのデメリット
どこでも仕事ができるメリットは、仕事と休みの境界線がなくなってしまうデメリットの裏返しでもあります。仕事ぶりが見えづらいという点もあり、外部からの評価が難しく収入面でも厳しくなる場合が多くなります。
日本では今後、さらに働き方の多様化が進んでいきます。その際に、地方への移住やサテライトオフィスへの勤務を考えてみてはいかがでしょうか。