騒音に困ったら!騒音の基準は?警察は呼ぶべき?

騒音に困ったら!騒音の基準は?警察は呼ぶべき?
近隣住民とトラブルになることの多い騒音ですが、騒音かどうかの判断は難しく、その評価方法を知らないと双方に不利益をもたらします。

一般的な騒音のレベルと基準

一般的な騒音のレベルと基準
(写真:photoAC)

騒音は、環境基本法に定められた典型7公害(騒音、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下)の一つで、人の聴覚特性に合わせて「音により発生する気圧の変化」を音圧レベル(単位:デジベル)として表します。

日常生活での騒音レベル

1983年に環境庁(2001年から環境省に改組)が作成した「生活騒音の現状と今後の課題」によると、主な生活騒音の音圧レベルは以下のとおりとされています。

発生源音圧レベル
バス・トイレ58~76
テレビ58~74
洗濯機・掃除機51~69
車のアイドリング51~62

※単位はデジベル

騒音にかかる環境基準

騒音かどうかの判断基準は発生源により異なりますが、全ての元になっているのが「環境基準」です。この基準には、土日、年末年始、夏休みなどを避けた平日の昼間(6時から22時)と夜間(22時から6時)の値が定められています。

この数値は、科学的知見から導き出した生活のなかで会話や睡眠に影響を与えない値(室内指針)とされています。

騒音影響に関する室内指針

 昼間(会話影響)夜間(睡眠影響)
一般地域45dB以下35dB以下
道路に面する地域45dB以下40dB以下

※道路に面する地域には、1車線(幅員5.5m未満)の道路は含まない

そして、窓を閉めた状態でこの室内指針を確保できる屋外の音圧レベルが以下の環境基準となります。

一般地域の環境基準

 類型昼間夜間
一般地域AA地域特に静穏を要する地域50dB以下40dB以下
A地域住居専用地域55dB以下45dB以下
B地域準住居地域55dB以下45dB以下
C地域商業工業地域60dB以下50dB以下
道路に面する地域A地域道路に面する住居専用地域60dB以下55dB以下
B・C地域道路に面する商業・工業地域65dB以下60dB以下
幹線道路近接空間幹線交通を担う特例地域70dB以下65dB以下

AA地域:療養施設、社会福祉施設などが集合し、特に静穏を必要とする地域
A地域:住居専用の地域
B地域:主に住居用途の地域
C地域:多数の住居が併設された商業・工業用途の一般地域または、主として住居用途の道路に面する地域

 

近隣騒音で警察に通報しても良い?

近隣騒音で警察に通報しても良い?
(写真:photoAC)

騒音の大きさを表す音圧レベルは基準値(20μPa)との比を常用対数で表現した値であるため、例えばそれぞれ50デジベルの二つの音源がある場合、その影響は50デジベル+50デジベル=100デジベルとはなりません。50デジベルと50デジベルを合わせた値は50.3デジベルになります。

このため、近隣住民が50デジベルの騒音を発生させていたとしても、近隣道路からの騒音が70デジベルであった場合は、50デジベルと70デジベルを合わせた値の70デジベルが騒音の大きさとなり、評価上は近隣住民は騒音を発生していないのと同じになります。

そのほかにも、周波数重み付け特性であるフラット・A特性・C特性や時間重み付け特性であるファースト・スローなど、騒音の評価方法にはさまざまな決まりがあります。

騒音被害に遭っていると思う場合は、いきなり苦情を伝えるのではなく、市区町村の窓口を通して専門家に相談するのが良いでしょう。

騒音被害に遭ったら

専門家に相談したうえで、やはり騒音による被害を受けているとなった場合は、警察に相談したくなるでしょう。しかし、警察は「民事不介入」の原則により、トラブルの解決を図る行為は行いません。ただし、警察が加害者を訪問することにより被害の拡大を抑止する効果は期待できます。

なお、ここで注意したいのは、被害を訴える騒音レベルが「環境基準」ではない、ということです。この基準は環境の良否を判断するものであって、守らなければ罰則を受けるというものではないからです。

ではどのような基準が適用されるかというと、騒音規制法により都道府県知事が定めている「適用地域」と「規制基準」があり、この法律で騒音源の指定対象が下記のとおり決められています。

・工場、事業場騒音
・建設作業騒音
・自動車騒音
・飲食店の深夜騒音

したがって、近隣住民の生活騒音がうるさいからといって、みだりに警察を呼ぶことはできません。

警察を呼ぶ際の流れ

どのような場合にも警察を呼んではいけないわけではありません。騒音トラブルが元で事件に発展する可能性もあるため、110番通報をすると警察が対応してくれます。

110番に通報すると「事件か事故か」を問われるので、「騒音」であることを伝えます。その後、場所や騒音の種類を伝えます。

警察を呼ぶ際の注意点

そして、通報後のトラブルを防ぐために、通報時には以下の点を警察に依頼しておくことが肝心です。

・誰が通報者なのか分からないように対応してもらう
・近隣住民からの通報ではなく、巡回中に騒音を聞きつけたことにしてもらう

それでも、騒音の内容によっては通報者が誰なのか判明することがあります。そのため、裁判などに備えて騒音被害について発生時間帯や継続時間などできるだけ詳細な記録を残しておくことも必要です。

 

さまざまな騒音問題への対策

さまざまな騒音問題への対策
(写真:photoAC)

騒音問題への対応では、騒音トラブルの発生自体を抑制することを第一に考えなければなりません。その方法として、環境省が公表している心得が役に立ちます。

・音への気くばりを忘れずに
・音源の配置に工夫を
・音はひかえめに
・ご近所となかよく
・(音の小さい機器の購入など)より確実な騒音対策を
・(風呂や洗濯の音は)深夜、早朝は特に注意
・ペットの鳴き声(はしつけで配慮する)

といった取り組みです。

マンションなどでの騒音対策

ひとたび騒音問題が起こってしまった場合は、解決に時間と費用がかかることが予想され、さらには思い通りの結果にならないケースも想定しなければなりません。そのための自衛手段として防音を行うことが有効です。

通常の建物であれば、窓を開けているときの内外騒音レベル差は10デジベル、窓を閉めているときは25デジベルです。この場合、「防音性能が25デジベルである」と言います(1996年「騒音の評価手法の在り方について」中央環境審議会答申)。

2015年に環境省が作成した「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」によると、建築構造(外壁と窓の組み合わせ)の防音性能は下表のとおりとなっています。

 RC、モルタル、サイディング※在来型木造
二重窓、固定窓35/30dB30dB
防音型サッシ30dB25dB

※外壁に貼る羽目板のこと

このほかにも、窓枠に隙間テープを貼り付ける、室内のカーテンを防音カーテンに取り替えるなども効果があります。

自動車騒音

自動車交通騒音に対しては、環境基準とは別に「要請限度」が定められています。

区域1車線2車線以上
第Ⅰ種区域昼間 65dB、夜間 55dB昼間 70dB、夜間 65dB
第Ⅱ種区域昼間 65dB、夜間 55dB昼間 75dB、夜間 70dB
第Ⅲ種区域昼間 75dB、夜間 70dB昼間 75dB、夜間 70dB

第Ⅰ種区域:住居専用の区域
第Ⅱ種区域:主に住居用途の区域
第Ⅲ種区域:多数の住居が併設された商業・工業用途の区域

この基準は、沿道において要請限度を超えている場合、騒音規制法により市区町村長が都道府県公安委員会に対して交通規制を要請する、または道路管理者に対して道路構造の変更を意見することができる、というものです。

自動車を発生源とする騒音には、エンジン音、排気音、路面(タイヤ)からの音があるため、自動車構造の変更や街路樹の設置などの道路構造の変更で対応することになります。

しかし、自動車構造の変更による騒音防止は対応した自動車の普及に時間を要し、道路構造の変更にも多くの予算が必要となるため、解決には時間がかかります。

航空機騒音

航空機の騒音に対する環境基準も別途定められています。

地域基準値
住居専用地域57dB
それ以外の地域62dB

なお、飛行場では航空機の離着陸時に騒音が発せられるものの、定常的に騒音を発し続けるわけではないため、道路や工場などの騒音とは評価方法が異なっています。

航空機騒音特有の評価方法として(ICAO:国際民間航空機関が定義した)WECPNLがあります。これは、飛行機一機ごとが発している24時間分の騒音を平均して評価するものです(時間帯別に重み付けするなどのデータ加工が必要なため、単純平均とはならない)。

この基準を達成するために、公共用飛行場は「騒防法(公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律)」に従って、周辺の学校・病院などの公共施設に対しての公園緑地による緩衝、防音建具の設置、また、航空機の低騒音化を行っています。

なお、特殊用途(自衛隊・米軍)の飛行場に対しても公共用に準じた努力をすることが求められています。

 

騒音問題は近隣住民同士のトラブルから工場・事業所を相手にするもの、民間飛行場、自衛隊などを相手にする大がかりなもの、または相手が不特定多数となる自動車騒音などさまざまです。

大きな音を出す場合は、自分の好みを他人に押しつける行為にならないよう、配慮と防音を忘れないようにしましょう。

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