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海ぶどうとは
ソーキソバやゴーヤチャンプルー、ラフテーなどと並んで沖縄料理屋で注文されるメニューの定番となっている海ぶどう。プチプチとした食感とほのかな磯の香り、キャビアを思わせる半透明で緑色の鮮やかな見た目が人気を集めています。正式名は「クビレズタ」と言い、海藻の一種です。
市場に出回るものはほとんど養殖
海ぶどうには天然と養殖がありますが、天然ものは数が少なく、流通するほとんどの海ぶどうは養殖となっています。天然の海ぶどうの自生地は宮古島列島以南の温暖な海。主に西表島、伊良部島、宮古島です。
養殖は各地で行われており、主な産地は沖縄本島の恩納村と久米島で、久米島が日本一の生産量を誇ります。国産の旬は10月から翌5月ごろ。つまり、夏以外の期間となります。また、国産以外にもベトナムやフィリピンからの輸入物も出回っています。
海ぶどうはいつから食べられるようになったの?
古くから宮古島では天然ものの海ぶどうは食べられていましたが、現在のように多くの人が口にするようになったのは養殖技術が確立されてからです。
今では流通するほとんどを占める養殖海ぶどう。陸上養殖発祥の地は、沖縄本島でも屈指のリゾート地となっている恩納村です。
恩納村は、2006年に沖縄県が認定する拠点産地となり、2011年に恩納村漁業協同組合海ぶどう生産部会として農林水産祭の天皇杯を受賞するなど実力ある産地です。
そんな恩納村で海ぶどうの養殖試験がスタートしたのは1989年のこと。短期間で良質な海ぶどうを生産する養殖技術が開発され、1994年には海ぶどう生産部会が漁協で組織化。生産体制が整えられました。
当初の海ぶどうは全くと言って良いほど知名度がありませんでしたが、宿泊施設で提供し始めたところ観光客を中心に支持を集め、ぐんぐん生産量が伸び、沖縄県の重要な特産品の一つにまでなりました。
海ぶどうに栄養はある?
「長寿草」と呼ばれるほどの栄養価
海ぶどうは栄養価の高い食材のため「長寿草」とも呼ばれます。海ぶどうにはほかの海藻と同様に鉄、カルシウム、マグネシウム、ヨウ素などのミネラルや食物繊維、ビタミンが豊富です。海藻が栄養価に優れていることは多くの人が知るところですが、海ぶどうはさらなる健康効果を持っています。
生活習慣病の改善や抗酸化作用も
まずは「フコンダイン」という、海藻が持つヌルヌルの成分に含まれる栄養素。聞き慣れない名前かもしれませんが、コレステロールや中性脂肪の減少、血糖値を下げる働きを持つ有能な栄養素です。生活習慣病の改善や動脈硬化を防ぐ効果が期待されます。
次に、抗酸化作用が期待される「ポリフェノール」。ワインに含まれることでも有名な栄養素です。細胞が活性化することで美容効果もあると言われています。
さらに、新陳代謝を向上させる機能を持つ「カウレルパラセモサエキス」。肌荒れの回復や美肌作りに効果があると注目されている栄養素です。
低カロリーでかつ豊富な健康効果が期待できる海ぶどうは、まさに有能な食材と言えるでしょう。
海ぶどうの食べ方1:そのまま生食で
海ぶどうは別名「グリーンキャビア」とも呼ばれています。塩味が効いてプチプチとしたその食感を楽しむには、まずそのまま刺身のように食べるのが一番です。
刺身のようにいただく
最もポピュラーな食べ方が生食。飲食店では、海ぶどうだけで出てくる場合もあれば刺身の付け合せとして提供されることもあります。通常は刺身と同じように醤油や三杯酢、ポン酢、酢味噌などに付けて食しますが、何も付けずに食べてもほのかな塩味があるのでおいしくいただけるでしょう。
生食はプチプチとした食感と磯の香りを最も楽しめる食べ方です。自宅で食べる場合は、事前に海ぶどうの周りについている汚れと塩をさっと洗うと良いでしょう。
塩味が強いときは、1分から2分程度水につけて、それを2・3回程度繰り返します。
鮮度のよい海ぶどうの見分け方
刺身のように食べる場合は、特に新鮮なものを選びたいですね。そんな時は「色とハリ」をチェックしましょう。
緑色が映えていてツヤあり、全体に張りがあって粒のキレイなものが鮮度のよい証拠です。「噛んだ瞬間に口の中で弾けそう」と思えるものがそのまま新鮮な海ぶどうだと思っていただいても大丈夫です。
緑色の発色が弱いものもありますが、長い時間光に当たっていないことなどが要因です。味の違いはあまりないですが、色も楽しみたい場合は、袋に入れて2〜3時間でよいので蛍光灯で照らすとキレイな緑色に戻ります。ただ、後述するように海ぶどうは直射日光に弱いため、日陰で保存してください。
海ぶどうの食べ方2:どんぶり
観光地の定番メニュー
白飯の上に海ぶどうを乗せ、だし醤油や酢などをかける食べ方が海ぶどう丼。沖縄県の観光地でもよく見かけるメニューです。マグロやサーモンなどの刺身やとろろと一緒に乗せても相性抜群でおいしくいただけます。
調味料は食べる直前に
海ぶどう丼を作る際は、調味料は食べる直前にかけるとシャキっとした粒の食感が損なわれにくくなります。例えばとろろと和える場合も、ご飯を先によそっておいて、最後に混ぜるのがベストな食べ方です。
海ぶどうの食べ方3:てんぷら
沖縄県民のソウルフード
沖縄県ではてんぷらが大人気。ゴーヤやもずくのてんぷらは県民のソウルフードと言えるほどにまでなっています。海ぶどうのてんぷらも居酒屋の定番メニューで、酒のつまみにぴったりです。外はサクサク、中はプチプチの食感が絶妙で、海ぶどう自体に塩気があるので何も付けずにおいしく食べられます。
自宅で作る場合は、油の温度は160度、40秒〜50秒でさっと揚げましょう。粒の水分がはじけ出すとやけどの危険があるので、鍋蓋をして火を止めるようにしましょう。
難易度はやや高め
海ぶどうのてんぷらはサクサク・プチプチの食感が一度に味わえてとても美味しい食べ方なのですが、作るのには苦労が入ります。
油がはねやすいため、やけどしてしまう可能性があることと、長く揚げ過ぎるとプチプチの食感が失われてしまうため、飲食店でさえもメニューとして提供するためには高い技術を要します。それでも……!という方はぜひお家でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
海ぶどうの食べ方4:最後のトッピングとして
オールマイティーに活躍
海ぶどうは、そのプチプチした食感と適度な塩味のおかげで、さまざまな食材に合わせることができます。
例えば魚介のマリネや海鮮サラダ、お豆腐やうどん・パスタなどの麺類に乗せても美味!磯の香りもそのまま残るため、豊かな香りが口いっぱいに広がります。食材に応じてゴマ油やオリーブオイル、レモン汁などと和えるとさらにレシピの幅が増えるでしょう。
海ぶどうを美味しく食べるための保存方法
冷蔵庫に入れるのは控えて
海鮮のため冷蔵庫で保存したくなりますが、実は冷蔵庫に入れてはいけません。温暖な海で育つ海ぶどうだからか、10度以下になると粒がしぼんでしまい、海ぶどうのおいしさの秘訣であるプチプチとした食感が失われてしまいます。
高温や直射日光を避ける
とはいえ、高温や直射日光でも傷んでしまいます。適温は15度〜28度、保存場所は日が直接当たらない涼しい日影がベストです。購入した海ぶどうが塩水の入ったパックであればそのまま保存し、なければキッチンペーパーで包み、箱に入れて密閉しておくと良いでしょう。生食の場合、一週間以上経ったものは念のため食べないようにしましょう。
冷凍保存も可能
水を入れた容器に海ぶどうを漬けて、その容器のまま冷凍庫に入れると長期保存が可能になります。解凍は氷水解凍がベスト。大きく食感は変わりませんが、茎の強さがなくなってしまいます。
そのおいしさはもちろんのこと、栄養価の高さでも注目を集める海ぶどう。クセが少なく多くの料理に合う食材なので、さまざまな食べ方をしてはいかがでしょうか。