食品・食材おいしさ凝縮!「干し野菜」に詰まっている魅力

おいしさ凝縮!「干し野菜」に詰まっている魅力

天日で干すことにより保存性が良くなるだけでなく旨味や栄養が凝縮される干し野菜。古くから日本では干した野菜が保存食として重宝されてきました。今回は、栄養面で欠かせない野菜をおいしく食べられる「干し野菜」の魅力についてご紹介します。

干し野菜の基礎知識

干し野菜の基礎知識

干し野菜は、天日干しにして水分を飛ばし、風味と栄養を凝縮させた野菜のことです。

干し野菜の魅力

干し野菜には、以下のような魅力があります。

保存期間が長くなる

生の野菜はそのままの状態では傷みやすく風味と栄養が落ちるため新鮮なうちに食べる必要がありますが、干して水分を抜くことで保存できる期間が長くなります。

市販の切り干し大根や干ししいたけは古くから知られた干し野菜であり、保存食として重宝されてきました。

栄養が上がる

天日干しにして日光に当てることでビタミンDが生成されるほか、カルシウム、鉄分などの栄養価がアップすると言われており、野菜の持つ栄養が凝縮されます。

旨味が増す

天日干しにより野菜に含まれる酵素の働きが活性化して糖分を作り出すことから、甘味が増して味が濃くなります。また、凝縮された旨味は良い出汁となり、いつもの調理でもおいしさがアップします。

そのほか、野菜特有の青臭さが抜けて食べやすくなったり、食感が変わって歯触りが良くなったりといった効果もあります。

調理時間が短縮できる

水分が少ないため短時間で火が通り、味も素材にしみ込みやすくなります。また、野菜は切った状態で干すため、調理の際に時間がかかる皮むきや切る作業を短縮することが可能です。

セミドライとフルドライ

「セミドライ」とは数時間から半日ほど天日干しにした状態のもので、野菜の水分はまだ残っています。保存期間の長さはあまり期待できませんが、適度に水分が抜けて旨味や糖分が増しているため、料理がおいしく仕上がります。

「フルドライ」とは数日から一週間程度天日干しにしたもので、しっかり水分が抜けた状態となっています。市販の乾物と同様に長期保存が可能で、水に戻して使用します。

 

干し野菜の作り方

干し野菜の作り方

干し野菜作りに必要な道具

干し野菜に必要な道具はザルもしくは野菜ネットだけです。ザルの場合は、風通しが良くなる竹製のものがおすすめ。また、野菜が重ならないよう広げるため、大きめのものが使いやすいでしょう。

GLOBAL&LOCAL 折りたたみ式一夜干し三段ネット

GLOBAL&LOCALの折りたたみ式一夜干し三段ネットは、野菜や魚などを干すために作られた商品です。

ファスナーの引き手が二個あるので野菜の出し入れがしやすく、ネットで覆われているために虫や鳥、ホコリをよけることができて衛生的です。また、吊り下げ式のため風通しが良く、手早く乾燥させることができます。

向いている野菜

じゃがいもや大根、ニンジンなどの根菜類が干し野菜に向いています。水分が多いキノコ類も干し野菜に向いており、干すことで旨味だけでなく香りもさらに良くなります。

トマトは干すことで甘味が増すことが知られており、イタリアのドライトマトは有名です。ミニトマトは水分が多く乾燥しにくいため、晴天で湿度の高い夏の強い日差しで作ります。

一方で、レタスやもやし、水菜など、水分が多くても傷みやすい野菜は避けた方が良いと言われています。

手順

  • 手順1
    野菜を洗う
    完成後にそのまま使用できるよう、きれいに洗って汚れを落とします。キノコ類は洗わずに汚れを取って手でほぐしましょう。洗い終わった野菜の水気はしっかりと切っておきます。
  • 手順2
    野菜を切る
    皮をむかずに料理に合わせて野菜を切ります。水分が抜けやすくなるように薄めに、なるべく同じサイズに切ることがポイントです。小さく切るとすばやく乾燥させることができますが、水分が抜けると縮んでしまうため、余裕を持って少し大きめに切ります。また、カットする断面が広い方が乾燥しやすいため、切り口を広めにすると良いでしょう。水分が多い大根やトマト、きゅうりなどは、切った後にキッチンペーパーで水気を吸わせておきます。
  • 手順3
    野菜を並べる
    野菜同士が重ならないように気を付けながら並べます。通気性の良いネットやザルがおすすめです。
  • 手順4
    干す
    風通し・日当たりの良いベランダや庭などに置いて乾燥させます。室内の場合は日当たりの良い窓辺で乾燥させます。数時間が経つと、野菜の表面が白くなってきます。

干す際に注意すること

干す際に最も注意すべきものは湿気です。水分を多く含む野菜はもともとカビが付きやすいため、空気が乾燥している状態かつ風通しが良い場所で干すことが大切です。

気温が高く乾燥していれば干し野菜はすぐに作ることができますが、日本の夏は湿度が高い日が多いため、おすすめはよく晴れて空気が乾燥している冬場です。梅雨の時期は特に湿度が高いため、避けた方が良いでしょう。

干すのに最も適している時間帯は10時から15時ごろまでで、この時間帯は日光が当たりやすくなります。また、しっかり水分を抜くフルドライにする場合は数日間干しますが、その場合でも夕方から夜間は取り入れるようにしましょう。

保存方法

しっかりと乾燥させたフルドライのものは水分が抜けて小さくなっており、常温での保存が可能です。湿気や水分が入らないよう密封容器やジップ付きの袋に保管します。

一方の数時間干したセミドライのものは、生の野菜よりは保存期間が長くなりますが、水分は残っているためジップ付きの袋に入れて冷蔵保存し、できるだけ早めに使用します。フルドライもセミドライも冷凍保存が可能です。

電子レンジで簡単にできる干し野菜の作り方

長時間干す時間が取れない場合は、電子レンジで作ることも可能です。おすすめはレンコンやゴボウなどの根菜類です。

薄めに切った野菜を水にさらしてでんぷん質を取り除き、水気をよくふいてから重ならないように並べます。ラップをせずに電子レンジ(500W~600W)に7分から8分間かけます。

その後、ザルの上に広げて15分ほど冷ましたらできあがりです。

 

加工済みのおすすめ干し野菜

加工済みのおすすめ干し野菜

KOJIMAYA ドライトマト

東京上野のアメ横でドライフルーツ・ナッツ・健康食品などの料理用食材を数多く取り扱っている小島屋(KOJIMAYA)の人気商品がドライトマトです。

常夏の太陽と恵みの雨で豊富な野菜が採れるタイから仕入れたミニトマトは、トマトの香りを残しつつ適度な酸味とフルーツのような甘さを感じる商品で、そのまま食べることができます。

九州ドライベジ

九州産の素材(ニンジン、キャベツ、小松菜、わかめ)を使用し、じっくり時間をかけて水分を蒸発させる「低温エアーズドライ製法」により、生野菜を超えるシャキシャキ感を楽しむことができます。

「九州ドライベジ」は、お湯で3分戻すだけで約5倍に膨れ、シャキシャキの九州野菜をたっぷり食べることができます。カットも不要で時短レシピにもおすすめ。

味源 10種の野菜チップス

じゃがいも、さつまいも、ニンジン、里芋など10種の野菜をそのままチップスに仕上げた「10種の野菜チップス」は、うす塩味でおやつでありながらヘルシーな商品です。

独特の製法により低温の油で素材を焦がさず短時間でカラッと揚げているため、サクッと軽い食感になっています。

 

現代の食生活において不足しがちな野菜ですが、天日干しにすることで野菜の旨味と栄養が凝縮され、傷みやすい野菜の保存性が良くなります。おいしく健康的な毎日の食生活のために、干し野菜を取り入れてみてはいかがでしょう。